特定非営利活動法人チェルノブイリへのかけはしの公式サイト&ブログ から全文掲載
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性器の被ばく
8月 18th, 2012 · 26 Comments
どうやって表現したらいいのか、書きあぐねています。
ベラルーシで子供たちを甲状腺検査をしていただいたとき。
男の子たちが変な顔して出てきます。
「どうしたの?」
「パンツ下げられて、ボコって押された」
ー甲状腺の異常、成長ホルモンの分泌異常。心配なのは小児甲状腺ガンだけじゃない。
だから、性器の発達についても、チェックすると。
発達の遅れ、さまざまなトラブル、形状の異常などなどが起こってくると。
甲状腺の異常は、甲状腺だけの問題ですまない!
昨年、スモルニコワ先生から、日比谷公園で、マラソンの準備のために、汚染アスファルトに座っている男性たちに、「性器が被ばくするから座るんじゃない」と言いに行かされた話をブログに書きました。
0.12マイクロシーベルト/h前後だったでしょうか。「そのカウンターを見せたらわかるから」と笑顔で(あなたの言いたいことはきっと伝わるはず)というスモルニコワ先生のスマイル光線を背中かから浴びて、私はしぶしぶしぶ、警告を告げに行った話。
でも、そのとき、正直、私にはその話の怖さの実感がありませんでした。
私達が保養で受け入れていた子供たちは小学生でしたし、大きい子供がいても、性器の発達うんぬんの話などするわけもありません。
(広島のBBCに連れて行かれた被ばくされたかたが、性器の大きさや形状まで裸でチェックを受けたというくだりも嫌がらせかと思っていましたが、実際に、調査をしていたのだと思いました)。
今回、ベラルーシの医療現場に実際にいってみて、はじめて事の重大さがわかりました。
汚染された砂や土、学校のグランドで子供たちが運動したり、座り込んだり、どろんこ遊びしたり、体育座りをしたり、腹ばいをしたりすることがどんなに危険なことなのか。
ガンマー線を溜め込んだ水(プール)の中に子供たちを漬け込むことが、安全だというデータも何もない。
勝手につくられた基準以下だから安全の「はず」とされているだけ。
『内部被ばくを生き抜く』(鎌仲ひとみ監督)のスモルニコワさんの特典映像をご覧になってください。
鼻血を甘く見ないこと、すべての始まりの序章であり、シグナル。それを放置したらいけない。
わずか2才で子宮がんになり、子宮の一部が解け出してしまったナースチェンカの小児がんとの戦いの症例が語られています。
(お医者さんに調べてもらったら、年齢はともかく、そういう珍しい症例は世界でも数例あるのだそうです)
ベラルーシでの甲状腺検査のときの話、日比谷公園での話、ナースチャンカの話が、自分の中で一つになり、それは、本当に恐ろしいことだと今更ながら身の毛がよだちました。
私が自分で見たのは、女の子の性が、第二次性徴のときに、男の子に変わってしまって入院していた子たち。
ベラルーシでの汚染地域での妊娠、女性10人に二人の割合。表に出ない数字。
大人が誰一人として、子供たちの人生に責任取れない。
政府は、住民に補償ができないのなら、まずは早急に子供たちを避難させたり、疎開させたり、保養させるべき。住宅ローンをストップすべきだ。放射能が高い低いにかかわらず。
家族一緒に避難できるように取り計らうべきだと思う。
26年たってみて、ベラルーシでの汚染された地域とそうでない地域の政治的にも、環境的にも、経済的にも落差が激しい。
日本はそのような差がでないために、日本中に汚染された汚泥やガレキをばらまいているけれど、今は、汚染のない土地や畑を死守し、子供たちを守ることに命をかけるときだと思う。
子供を守れず、私達の命の意味があるか?
今まで無関心だったお父さんたちにも、どうか考えて欲しい。
放射能は私達の遺伝子を切断し、DNAをおかしな形に修復することがある。赤血球の形状も変わって突然死を引き起こすこともある。
全員が同じ症状が出ることがない。
しかし、父親ならば男の子の性の成長の危険を、放置できないはずだと、わかるはずです。
(この話題を書くときに、逡巡した。決して差別のために、この話題が使われませんように。どうかどうか子供たちを守るために)
まだ、再稼働しますか?まだ、このエネルギーに頼りたいですか?
泣き寝入りすれば子供たちの被害が増えることをどうか思いやってください。
ベラルーシの宿舎でた日本の女の子たちの部屋からこんな声が聞こえてきました。
「『私たち、ながいきできますか?』だって、本当だよ!」(怒)
「そうだよ、そうだよ、本当に長生きできるのかっ」
「政治家は何をやってんだ!」とアジテーションが聞こえてきました。
『福島の子供たちからの手紙』という本をベラルーシのサナトリウムの施設長さんにプレゼントしようと思って置いていたら、それを子供たちがみつけて読み始めていたのです。
子供たちのさまざまな思いが込められた作文や手紙が載っています。
口々に、「本当だよ」「わかる、わかる」「いったいどうしてくれるんだ!」という小学生の女の子たちの聞こえてきた声を聞きながら、ひたすら心の中で、わび続けました。
ごめんね、力がなくて、今に、みんなであの総理大臣をひきずりおろして、みんなを安全な場所で安心して、とんだりはねたり外で思い切り遊べる場所を探すからね。道は遠いが、急がねばならない。
予防せよ!