「AX(アックス)」伊坂幸太郎
やったぁ!
伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ、めっちゃ好き。
キャラクターが全体的にとぼけてて、
あいらしいというか、かわいらしいというか。
中でも「マリアビートル」の蜜柑と檸檬が
かなり好きなんだけど、最後がかなしい…
もうこのシリーズは出ないのかと思ってたし、
2018年の本だけど、なかなかゆっくり
本屋さんに行けなくて、そんななかで
見つけたからうれしくて、即買い。
るんるんで読んだ。
殺し屋の兜は、実は妻子持ち。
そのうえかなりの恐妻家。
ひたすら機嫌を伺う日々。
でもずっと1人で生きてきて、
悪いことばかりしてきたから、
家族がなにより大切。家族のために
裏の仕事を辞めたいけど、
辞められない日々が続いていた。
葛藤し続けている兜の日常が綴られているんだけど、
妻に対する感じがかわいいというか、
やばい自分もこんなだったらどうしよ、
みたいな笑
息子の冷めてる感じがいい。
心の中では親父の味方だけど、
表面的にはどっちでもない、ていう。
いい立ち位置だわぁ。
兜がめちゃくちゃ強くてかっこよい。
いろんな業者が寄ってくるんだけど、
なんとか蹴散らしていく。
せっかく友だちになれるかもしれなかった
ボルダリング仲間のために
自分のチカラを使うんだけど、
結局会えなくなって、
とっても哀しそうな言葉が…
なんだか一緒に泣いてしまいそうだった。
早く仕事を辞めたいのに、
仲介の医者が辞めさせてくれない。
家族に危険が及ぶと言ったり、
今まで兜にかけてきた分のお金が
まだ足らないとか。
ありがちー。
でも息子が、無理な選択肢を用意して、
できないならこうなりますけど、
それでもいいんですか?っていうやり方は
詐欺師だって言ってきて、納得の兜。
どうにか一矢報いてやることを決意。
ちょっとネタバレしますが…
少し似たような雰囲気の警備員と
なんとなく仲良くなりつつあったのに、
実は同業者。勘違いから殺し合いに。
これ以上殺しをしたくない兜は、
警備員を殺さず、もう2度としないと宣言。
それから数日後、兜はオフィスビルから
飛び降りて死亡する。
衝撃!
うそだぁ!
家族で幸せに…とはいかないのが
伊坂幸太郎だわ。
それでも最後は幸せにまとまるはず…
と思いながら読み進めていくんだけど、
きっとここでこうなるはず!
と予想してたら、やっぱりその通りで、
そのときはかるくガッツポーズ!
ああ、最後はなんて素敵。
兜がいないのがさみしくてさみしくて、
それでも遺った人たちが
思い出して笑ったり、泣いたり、
あたたかい気持ちになったり、
今ここにいてくれたらいいのに、と願う。
ほんとにそうだな。
大切な人を失うと、人はみんなこうなんだな。
それがこうして文章になると、
あたたかい気持ちが広がっていく。
殺し屋の話なのに、不思議。
すごい伊坂幸太郎の小説!って感じで、
読み終わるのがもったいなかったぁ。
でもほんとにおもしろかった。
このシリーズ、続くといいなぁ。
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