夢と現実のおとぼけバラエティー

実際に夢で見た内容を載せています。それと落語や漫才・コント・川柳・コラムなどで世相を風刺したりしています。

創作落語 「長屋の夫婦喧嘩」

2020-04-07 11:48:35 | 夢と現実のおとぼけバラエティー
        



    テン・テン・ツク・ポン・テケ・テン・テン・テケ・ツク・ポン      


      え〜、まいどのお運びで、ありがとうございます。

 そちらのお客さん、あたしの顔ォ見て、もう笑っていらっしゃいますけど、

   え〜、まだ、話しァ始まっちゃァおりません・・。

     え〜、いまから、始まりますので、・・へぃ。

    え〜、どうも世の中にァ、いろいろな癖(くせ)をお持ちの方が

    いらっしゃいますようで・・。

      むかしから、「無くて七癖、有って四十八癖」とか申しますが、

    いまァ、世の中多様化の時代ですから、

     「無くて700癖、有って4800癖」ぐらいなんでしょうが、

  まあ中にァ、人とモメ事ォ起こしてないと、どおも落ちつかねぇ、なんて

   ともかく、ごたごたモメてると楽しいんだそうですな。

    そうかと云いますと、覗きが趣味で、穴が開いてると、

      どおも覗かないと気がすまない。

   手直かに穴が無いときは、猫のケツの穴まで覗いてしまうとか・・、

     最近は、ケータイで、なんですな、スカートの下の方角から

       写真撮るとか、

     それォ、インターネットとかで流すとか、

    はた迷惑な癖をお持ちの御仁もいらっしゃいますようで・・。

   え〜、落語の世界に出て参ります「裏長家」と申しますのは、

    「九尺ニ間に戸が一枚」なぞと云われまして、

   間口が九尺、奥行きが二間という、早い話が六畳の広さしかない。

      入口を入るってぇと土間になっていまして、

         脇に竈(かまど)と台所があるから、

     寝起きする処は正味四畳半ってぇことになります。

       おまけに建て付けはひどくお粗末に出来ておりまして、

     壁は薄い板一枚、節穴もそこかしこに空いているもんですから、

    隣の生活は丸見え。プライバシーなんてぇものとは、

     まったく無縁な世界でございます。

      こういう処に住んでいる連中が、癖だらけの連中ですから、

     まあ、たいへんな騒ぎで・・・。

(ワープステーション江戸)

  「おう、見ろよ。八の嬶(かか)ァ、けっこうデカパイだなぁ」

 

嬶あ 「お前さん、覗き見はお止しよ。まるで出歯亀じゃあないか」

 

  「まア、いいじゃあねぇか。こォいう機会は、めったにあるもんじゃァね

     ぇ・・・」

 

嬶あ 「いいかげんにおしッ。ひとの女房のおっぱい見て、どこがいいんだイッ」

 

  「てやんでぇ。なんたって、ひとの女房のデカパイたぁ、

    新鮮でいい眺めじゃねぇか」

 

嬶あ 「デカパイ、デカパイってね、

 

   あんなデカいと赤ん坊が乳飲むとき、息が詰っちまうってもんだよッ 」

 

  「なに、ペチャパイよりゃァ、ましだろう。

 

    ペチャパイだったら、体中探したって、


    おっぱいがどこにあるか分らねぇって、

 

    赤ん坊がネをあげらァ・・」

 

嬶あ 「おや、あたしのこと、ペチャパイだってのかィ?」

 

  「そうじゃねェ、・・世間一般のことだ」

 

嬶あ 「ふん、うまくごまかしたね。あんなもん、若いうちはいいヨッ。

 

   向こうの横町のお婆さん、若い時はデカパイだったらしいけどね、

 

   いまじゃ、前にぶら下がってるのが邪魔で、湯やに行くと、

 

   えいっと、背中に放り投げてから、前を洗ってるありさまだョッ」

 

  「そォいう景色もまた、見ものだなぁ・・」

 

嬶あ 「いいかげんにおしッ」

 



 ・・なんて、夫婦喧嘩が始まります。
え〜、斜(はす)向かいには、大工の留公ってぇ、
これまた妙な癖ぉ持ってる奴が住んでまして・・・、
 眠くなったら、どこでも構わず寝てしまうという、困った癖でございまして・・、
 ある処の棟上げ式のとき、屋根の梁のところに、黒っぽい塊があるってぇから、
 よぉく見たら、奴が眠りこけていたってなもんで・・・

嬶あ 「うちのひとは、まだ帰ってこないのかねぇ、ふんとに・・。 

   今日は仕事が早く終わるというから、

   目指しを買って来て1本付けて待ってるのに・・

 

    ちょっと、表を見てみようかしら・・(ガタガタガタ・・・)

 

    あらら、何だネェ・・、こんな処で人が寝てるヨ! 誰だィ?

 

    なんだィ、うちの宿ろくじゃないの!

 

    ちょィと、お前ィさん、起きなヨッ! 

    眠かったら、家ん中に入って寝たらいいだろッ!」

 

留公 「なんでぇ! うるせぇな。おれァ、疲れて帰ぇって来て眠いんだ!

 

    人からごたごた云われる筋合いはねぇッ」

 

嬶あ 「なにを云ってんだヨッ! 世間体てもんがあるだろッ!

 

    えッ、あすこの亭主は、奇人変人だってね、噂が立つだろッ!

 

    もう、立ってるけど・・」

 

留公 「なんでぇ、立ってるものなら、そのままでいいじゃあねぇか。

    いまさら、横にするこたァねぇ」

 

嬶あ 「屁(へ)理屈いうんじゃないヨ。

   

   お前ィさんは、どんな噂でも蛙のツラに小便だろうがね、

 

   あたしゃ、どうなるんだィ?


    あぁ、あすこの嬶あは、奇人変人の亭主ォ持って、

 

   なんて気の毒なこった・・て、哀れみの眼で見られるんだ」

 

留公 「べらぼーめェ! 俺だってなァ、好き好んで表で寝てるんじゃねぇや。

 

   こちとらなァ、汗水たらして働れェて帰(け)ぇって来てるんでぇ。

 

   ここまで、へとへとになって戻って来たんでぇ。

 

   やっと着いたんだァ! 何で寝て悪いんだ?」

 

嬶あ 「まるで、行き倒れの行者みたいなこと云うんじゃないよ!

 

    お前ィさんが寝てた処は、戸口まで、あと一歩かニ歩だろ!

 

   手を伸ばせば戸に届くじゃないか」

 

留公 「その一歩か二歩でも、辿り着く力が無かったんでぇ。

 

   だいたい、亭主をつかめぇて、奇人変人たァ、なんてこと言やがる。


   モ、モラルの低下だァ。

 

   えっ、誰のおかげでお天道様ァ、東から昇って来ると思ってんだ?」

 



 べつに、留公のせいで、お天道様が昇ってくるわけじゃないんですが・・。


嬶あ 「つべこべ云ってないで、サッさとお入りよ! 

   いま、お隣の喧嘩が、いいところなんだから、静かにおしッ」

 



    また、新手の夫婦喧嘩がぼっ発しましたようでございます・・。


 

           おたいくつさまで・・ 


                     

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