![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/3a/ec22530cfb646fe28829aba7f61a49f1.jpg)
テン・ツク・ポン・テケ・テン・トコ・テン・テケ・ツク・ポコ・チン
怪談『大絵図』
ようこそのお運びでございます。
日本の夏に欠かせないのが、昔から怪談噺でございます。
「こう暑いとなんだな、団扇(うちわ)ぐらいじゃ追っつかないな。
ひゃーっと冷たい風が吹かねぇかな・・」
「クーラー入れたらいいだろう」
怪談『大絵図』
ようこそのお運びでございます。
日本の夏に欠かせないのが、昔から怪談噺でございます。
「こう暑いとなんだな、団扇(うちわ)ぐらいじゃ追っつかないな。
ひゃーっと冷たい風が吹かねぇかな・・」
「クーラー入れたらいいだろう」
「・・それじゃあ、情緒ってもんがねぇだろ」
「じゃあ、寄席に行って怪談噺を聞こうじゃねぇか」・・とまぁ、
「じゃあ、寄席に行って怪談噺を聞こうじゃねぇか」・・とまぁ、
こうなる仕組みでございます。
大阪夏の陣から早や数年、幕府の置かれた江戸はいよいよ発展し、
世はすっかり徳川の時代になりましたようで・・。
徳川の世になったとはいえ、天下は隅から隅まで安定した<・・というわけにはまいりません。
まだ、全国のいたるところに豊臣恩顧(おんこ)の大名がおりましたし、
関ヶ原合戦や大阪夏冬の陣で禄を失った浪人がうようよしておりました。
季節はちょうどいまごろ、蒸し暑い夜でございます。
江戸城奥の老中溜まり場では、「全国大名領地一覧大絵図」の書き換え作業をやっております。
これは、毎年、領地移封やお取り潰しなど、
大名の世界もけっこうリストラや人事異動がありますので、
データを常に更新しておかねばなりません。
おりしも四人の老中が額を寄せあって、畳 3 枚分ぐらいの大きさもある「大絵図」を囲んで、大名の名前を書き換える作業をしておりました。
ひと通り書き換え作業が終わり、・・さて、
大名の総数に間違いがないかどうか数える段になりますと・・・。
この日は、どうしたわけか何度数えても、・・数が合わない・・。
それも一つや二つではなく、十も二十もズレが出てくるというわけで・・。
老中いろは守 「きょうは、妙でござるな・・?こんなに数が合わないということ
大阪夏の陣から早や数年、幕府の置かれた江戸はいよいよ発展し、
世はすっかり徳川の時代になりましたようで・・。
徳川の世になったとはいえ、天下は隅から隅まで安定した<・・というわけにはまいりません。
まだ、全国のいたるところに豊臣恩顧(おんこ)の大名がおりましたし、
関ヶ原合戦や大阪夏冬の陣で禄を失った浪人がうようよしておりました。
季節はちょうどいまごろ、蒸し暑い夜でございます。
江戸城奥の老中溜まり場では、「全国大名領地一覧大絵図」の書き換え作業をやっております。
これは、毎年、領地移封やお取り潰しなど、
大名の世界もけっこうリストラや人事異動がありますので、
データを常に更新しておかねばなりません。
おりしも四人の老中が額を寄せあって、畳 3 枚分ぐらいの大きさもある「大絵図」を囲んで、大名の名前を書き換える作業をしておりました。
ひと通り書き換え作業が終わり、・・さて、
大名の総数に間違いがないかどうか数える段になりますと・・・。
この日は、どうしたわけか何度数えても、・・数が合わない・・。
それも一つや二つではなく、十も二十もズレが出てくるというわけで・・。
老中いろは守 「きょうは、妙でござるな・・?こんなに数が合わないということ
は・・? 」
老中にほへ守 「各々方、少々疲れたのではござらぬかの ? 」
老中とちり守 「昼からぶっ通しでござるからな、もう夜更けでもあり、
この辺で休息といたしては、いかがでござろう・・」
老中いろは守 「それがいい。・・だが今夜は妙にじとっとして薄気味悪い晩で
老中にほへ守 「各々方、少々疲れたのではござらぬかの ? 」
老中とちり守 「昼からぶっ通しでござるからな、もう夜更けでもあり、
この辺で休息といたしては、いかがでござろう・・」
老中いろは守 「それがいい。・・だが今夜は妙にじとっとして薄気味悪い晩で
ござるの 」
老中ぬるを守 「よしっ、これより一人ずつ順番に数え役をいたそう。
最初は拙者(せっしゃ)がやる。各々方は、まず、控えの間で休息
老中ぬるを守 「よしっ、これより一人ずつ順番に数え役をいたそう。
最初は拙者(せっしゃ)がやる。各々方は、まず、控えの間で休息
を取られよ 」
老中とちり守 「かたじけなく存知候・・。わしゃ、眠い・・ 」
「では、お先にごめん 」・・・というわけで、
三人の老中が控えの間に休息を取りに引き下がります。
老中溜り場から控えの間までは、長くて暗い廊下をいくつも曲がって行きますが、
・・所々に壁掛けの行灯(あんどん)が、ぼんやりとあたりを照らしているだけで、
あたりは、しーんと静まり返っております。
時は、草木も眠る丑(うし)三つ時・・。どこか遠くの寺で鳴らすのでしょうか、
鐘の音が陰に隠(こも)って・・ご〜〜〜ん・・。
老中ぬろを守は、「明日は、上様に差し出さねばならぬからな・・」
・・と気を取り直して「大絵図」の前に座りますと、
・・・部屋の周りの襖(ふすま)がかすかにカタカタと揺れる音がします。
「はて、地震かな・・」と不審に思いつつも、
絵図の上を北から順番に一つ二つと数え始めます。
・・南の端まで数え終わると二百三十とでました。
「よしっ、こんどは南から数えてみよう 」・・とやはり一つ二つと数え始め、
・・やっと北の端まで数え終わると、なんと、二百五十・・と
老中とちり守 「かたじけなく存知候・・。わしゃ、眠い・・ 」
「では、お先にごめん 」・・・というわけで、
三人の老中が控えの間に休息を取りに引き下がります。
老中溜り場から控えの間までは、長くて暗い廊下をいくつも曲がって行きますが、
・・所々に壁掛けの行灯(あんどん)が、ぼんやりとあたりを照らしているだけで、
あたりは、しーんと静まり返っております。
時は、草木も眠る丑(うし)三つ時・・。どこか遠くの寺で鳴らすのでしょうか、
鐘の音が陰に隠(こも)って・・ご〜〜〜ん・・。
老中ぬろを守は、「明日は、上様に差し出さねばならぬからな・・」
・・と気を取り直して「大絵図」の前に座りますと、
・・・部屋の周りの襖(ふすま)がかすかにカタカタと揺れる音がします。
「はて、地震かな・・」と不審に思いつつも、
絵図の上を北から順番に一つ二つと数え始めます。
・・南の端まで数え終わると二百三十とでました。
「よしっ、こんどは南から数えてみよう 」・・とやはり一つ二つと数え始め、
・・やっと北の端まで数え終わると、なんと、二百五十・・と
完全に狂った数になります。
老中にほへ守 「ぬるを守殿は、ずいぶんと遅うござるな 」
・・とそのとき、部屋全体がゆさゆさと揺れ、太鼓の音がドロドロ・・・
老中いろは守 「よしっ、身供(みども)が様子を見て参ろう 」
・・と老中いろは守が席をたち、先ほどの部屋に向かいます。
ですが、・・行ったきり、戻っては来ません・・・。
・・で、またしても部屋全体がゆさゆさと揺れ、太鼓の音がドロドロ・・・
老中にほへ守 「妙だな・・・。では、拙者が見て参る 」
・・と出て行きますが、この人も行ったきりで・・・
またしても部屋全体がゆさゆさと揺れ、太鼓の音がドロドロ・・・
老中とちり守 「どうも様子が尋常(じんじょう)ではない ?
老中にほへ守 「ぬるを守殿は、ずいぶんと遅うござるな 」
・・とそのとき、部屋全体がゆさゆさと揺れ、太鼓の音がドロドロ・・・
老中いろは守 「よしっ、身供(みども)が様子を見て参ろう 」
・・と老中いろは守が席をたち、先ほどの部屋に向かいます。
ですが、・・行ったきり、戻っては来ません・・・。
・・で、またしても部屋全体がゆさゆさと揺れ、太鼓の音がドロドロ・・・
老中にほへ守 「妙だな・・・。では、拙者が見て参る 」
・・と出て行きますが、この人も行ったきりで・・・
またしても部屋全体がゆさゆさと揺れ、太鼓の音がドロドロ・・・
老中とちり守 「どうも様子が尋常(じんじょう)ではない ?
よしっ、もう我慢ならぬ 」
・・と、急いで先ほどの部屋に駆けつけざまに、襖を開けて、
あっ !! と息を呑んだ。
・・なんと、先ほどの「大絵図」の中に老中にほへ守の体が半分ほど引きずり込まれ、
足だけがむなしく空にもがいております・・。
老中とちり守 「もしっ、いかがなされた !! 」
・・急いで足を引っ張ってみるのですが、ものすごい力で引きずり込まれており、
何ともしようもありません。みるみるうちに老中にほへ守の身体は、
「大絵図」の中に消えてしまった。
老中とちり守が、恐るおそる「大絵図」をめくって見ると、
その下は畳だけでして、大きな穴など開いておりません。
絵図にも穴など無く、元のままでございます。
老中とちり守 「さても奇怪なことがあるものよ・・ !? 」
・・とその場に呆然(ぼうぜん)と立ちすくんでしまいました。
・・と、その時、背後にものすごい殺気を感じ、おもわず脇差しの柄(つか)に手をかけ、
振り向いたとたん・・「おおおっ・・ !!! 」・・あとは声にならなかった。
背後の大襖(ふすま)は、すべて消えて無くなり、その向こうの薄暗い大広間には数百の・・いや、
無数の鎧(よろい)武者達が、無気味に光る目で、一斉に、じ〜っと
こちらを睨(にら)みつけております・・。
そして、その鎧武者達の中ほどに、白装束にざんばら髪の男女が二人、青白い顔につり上がった目で刺すように老中とちり守を睨みつけております。
「もしや、・・秀頼公と淀の方の怨霊・・ !! 」と思うまもなく、
老中とちり守の体は金縛(しば)りになり、
そのまゝ、つ---っと宙に浮いたとみるや、
その状態で大広間の鎧武者達の中にす---っと吸い込まれて行った。
さあ、翌朝の江戸城内は大騒ぎですな。
なにしろ、老中溜まり場には、裃(かみしも)を着た四人の老中の白骨死体が
ころがっていたのですから。
さらに、例の「大絵図」中の全国大名領地は全て、豊臣方の大名の名前に
書き換えられていたそうで・・・。
この一件は、表沙汰にはされませんでしたが、怖〜い話として秘かに語り伝えられた
そうにございます。例の「大絵図」は、その後、豊臣神社に奉納されましたとか、
・・巷(ちまた)の噂(うわさ)でございます。
お後がよらしいようで・・・
・・と、急いで先ほどの部屋に駆けつけざまに、襖を開けて、
あっ !! と息を呑んだ。
・・なんと、先ほどの「大絵図」の中に老中にほへ守の体が半分ほど引きずり込まれ、
足だけがむなしく空にもがいております・・。
老中とちり守 「もしっ、いかがなされた !! 」
・・急いで足を引っ張ってみるのですが、ものすごい力で引きずり込まれており、
何ともしようもありません。みるみるうちに老中にほへ守の身体は、
「大絵図」の中に消えてしまった。
老中とちり守が、恐るおそる「大絵図」をめくって見ると、
その下は畳だけでして、大きな穴など開いておりません。
絵図にも穴など無く、元のままでございます。
老中とちり守 「さても奇怪なことがあるものよ・・ !? 」
・・とその場に呆然(ぼうぜん)と立ちすくんでしまいました。
・・と、その時、背後にものすごい殺気を感じ、おもわず脇差しの柄(つか)に手をかけ、
振り向いたとたん・・「おおおっ・・ !!! 」・・あとは声にならなかった。
背後の大襖(ふすま)は、すべて消えて無くなり、その向こうの薄暗い大広間には数百の・・いや、
無数の鎧(よろい)武者達が、無気味に光る目で、一斉に、じ〜っと
こちらを睨(にら)みつけております・・。
そして、その鎧武者達の中ほどに、白装束にざんばら髪の男女が二人、青白い顔につり上がった目で刺すように老中とちり守を睨みつけております。
「もしや、・・秀頼公と淀の方の怨霊・・ !! 」と思うまもなく、
老中とちり守の体は金縛(しば)りになり、
そのまゝ、つ---っと宙に浮いたとみるや、
その状態で大広間の鎧武者達の中にす---っと吸い込まれて行った。
さあ、翌朝の江戸城内は大騒ぎですな。
なにしろ、老中溜まり場には、裃(かみしも)を着た四人の老中の白骨死体が
ころがっていたのですから。
さらに、例の「大絵図」中の全国大名領地は全て、豊臣方の大名の名前に
書き換えられていたそうで・・・。
この一件は、表沙汰にはされませんでしたが、怖〜い話として秘かに語り伝えられた
そうにございます。例の「大絵図」は、その後、豊臣神社に奉納されましたとか、
・・巷(ちまた)の噂(うわさ)でございます。
お後がよらしいようで・・・
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます