✳️陰謀【WTCの残骸はスクラップとして外国に輸出された。これは証拠隠滅の工作だ、と遺族は憤慨している】
9.11テロ陰謀論を説く成澤氏は、「消えたビル崩壊の証拠」と題した節で、WTCビルの鉄骨がテロ犠牲者遺族の了解を得ないまま、スクラップにされ外国に売られた事実を紹介している。2001年11月、遺族の1人はドイツのテレビで米政府のやり方に激怒し、こう証言した。
「私も、そしてほかの犠牲者の遺族も、なぜWTC が崩壊したか明確な回答を得てはいないのです」「それに、専門家によると、事故調査の証拠として最も重要なのはビルに使われた鉄骨だといいます。ところがちゃんと跡地が保管されないまま、そうした証拠は組織的な犯罪によって奪われてしまいました。さらにひどいことに、切断され、溶解されて、いくつかの国に売られてしまったというではありませんか」
このような証言を紹介しながら、成澤氏は、“貴重な証拠”を闇に葬った米政府に疑問を投げかけている。
真実【WTCの残骸はスクラップとして外国に輸出された。これは真実である。しかし、証拠隠滅の工作ではない。なぜなら、米政府は証拠として保管してある部分に関しては、大がかりに2度検証していたからだ】
成澤氏の本の引用部分が『週刊金曜日』誌に最初に掲載されたのは、2002年11月だ。(中略)『FEMA報告書』が2002年5月に、『NIST報告書』のほうは最初のものが2005年9月に、次が2006年6月に出た。
むろん両報告書にはWTC の残骸の検証の項はある。米政府が検証を頬かむりしている、というのはなんら根拠がない。
遺族からすれば、跡地の残骸をすべて保存しておいてほしい、と願うのは当然かもしれない。だが、残骸が全部残っていないと検証できない、ということではない。成澤氏本の「消えたビル崩壊の証拠」は事実を表した表題ではなく、遺族のセリフを表したものにすぎず、それを書くことで、あえて意図的になにかがおこなわれたと読者に思わせようとしているだけだ。
つまり、都合の悪い2回もおこなわれた米政府による検証については記述していない。これは意図的なのか、あるいは、成澤氏自身がご存じなかったのかは不明だ。 奥菜秀次〈陰謀論の罠〉より
✔️【逆デバンキング〈事故現場に手を加えるのは違法行為〉】
「アメリカ政府は2回も検証したのだから撤去してもいいだろ」という主張なのですが、アメリカの消防法では「10階建て以上の鉄骨ビルが火災によって焼けたときには、原因究明が終わるまで事故現場に手を加えてはならない」と規定されています。
さらに飛行機が関係している場合は、国家運輸安全委員会NTSB が原因究明を終えるまで手を加えてはいけないことになっています。
つまり、アメリカ政府によるツインタワーの瓦礫撤去は、明らかな違法行為なのです。
【ビル火災の専門家による政府批判】
また、火災工学誌〈ファイア・エンジニアリング〉の編集長、ビル・マニングの言葉にこういうものがあります。
「証拠の隠滅と削除は今すぐやめるべきだ。連邦政府は現在の組織を解体し、十分に予算を取った上で火災と崩壊についての公正で綿密な調査を特別陪審に委託し、懸案を一切残さないようにすべきである」
【双晶変形】
ダメ押しにもう1つ。
〈FEMA報告書〉と〈NIST報告書〉によるとアメリカ政府は2回検証したそうですが、具体的に誰が検証したのでしょうか?
実は検証は検証でも、金属学者が検証しないと意味がないのです。
ツインタワーが爆薬で吹き飛ばされたかいなかを調べるには、金属学者が瓦礫から「双晶変形」というものを検出する必要があります。
そして双晶変形が検出されたら、ツインタワーが爆薬で吹き飛ばされたことが裏付けられるのです。
奥菜秀次がこうした話を一切していないところを見ると、〈FEMA報告書〉にも〈NIST報告書〉にも双晶変形の話は載っていないと思われます。
【説得力ゼロの奥菜秀次の主張】
「アメリカ政府は2回検証した」
「残骸が全部残っていないと検証できないわけではない」
「だからなにも問題はないのだ」
……奥菜秀次のこれらの主張に、説得力がかけらもないことがわかってもらえたと思います。
【まとめ】
●原因究明前に事故現場に手を加えるのは違法行為。
●奥菜秀次は双晶変形について一切触れていない。
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