同席した力士ら関係者を取材すると、
横綱、白鵬の制止を振り切り、
制御不能だった日馬富士の様子が浮かび上がった。
「最初は鳥取市内にある幕内のある力士のおやじさんのやっているちゃんこ鍋屋で飲んだ。そして盛り上がって、もう1軒となったが、鳥取市にはクラブはないし、大勢入れる場所がなく、後援者が紹介した居酒屋のような店に行った」(同席した関係者)
この関係者によると、日馬富士は、1次会から貴ノ岩をよく思っていなかったようだったという。
「貴ノ岩は挨拶をしたつもりだったが、日馬富士は『なんだ、あいつ』とちょっとムッとしたシーンがあったそうだ。2次会では、ビール、日本酒、焼酎、すごい量がテーブルにならんだ。最初、日馬富士と貴ノ岩は離れた場所にいたが、ビールをつぎにまわった貴ノ岩たち若手といつしか位置が近くになっていた」
最初は同席していた横綱、白鵬が「俺ももう年だよ」と皆を笑わせ、それを受けて鶴竜も「俺は休んでいるのでもっとダメだ」とツッコミを入れてなごやかだった。
その時、貴ノ岩や照ノ富士が「これからは若者の時代ですか」などと軽口を言い、皆がガハハハッとなった。白鵬は「俺はまだまだ、50回まで優勝する」と笑っていたが、日馬富士は貴ノ岩の言い方が気に入らなかったようだ。
「2次会がはじまって、20~30分ぐらい経過し、日馬富士が貴ノ岩に対し、『お前、礼儀がなってないぞ』『先輩に挨拶をしろ』と説教しはじめ、不穏な空気になりました」(同前)
そのタイミングで 貴ノ岩の携帯電話が鳴り、
取ろうとしたところ、
日馬富士は目の前にあったビール瓶を手に、
ガツンと頭を殴ったという。
「本当に一瞬、ただ絶句というか呆気というか、固まってしまい、咄嗟のことで誰も止められなかった。
そして日馬富士が『この野郎』とか言いながら、貴ノ岩に襲い掛り、グーやパーで何度も顔面を殴りつけた。
貴ノ岩は両手でガードし、直接当たったパンチは少なかった。
照ノ富士らが止めに入ったが、
日馬富士は
『お前もやられたいのか、なんだ。俺に向かってくるのか』
と怒鳴り、2、3発、胸を突いたりした。
箸や灰皿を投げたりする日馬富士に対し、白鵬が若手に任せられないと立ち上がって『いい加減やめろ、何やっているんだ』と制止しようとしたが、『うるさいよ』と手を振り払い、さらに貴ノ岩を殴ろうとした。そこに何人もの力士が入ってなんとか収まりました。
貴ノ岩のスマホは床に吹っ飛んでいました」(同前)
店内のテーブルや床にビール瓶や割れた破片が散乱し、騒然とした雰囲気に。白鵬が日馬富士の耳元で何か注意をし、約5分後には店を出たという。
「先に頭から血を流していた
貴ノ岩を店から出したが、
『くそ、痛いよ、本当に。
ビール瓶で殴るなんて』
と顔をしかめていた。
白鵬や鶴竜が支えていたが、貴ノ岩は自分で歩いていた。大出血ではなかったが、頭が腫れているようにみえた。日馬富士は何も言わず、店の人に頭を下げるしぐさだけして、出て行きました」(同)
日馬富士をよく知る力士はこう話す。
「日馬富士はとにかく酒癖が悪い。
またかと思っていたら、あまりにエスカレートした。白鵬がいる前であそこまでやるとは思わなかった。銀座とか大阪の北新地でも暴れたことあるが、ああいう店はコップとか灰皿とかは高いものばかりで、壊したら大変。何回か後援者が謝ってまわり弁償したこともあった。出入り禁止になった店もありますよ。
貴ノ岩 をビール瓶で殴ったとき、ガツンとすごい音がした。
大丈夫かとみな、真剣に思った。
いくら力士でも、あれはきついと思った。
けど、本人は歩いていたから、大丈夫なのかなと思った。
貴ノ岩はその後、稽古中に
『体がフラフラだ。しびれる』と言い出し、
病院に行き、骨折で入院となったそうだ。
たぶん、今場所は三役を狙いたいと最初は我慢していたんだろう。
その後、貴ノ岩から親方に報告したら弁護士と警察に通報すると話していたので、大変なことになると思った。
日馬富士はとにかく、酒癖が悪く、1軒目はいいんですが、はしごするともうだめ。
鳥取市は相撲部で有名な城北高校があり、相撲取りに理解ある土地なんですよね。
そこの出身力士も多くいたので、2軒目となった。でも、まさか白鵬のいる前で日馬富士も暴れたりはしないと思っていたんだが……。
貴ノ岩以上に貴乃花親方がカンカンで『こればかりは許さない』と激怒しています」
※週刊朝日オンライン