ミケマル的 本の虫な日々

『どこからが病気なの?』 興味深く読みました。


ツイッターでフォローしている病理医ヤンデル先生こと、市原真さん。
(なんとなくフォローしてたけど、人気だったのね(笑)

初めてヤンデル先生の本を読みました。





これは病気なのか?それとも違うのか?
「病気と平気の線引きはどこか?」という難しそうな命題。

しかし、これは先生が考えた章題ではなく、編集者が考えたそう。

なんてハードルが高い書き方なんでしょう。。。

 しかし、その難しい命題をきちんと説明しようと努力して、ちゃんと説明しているところがすごいな〜〜と思いました。

 
 病気であると決めるのは、自分なのか、医者なのか、社会なのか?

これって、今の新コロナウィルスの問題でも、結構密接に関連してます。

 自分の症状は普通の風邪なのか、インフルエンザなのか、はたまた新コロナなのか?
だいたい、普通の風邪ってなんなの?って問題もあるし。
(風邪は色々なウィルスで起こるそうですが)

 自分の症状はどこに当てはまるのか?お医者さんが診察したらわかるのか?検査したらわかるのか?検査して陰性でも社会的に病気とされるのか?(風評被害もこれですね)
などなど。


 そして、具合が悪くて病院に行った時に医者の説明について納得いかない理由。
多くははっきりした病名をその場で言ってもらえないってことが多いらしい。

 でも、病気ってものはすぐに病名がつくものは少なくて、時間を待たないとわからないことが多いって事は職業柄私はすごく良くわかります。

 これを読んで、多くの人は病院に行ったら、すぐに病名がついて、治療法が確定して、お薬飲んだら治るって思ってるのか〜〜って、良くわかった。

 もちろん、インフルエンザは今は検査したらわかるようになったし、尿検査したらぼうこう炎ですとか、怪我をした時には消毒しましょう、骨折してたらその手当をしましょうなど、すぐに解決する病気もあるけれど、はじめからこれって決められない病気もたくさんあるわけです。

 その中から、医者は必要と思われることを問診し、診察し、検査して探っていくわけで、その中では薬を試してみて、様子を見るってこともあるわけですね。

それがわかっていないと、医者への不満や不安が出てくるのかな?

 人(動物)の体も、疾病も単純ではなく複雑系であるという事。
病気とは多面的であるという事。

それをわからないと、これにはこれ!って言って単純化してくれる怪しい民間療法に騙されやすくなってしまうってことも。

 癌やアレルギーについてもわかりやすく説明してくれています。
この辺りは、病理医らしくて分かりやすい。

 この本は一般の人に、病気とは?医療とは?ということを、医者の立場からの見方をわかりやすく説明することによって、患者からの病気へのアプローチの仕方をアドバイスしてくれる良い本だと思います。

巻末の参考図書に面白そうな本がありました。



病気と平気の間という問いの答えの一つは

 病気とは「こないだまでの自分がうまく保てなくなること」
 健康とは「こないだまでの自分をうまく保ち続けること」(ホメオスタシスが働いている)


ちょうどタイムリーな感じで読んだのもあるけれど、とても良い本でした。
ツイッター見るだけでなく、またヤンデル先生の本読みたいな〜〜。



 
 

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