小学6年生夏
春から夏に変わる頃、私は田舎町に
転校した。
転校先の小学校は、転校生が滅多に
来ないらしく、珍しがられていて、
私は、体育館の舞台で初日に
転校の挨拶をさせられるなどの
手厚い歓迎を受けた。
元々人見知りで表舞台に立つ様なタイプ
では無かったから、舞台に立って挨拶
なんてできれば避けたかった。。
でも、やり切った。
教室に入ると一クラスしかなく、
みんな小さい頃から一緒に居る
いわゆる幼馴染たちとそのままクラスに
入って勉強している、感じが伝わった。
男女とも仲が良く、言いたいことも
言い合える関係性が伺えた。。
私は、こんな関係性の中に飛び込めない
ことを、初日から悟った。。
親には、仲良くなれる友達できたか?と
聞かれる度に、うん。と
心配かけたくなくて嘘をついた。。
最初の頃は、気を使って話掛けてくれる子は
いたが、、育ってきた環境がちがいすぎて
話が合わなかったし、
みんなと仲良くなれる気が
しなかった。
私も合わせようとは思っていなかった。
転校した次の日、前の小学校から
テストが返ってきた。
全部100点だった。
見られたくなかったのに、隣の男子に
見られてしまった。。
先生の返し方もデリカシーがなかった。
私は、したくもない頭のいいキャラに
なっていた。。
でも、心の中で最初にいい点数をみせつけたから、勉強は頑張らなくてもいいと思った。
その後、わるい点数を取っても、先生は何も言わなかったし、親も私を見ることないから、点数のことなんて干渉してこない。
それでいい、と思った。
その頃の家庭環境は、今まで家族五人で
過ごすことがあまり無かったために、
父とどう接していけばいいのか分からなかった。。
父も、入院しなければならなかったが
私たちのために家に居ることが多くなった。
家事も率先してやってくれていたが、
母の職場が遠くなって帰りが遅くなると
父の怒りが母へ向くようになった。
その度に、私と兄で父を止めるという
生活になってきていた。。
引っ越しをして自由になりたかったのに、
待っていた現実は、学校では勉強が出来る訳じゃないのに、出来るフリをして、友達を作らない一匹狼を演じて、家では、父の怒りが誰にも向かないように気を使う生活だった。
そんな生活を続けていたある日、
家に2通の手紙が届いた。
1通目は、2年生の時に私に嫌がらせをしていてその後仲良くなった、サーチャン。
もう1通目は、仲良しグループの1人だった、ユキエチャンだった。
初めての経験で嬉しかった。
私もお気に入りのレターセットを手に入れて
すぐに2人に返信した。
ユキエチャンとは、1ヶ月程、文通した後、連絡が途絶えたが、、
サーチャンとは、1年ほど文通が続いた。
学校の中のたわいない話を書くだけだったが
楽しかった。
私は、学校で友達が居なかったが、サーチャンに知られたくなくて、あたかも新しい学校の友達と仲良く過ごしているように文章を書いて送っていた。
今、思うと本当に申し訳無かったな、と思うのだが、、その文通してる間だけは、本当の自分じゃない自分になっているような感覚で、癒された。
小学6年の冬
学校に行くのが嫌だった。。
家に居るのも嫌だった。
友達が居ない自分も嫌だった。
偽りの自分が、いつかバレてしまうんでは
ないかと恐怖だった。
本当は、心の何処かで、このままでは
自分自身が駄目な人間になりそうで
そこが一番怖かった。。
少しずつ変わらなくちゃいけないと
思い始めたころ
学校の一階角部屋がフリーの教室に
なっていることに気がついた!
休み時間に、一人で机に座っていなくちゃ
いけないのが苦痛だった。
誰にも邪魔されない、自分だけの空間を
学校内で探していた。
いい場所を見つけた!と思った。
休み時間のたびに、その教室に行った。
しかし、同じクラスのマサコチャンと
トミー(ナカムラくん)に見つかって
しまった。。
どうしよう、と思ったが、勇気を振り絞って
ここいいよね、と話しかけた。
マサコチャンもトミーも最初は、驚いていたが
私と同じで、誰にも邪魔されない場所を
探していたらしい、、仲良くなれるかもと
思ったが上手くは行かなかった。
クラスの中に居る時は、目も合わせず、会話もしない、しかし、フリー教室に居る時は
会話をするという、謎の交流だった。
でも、私には、一歩前進だった。
卒業式
私は、長かった髪を短く切った。
中学生になったら、友達をいっぱい
作るという目標を立てた。
そう、中学生デビューをすることを
心に誓ったのだ。
大人になって気づいたこと
人見知りが6年から編入して友達を
作るのは、大変なことだった。
でも、嫌がらせをされる訳でもない、
陰口を言われる訳でも無かったから
その場に居れただけ、よかったのかも。
学校と家庭内、前の学校の友達との
やりとりが三重人格すぎて、、
今、思いだすと笑ってしまう。。
でも、当時は、そうするしか、自分の存在意義を見出すことが出来なかったのかもしれない。
嘘をついてはいけないが、、
時に、自分を守るための嘘は、ついてもいいのかもしれない。と思った。
今日もありがとう😊