No.7 自己免疫性溶連菌関連性精神神経障害(PANDAS)
チックは神経疾患ですが、
トゥレット症の患者の2割程度は
感染症による自己免疫のトラブルによって精神神経障害を
発しているのではないかと言われています。
裏を返すと、感染症によるチックの発症であれば、
免疫システムを改善するような治療法でないと
効果が得られないということにもなります。
しかし、実際のところ、
チックは幾つかの要因が掛け合って発症しているケースもあり、
チックの原因を1つに確定することは難しく
海外でも、免疫治療と神経系への投薬治療を並行して行っているのが現状のようです。
◆自己免疫システムのトラブルから生じた症状
①PANDAS
(Pediatric autoimmune neuropsychiatric disorders associated with streptococcal infection)
これは、「小児自己免疫性溶連菌感染関連性精神神経障害」と訳され、
溶連菌に感染した後、チックや強迫性神経障害を起こす症状です。
トゥレット症の患者の2割はこのPANDASだということが示唆されています。
交流会での会話で、
「私の子どもは、溶連菌にかかった後から、急にチックが出始めたんです。」と
おっしゃったお母様がいました。
②PANS
(Pediatric Acute-onset Neuropsychiatric Syndrome)
これは、「小児急性精神神経症候群」と訳され、
溶連菌以外の菌、例えばウイルス、バクテリア、真菌(ヘルペス、インフルエンザ、
手足口病となるコクサッキーウイルス、マイコプラズマ、ライム病、寄生虫等)など、
特定が出来ない場合の感染によって起こる自己免疫性脳神経障害のことです。
◆PANDASの特徴
1.OCD(強迫観念)又はチック症状がある
2.思春期以前に症状が起こる
3.溶連菌に感染した経緯があり、その後、突然症状が出る
(ゆっくりとではなく、ある日突然チックが始まるとか恐怖観念等が出る等)
4.A群溶血性レンサ球菌感染がある
5.神経障害(活動過多傾向や、舞踏病に見られる動き)が見られる
6.血液検査(IgG検査)で陽性が出る
*従って、このような特徴が複数あれば、
PANDASの可能性を疑ってみる必要があるでしょう。
◆治療法
海外では以下の治療がおこなわれています。
①血漿交換療法
血液中の血漿だけを交換するので血漿交換法と呼ばれます。
一般に、肝疾患、腎疾患、リウマチ、膠原病等の治療に適応されています。
②γグロブリン療法
γグロブリン療法は免疫グロブリン製剤を点滴静脈注射(静注)する方法です。
*免疫グロブリンは血液中の血漿に含まれているため、
免疫グロブリン製剤は人の血液を原材料として作られます。
血漿交換療法やγグロブリン療法の医療費に関しては、
癌治療等の場合、保険適用になりますが、
チックの治療法としては当然、保健適用外となり、かなり高額になると思われます。
1回の投与が何十万とかかり、また、投与を何回か繰り返す必要があります。
しかし、上記治療法は2010年頃、実際にアメリカで
ガンマーグロブリン療法を受けた方から得た情報です。
経年と共に自己免疫疾患に対する研究も進展しているはずですから、
現在は、もっと効果的な治療法が確立されているのではないでしょうか。
★以下のサイトでパンダス(PANDAS)の詳しい情報を得られます。
海外情報→
【Welcome to PANDAS Network】http://pandasnetwork.org/
◆日本では未認可の治療ですが、・・・
免疫治療という観点では、日本でも20年以上前から、重症感染症の患者さんや
免疫グロブリンが生まれつき不足している患者さんの治療に使われているのですが、
チックの治療法としては厚労省の認可はありません。
しかし、日本でも、溶連菌の感染とチックの発症の関係性に注目し、
チックの症状を自己免疫疾患として捉え治療をされているドクターも
いるようですので、検索してみてください。