*『原子力ムラの陰謀』著者:今西憲之
「第2章 動燃裏工作部隊「K機関」を暴く」を複数回に分け紹介します。17回目の紹介
原子力ムラの暗部を刻銘に記録に遺し、その男は逝った-
1995年12月8日、「夢の原子炉」と言われた
高速増殖炉「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が発生。
事故をめぐる”隠蔽”が次々と発覚する中、
一人の「国策会社」幹部が突如、命を落とした。
死の謎を解く鍵は、遺された膨大な資料のみ。
そこには原子力ムラが行ってきた”裏工作”の歴史が、
あまりにも生々しく記録されていた。
(P3「まえがき」から)
「『もんじゅ事故』で謎の死を遂げた西村成生さんが残した内部資料があるらしい」
2012年冬、はじめにその話を聞いた時は、ここまで深くその資料と付き合うことになるとは想像もしていなかった。
「西村ファイル」と名づけた資料の山を読み進めるうち、取材班は何度も我が目を疑った。国の特殊法人であるはずの動力炉・核燃料開発事業団(動燃=当時) が地域住民や職員の思想・行動を徹底的に調べ上げ、「洗脳」「工作」といった言葉が頻繁に飛び交う。そして、あまりに不自然な西村氏の死-。「原子力ム ラ」の異常な体質が、次々と浮かび上がってきたのである。
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**『原子力ムラの陰謀』著書 「第2章 動燃裏工作部隊「K機関」を暴く」の紹介
ー「Kチーム」とは何か。
「(驚いて)どこで調べたの? そんな話。Kチームといっても大したことはしてない。回収ウランは問題ないと、近隣市町村に説明に回っただけ。それだけのことです。資料も見た記憶がない」
ー「Kチーム」の意味はZ氏の頭文字の「K」?
「勝手にそう思ったこともあるが、秘書課の実力者だった『菊池さん』のこと、という話もあった。あと『汚い』のKとか。内部でも何なんだろうね、という話になっていた」
ー「数千万円程度」の予算は、接待などに使ったのか。
「(声を裏返して)数千万円!? 考えられないな。そんなにかかるはずがない。接待も何もしてないですもん」
ー「やらせ投書」は?
「いろいろやるんですよ・・・古い話はしたくないのが本音。電力業界はどこの企業も、ほじくり出せばいろんなことがあるかもしれないが」
ーきちんと説明してほしい。
「そこをほじくり出したって・・・。なんで今、あんな昔のことを金科玉条のごとく報道するのか。なんでいまさら回収ウランの問題を報じるのか。その哲学がわからないですよ。回収ウランなんて全国的な問題じゃなかった。なんにしても、菊池さんが内容は全部知っているはず。菊池さんがすべてに詳しいと思いますよ。力のあった人ですから」
ー実際に新聞に誰かが投稿したんですか?
「記憶にない。そのへんも菊池さんとか、上の方に聞かないと」
ー「Kチーム」は社内でも極秘の組織だった?
「みんな知ってると思いますよ。積極的に内部で発表したわけじゃないけど。みんな(Kチームのことを)”人形峠周辺の市町村に説明に行っている人たち”として知っていたからね。役に立たなくてすいません。菊池さんならなんでも知っているでしょう」
肝心なところは、すべて「菊池さんが知っている」とはぐらかす。この「菊池さん」とは、いったい何者なのかー。取材を進めていくと、Z氏が言う「菊池さん」とは、現在、原子力研究バックエンド推進センターの理事長を務める菊池三郎氏だとわかった。
※続き「第2章 動燃裏工作部隊「K機関」を暴く 」は、1/29(木)22:00に投稿予定です。