大人の発達障害、障害者として生きる

障害者雇用で就職し、障害者年金をもらうまでを描いた漫画。その漫画を「僕」の「母」が解説をつけて紹介します。

③ 仕事ができない「具体例」の話

2024-04-10 22:09:28 | 情報提供
この投稿記事は
① 仕事ができない「僕」の話(← リンクしてます)からの続き記事です。そちらを先に読んで頂けると、ありがたく思います。

仕事ができない「僕」の話(← リンクしてます)の漫画がもとネタです。
この漫画では冒頭いきなり、主人公である「僕」が仕事で失敗をするところから始まります。
仕事ができない「僕」
こんなことができないそうです。



2つのことが同時に出来ない
これは発達障害あるあるですね。
この特性のせいで「お皿を割る」失敗もおこります。

「お皿を落とさないように」「お客様の邪魔にならないように」「運ぶ」すでにここで3つのことを同時にやっています。なんとか出来ています。
ここで、新しいお客様がお店に来店されたかもしれません。
「いらっしゃいませ!・・・・と言わなきゃ。」そこに神経がとんだ瞬間、
お皿へかけていた神経が新しくきたお客様へ移動しました。で、お皿を落としてしまいました。
こういうことかもしれません。

オーダーミスはこんな感じかもしれません。
お客様からオーダーをうかがって最後の確認をします。このときお客様が「あっ、やっぱりアイスクリーじゃなくて杏仁豆腐に変更して」と言ったとしましょう。
「かしこまりました。」とオーダーの入力を変更しようとしたその時、隣のテーブルのお客様が伝票を持って立ち上がりました。
「あ!お会計のところに行くんだ。オーダーとったらレジに入らなきゃ。」と、神経がとんだ瞬間、入力を変更することから神経が離れ、入力変更しないままオーダーを出してしまった。
こういうことかもしれません。



曖昧な指示はわからない
店長の指示が「あいまい」なんです。
「気をつかう」って何をどうすることなのか分からない。
具体的に「○○○の場合は○○○しないように。」「△△の場合は△△して」と言ってくれれば分かります。

このような「あいまいな指示」は意外に多く
「部屋のゴミ箱のゴミがある程度たまったら、外の大きなゴミ箱に入れてきてくれ。」
リアルで言われたそうです。
ある程度 これが分かりません。
私も息子もゴミ箱の95%までゴミを入れます。この指示を出した先輩は、どうやら80%を超えたらある程度だったらしく。怒られたそうです。
「そんな「ある程度」なんて人それぞれの感覚なんだから、発達障害じゃないお母さんだって分かんないよ!(怒)」と、息子に言ったのですが、「怒られた」という事実にすっかりしょげていて、可哀そうでした。

ほかにも。
「このボタンを押すと機械が動くから、ちょっと固いから少しに押してね。でもあんまり強く押しすぎると壊れるから、加減して。」
これだけあいまいワードが入っていると、けっこう悩みます。(「少し」ってどんな?「加減」?)
しかも「壊れる」というおどし付き。

これも分かりません
「お客様が服みたいな商品をご購入されたときは、丁寧にたたまなくていいけど、軽くたたんでお渡ししてね。」

私も今でも時々やってしまいますが
● 曇っているけど洗濯物がたまっているので、風にあてるだけでも多少違うからベランダに出しました。
● 急に友人からLINEが入って、出かけることに。
● 「3時間くらいは帰ってこれない。洗濯物どうしよう。取り込むか?そのままにして行くか?天気予報では雨は降らないことにはなっているが。(悩)」
● !そういえば、今日は息子は家にいて一日出かけないと言っていたぞ(ニヤリ)
● 「ねえ、今日出かけないなら、洗濯物がベランダに出てるからさ、空がなんとなく暗くなって雨降りそうになったら洗濯物取り込んでおいてくれない?」
あいまいワードが2つも入っています。
しかも、家にいるからといって何もしないわけではなく、息子は息子でやりたいことがある。
それをやりながら空にまで気を使う。2つのことを同時やるのが苦手な息子には酷なミッションでした。



息子の場合、「仕事ができない」原因となる大きな特性がもう一つありました。
作業が遅い
です。

ファミレスなら、テーブルを片付ける・拭いてキレイにする。
販売するお店なら、値札をつける。棚卸をする。
工場のラインの仕事で採用された時は、動くラインの速さに作業がついていけない。(この時は試用期間終了時に、「採用できない」と断られました。)

丁寧にやっているから遅いわけではなく、普通にやっていて遅いので「もっと早くやれ」などと怒られ、早くやると、今度は作業内容が雑になります。それはそれでまた怒られ。どうしたら良いか困っていました。



そんなカンジで
試用期間終了で不採用になった会社 2社
ギスギスした社内の雰囲気が耐えられず辞めたバイト 2社
怒られるのがつらくて辞めたバイト 4社

これだけでも八つの職場でうまくやっていけなかったのです。
息子が「障害者雇用促進法」を利用して「障害者雇用枠で仕事を探す。」と決めた頃には、息子のメンタルもかなり煮詰まっていたと思われます。



今日の投稿は、発達障害の特性を持っている「僕」が「仕事ができない」理由について解説してみました。あくまでも専門家ではない私の予想・想像です。でも、こんな風に考えて頂いて、少しでも発達障害への理解に近づけられたら。と思います。

次回 ④ 仕事をする上で、つらい想いをしているのなら(← リンクしてます)では、「僕」が「障害者雇用枠で仕事を探す。」と決めたシーンに出てくる内容について、少し詳しめに書きました。
ぜひお読み下さい。

②「発達障害」ある母の認識(こう理解して欲しい)

2024-04-09 10:26:00 | 情報提供
うちの息子が漫画を描いた。
仕事ができない「僕」の話
という漫画だ。

今から私は、この漫画に蛇足を付けようとしている。蛇足付きでこの漫画を紹介したいのだ。
どんな蛇足を付けるのか?
① 仕事ができない「僕」の話(← リンクしてます)
を、先に読んで頂けるとありがたい。

まずはじめに、漫画の最初のほうで「僕」の「母」が大人の発達障害について
    生まれつき「仕事ができない」大人のこと
と、言い切っているコマがあるが、これについて



そもそも発達障害に大人も子供もない。なぜなら、発達障害は持って生まれたものだから。
「生まれつき」である。

発達障害支援法が 2005年に施行され「発達障害」という概念が徐々に広まり、現在は、知っている・聞いたことがある・なんだそれ。認知度ととしてはそんなカンジに分かれているのではないだろうか?
しかしながら、この法律のおかげで「発達障害」を持った子供たちの支援がなされ、その子供たちは支援されつつ、大人になれる。周りも「発達障害」の区分けで理解しようと努力してくれるだろう。これには学校や行政も関わっている。この子供たちのことを便宜上「子供の発達障害」と呼んでいる。

この法律が私たちの身近で効力を発揮し始めるのは 2005年より何年かあとである。したがって、 2005年頃すでに中学生くらいだった子供たち~大人は「発達障害」を持っていても、支援や理解は得られないまま大人になっている。そして、大人になってから「発達障害」という概念を知り、
「あれ! 自分(あるいは自分の近しい人)って発達障害?」と、大人になってから分かった。
この場合に「大人の発達障害」という区分けを使う。そういうことじゃないだろうか。



さて 生まれつき「仕事ができない」 このセリフである。

「生まれつき」はあっているが、「仕事ができない」は違っている。

この漫画でも、病院で検査を受けたときのエピソードに同様のことが描かれているが、
得意なことはものすごく出来るが、それ以外のことは極端に苦手(出来ない)
という発達障害の特性を持つ人もいる。

たとえばAくんがそのタイプだったとする。そしてAくんの仕事は彼が得意とするジャンルだったとする。
Aくんは「仕事ができない」人だろうか?「得意なことはものすごく出来る」のである。むしろ仕事が「出来る」人だろう。
でも、発達障害の特性のために仕事ができない人は多いみたいだ。

余談ながら、仮にAくんが結婚していたとする。彼は「得意なこと以外は苦手」という特性も持っているが、もし彼のパートナーが「Aくんはちょっと変わってるから」で済ませ、彼の苦手な部分の特性をフォロー出来てしまうタイプの人だったとしたら・・・
Aくんは、自分が発達障害だとはきっと思わない。

重要なことは「発達障害の特性を持っているがために、困ったり、つらい思いをして生きているかどうか」だ。
仕事ができなかったり、人間関係が上手くできなかったり。
私はそう思う。



発達障害だから「仕事ができない」は、正確ではない。なのになぜ作者である私の息子は、そう定義したのだろう。
聞いてみた。
「発達障害についてまったく知らない人に説明するのに、一番分かり易いから」
これが回答だ。

発達障害を持つ人が100人いれば、その特性は100通りだ。つらいこと・困ること、もそれぞれだろう。
そんななかで息子の場合、発達障害の特性を持って生まれたがゆえに
● 相手の期待するように「仕事ができない」のが一番つらい。
● しかも生まれつきだから、どう頑張っても、出来ないものは出来ない。
● だから「発達障害がある = 仕事ができない」(生まれつき)だと認識しておいてくれると、こっちも楽。

そういうことなんじゃないか。と、思った。

いい加減に仕事してるわけじゃない。頑張って、言われた通りに出来るよう努力してる。
でも、「生まれつき」だからどうしても努力で変えられない。
だから 怒るファミレス店長 こんな風に怒らないで欲しい。
「君が発達障害だというのなら、残念だがうちでは採用できない。転職を考えてくれないか。」と、おだやかに伝えるだけでいいのだ。「怒られる」という余分な「つらさ」は必要ない。



今日の投稿はずいぶんとリクツっぽい内容になってしまった。この私のブログが今後どうなるのか私にも分からないが、もう少し続けてみる。
次回 ③ 仕事ができない「具体例」の話(← リンクしてます)では、「仕事ができない」にツッコんでみようと思っている。
そちらも是非ご覧下さい。






① 仕事ができない「僕」の話

2024-04-06 23:02:45 | 情報提供
うちの息子が漫画を描いた。
仕事ができない「僕」の話
という漫画だ。

これは
「発達障害かも」と思われた息子が
発達障害と診断 → 障害者手帳取得 → 障害者雇用される → 障害者年金をもらう
までの手続き等について描いた漫画だ。

そこそこ分かり易く描かれている。と、思う。(のだが、親のひいきめか?!)

この漫画で重要なことは、一連の手続きについて紹介(解説)することであるので、多分にフィクションが混ざっている。
「僕」はうちの息子ではないし、僕の「母」は私ではない。
しかし、漫画中の「僕」は息子の分身でもある。

この漫画を読んだ私は、漫画の主旨とは別に
この漫画の内容について、リアルエピソードや解説をつけて紹介したいと思った。
「発達障害について知らない方には、少しでも理解してもらいたい。」
「生きづらさを感じて生きている方には、発達障害という区分けがあるということのメリットを」

今日は「① 」初めての goo blog投稿なので、とりあえず漫画のサイトにリンクを張った。
スマホで見るなら横向きがおすすめ。縦向きで見ると全て小さくて文字も読みにくい。

仕事ができない「僕」の話(← リンクしてます)



今日の投稿は、前置き。
②「発達障害」ある母の認識(こう理解して欲しい)(← リンクしてます)より本格的に解説(蛇足かも)
投稿しました。ぜひお読み下さい。