ばりふりっと鳥羽 ~ぬくとまるバリアフリー観光地~

伊勢志摩バリアフリーツアーセンターより、鳥羽市及び伊勢志摩のバリアフリー観光情報を発信しています。

三重県・鳥羽市一斉津波避難訓練 要援護者バリアフリー避難

2012-11-17 13:38:00 | バリアフリー情報
こんにちは
NPO法人 伊勢志摩バリアフリーツアーセンターです。

今日は朝から雨です。
そして、三重県・鳥羽市津波一斉避難訓練の日。

「朝9時に地震が発生し、津波警報が発令れたため、
鳥羽市指定の津波避難所に避難する」
という訓練を行いました。

昨年に引続き、伊勢志摩バリアフリーツアーセンターでも避難訓練に参加。

今年は2班に分けけ
●鳥羽一番街 → 鳥羽国際ホテル
●近鉄鳥羽駅 → JRの階段を下りる →日和山
のルートへ避難しました。

車いす3名を含む12名のボランティアらとともに
それぞれの避難場所に向かいました。


車いすで坂道を上がるのは、とっても大変です。

昨年の一斉避難訓練では、日和山の一番初めの坂の途中で、
リタイヤしました。

また、鳥羽一番街の避難訓練で上った鳥羽国際ホテルの坂では、
車いすを後ろから押すスタッフは、息も絶え絶え。
途中からは、従業員の方2名にも引っ張ってもらいましたが、
鳥羽国際ホテルの到着した時には、一番最初に到着した人から20分も遅れてしまいました。

そこで、今年検証してみたのが、
「JINRIKI(じんりき)」http://www.jinriki.asia/
車椅子緊急避難装置「じんりき」(けん引式車椅子補助装置)です。


これは、今年9月に東京で開催された、国際福祉機器展に出展されていたもので、
長野のベンチャー企業が考案した製品。

来年の発売に向け、準備中ということですが、
すでにマスコミにも取り上げられ、多くの自治体や団体の他、
海外からも注目されているそうです。

我々の(強引な?)依頼にお応えいただき
今回の避難訓練にあわせ、
長野から試作品を持って「株式会社じんりき」の社員4名がこの避難訓練に参加してくださいました。

代表取締役社長の中村正善さん、自ら使い方を説明

16日(金) 鳥羽市社会福祉協議会 ひだまりにて
(写真中央が中村社長)

「じんりき」とは人力車をもじった商品名。
車いすにコの字型のけん引用バーを取り付ける事により、
人力車に早代わり!という優れものです。


鳥羽市では、地震発生後の津波に備え高台に避難しなくてはなりませんが、
車いすの方や足の不自由な高齢者の避難となると、非常に困難。

そこで、この「じんりき」が登場!
これを使うと、車いすの前のキャスターが浮きます。
そして、車いすを押すのではなく引くので、とても少ない力で楽に介助でき、
また、多少の段差や砂利道でも楽々走行できます。


私は、日和山に避難する班を担当。
近鉄鳥羽駅構内より、避難指示に従ってJR側に移動


JR側の階段を車いすを担いで下ります。


そして、日和山の急な上り坂に突入!


今年整備されたアスファルトの坂を登って、楽々走行!・・・
と言いたいところですが、あまりに急な坂道なので、
訓練に参加している住民にも声を掛け、
6名で引っ張っていきました。



結果、かかった時間は日和山の「橋」のあたりまでで、約10分。
一般市民が歩いて上った時と、ほぼ変わらない時間で到着することができました。

このじんりきの良いところは、一目瞭然なこと。
車いすの介助となると、知識や経験の無い人は、手が出しにくいものですが、
じんりきなら誰でもすぐに手伝うことができます。

今日も「すみませ~ん。傘をさしたままで良いので、お手伝いくださ~い」と声を掛けたら、
先を歩いていた女性4名がお手伝いをしてくれました。

通常、車いすは少しの段差でも、キャスターが引っかかってしまい走行しにくいもの。
加減せずスピードを出すと、キャスーが段差にひっかかり、つんのめってしまい、
大変危険です。

しかし、じんりきならキャスターが地面から完全に離れているので、
多少の段差なら、止まらずにそのまま突き進むことができます。

また、振動も後ろの空気タイヤが吸収してくれるので、
乗っている方も意外に楽なんですね!
体重も、背もたれにかかっているので、
多少スピードを出しても安定しています。

もちろん、引く力もとても少なく、
平坦な道なら、女性でも全く苦になりません。

車いすを「押す」から「引く」への発想の転換それが、こんなに威力を発揮できるとは、正直驚きです!


しかし、じんりきが活用できるのは、災害時だけではありません。
元々、じんりきの社員が、長野の上高地で車いす散策に活用できないか?と考案したそうで、
これがあれば、
●河原でのバーベキュー
●山道ハイキング
●草原のお散歩
●雪道での走行
も可能です。

デイサービスの利用者が、市民の森公園でのお花見にも使えそう!

スタッフがじんりきを引き、足の不自由な高齢者が車いすに乗り、
更に、ちょっと歩行に不安がある方には、歩行器かわりに、
車いすのグリップにつかまってもらうこともできそう。

また運動会には、「障害者が参加する障害物競走」なんていう種目も出来そうです!

そして特に威力を発揮しそうなのが、離島での介助。

急な勾配や、不規則な階段なども、
じんりきなら多くの箇所でクリアできそうです。


鳥羽国際ホテル側の班もじんりきを活用して、無事に避難所に到着しました。




その後は、避難所運営訓練を実施している鳥羽東中学校へ移動。

許可を得て、体育館の中でも実演させてもらいました。


悪路にみたてたマットの上を、まずじんりきを使わずに走行。


マット1枚のところなら、なんとか進みますが、
マットが2枚重なっているところは、タイヤが深く沈みこんで、前に進みません。

そこでじんりきを使ってみると。。。



楽々通過できます。


写真は、順に鈴木知事(車いす押していただいています)、木田市長、中村欣一郎議員。
体験していただきまして、ありがとうございました。

その他、消防本部の方や、地元住民の方々にも体験していただきました。


みなさん一様に「便利やなぁ~」「楽やなぁ~」と好印象でした。

先にも言いましたが、とにかく
じんりきの利点は一目瞭然なこと。
構造や操作が単純なので、初めての人でも、アプローチがしやすいというのが最大のポイントです。

これを見だけで、それぞれ地域での避難のイメージがつきやすくなると思うのね。
家族単位でも「おじいちゃんを車いすに乗せて、おばあちゃんにグリップを持ってもらって、
お母さんがひっぱって、子供がサイドからフォローする」と、シュミレーションができます。

また、防災倉庫に眠っている車いすも、
けが人や障がい者を搬送するだけでなく、
足腰の弱い高齢者の避難にも積極的に活用できそうです。

発売は来春になるそうですが、
まずは当センターでいくつか購入して、
みなさんに試してもらう機会を作っていきたいと思います。


おまけの写真は、今月6日に内宮周辺で行われた避難訓練の写真。


幼稚園児が大人が乗った車いすを、じんりきを使って引っ張ってます。
これがナント、前に進んだんですねぇ。
いかに少ない力で前進するかの証明になりました!

明日は伊勢市二見地区での避難訓練にも参加。
賓日館(ひんじつかん)から 伊勢・安土桃山文化村までの約3キロ(トンネルを使わないので)
を、じんりきを使って避難します。

明日の訓練では、要援護者である我々を、伊勢市消防本部の隊員が発見して、
避難所まで誘導してくれる予定です。

ご興味がある方、我々と一緒にトレッキング。。いやいや、避難訓練に参加しませんか?

午前8時40分、賓日館前集合です!
よろしく~。


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