*** june typhoon tokyo ***

The Pharcyde with LIVE BAND@Billboard Live TOKYO


 二人であっても“あの時”の熱気は変わらず。

 1992年にデビューを飾った米ロサンゼルス出身のヒップホップ・クルー、ファーサイドの来日公演を観賞。今回はライヴバンド・セットということで、キーボードのロン・アヴァントとドラムのバート・ベイカーをステージの両端に従えて、オープニングアクトでもプレイしていたスーツ姿のマイク・レルムが中央のターンテーブルに。そのマイクの頭上にはスクリーンが設置され、開演中も演奏曲に合わせて昔懐かしいミュージックヴィデオなどが流れていた。

 当初は4人組だったが、ファット・リップ、スリムキッドが脱退し、イマーニとブーティ・ブラウンの二人なって久しいが、ステージの幕が上がれば、そんなとるに足らない感傷などはお構いなし。イマーニとブーティー・ブラウンがステージを所狭しと前後左右に駆け回り、ソウル、ジャズ、レアグルーヴなどを包含したヤンチャなフロウながらもどこか機知に富んだ心地良いヒップホップを繰り出していく。



 やはりスタン・ゲッツのクールなトラックを背景に“It's Nineteen Ninety Five”のフレーズだけでフロア熱を上昇させるJ・ディラのプロダクションによる「ランニン」や、ブラン・ニュー・ヘヴィーズとの共演で話題を集めた「ソウル・フラワー」ではヴォルテージのギアもトップに。レコードジャケットを掲げながらハイテンションになるオーディエンスも見えた。
 他にも「パッシン・ミー・バイ」や「ドロップ」などのキラー・チューンで、ステージ上のメンバーともアイコンタクトをとりながら、グルーヴィンなヒップホップを次々と披露していく。

 自分はカジュアル席ながら開演直後から終始スタンディングで踊っていて非常に楽しめたのだが、惜しむらくはもう少々オーディエンスがコール&レスポンスのヴォリュームを上げて応えていたら、もっと盛り上がったのではないかということ。ところどころ、局地的にはかなりの熱量でステージからのコールに応えるオーディエンスもいたが、全体的にはイマーニ、ブーティーの投げかけに即座に好反応していたかというとやや薄かったきらいが。
 ただこれは、日本人特有のシャイな部分というよりも、彼らがオーディエンスに振るコール自体が聞き取れなかった(話す英語が分からなかった)のと、元来彼らの楽曲を知り尽くしている観客が思ったよりも多くなかったことなのかもしれない。自分も作品の隅から隅まで知っている部類ではないが、“I say xxx, you say yyy”の呼びかけが多少“応用系”だったりすると、なかなか声が上がらないところもあり、ステージ上の二人もやや苦心していたように見えた。



 それでも、心地良いヴァイブスや音楽は言葉をも超越するもの。後半は“トキオー”と幾度となく煽るうちに懸念していたコール&レスポンスもフロア全体をうねるようになり、アンコール後(イマーニとブーティーのステージ・アウト後はバンドメンバーが続けて演奏したままで二人が再びステージに戻って来る形でのアンコール)も「オー・シット」をはじめ『ビザール・ライド・トゥ・ザ・ファーサイド』や『ラブキャビンカリフォルニア』の収録曲を中心に惜しみなく投下。オーディエンスへの感謝をピースサインを掲げて述べると、それに呼応してピースサインで応えるオーディエンス。二人がステージ・アウトするなかで、残ったバンドメンバーがマイケル・ジャクソン「ロック・ウィズ・ユー」のインストを奏でると、フロアでは“I wanna rock with you”のフレーズに“all night”、“Dance you into Day”に“sunlight”と口ずさむ光景も。ラストは「ビリー・ジーン」の一節でまとめた。その後、ドラムのバート・ベイカーが客席へスマートフォンのカメラを向けると「今日はダディ(?)の誕生日なんだ。みんなハッピーバースデーって言ってくれ」と語りかけ、“ハッピーバースデー!”のコールで終わるという微笑ましいエンディングも。また、途中のソロパートで繰り出したマイク・レルムのターンテーブルパフォーマンスも注目するに値するもので、スーツ姿で汗を掻きながら超絶テクニックを繰り出すギャップが楽しかった。

 ブラン・ニュー・ヘヴィーズとの「ソウル・フラワー」で既に証明済みだが、彼らの楽曲とバンド・サウンドとの相性は抜群。当時のR&B(というよりブラコンか)を挟み込むというニクイ演出も興奮度を高めてくれた。(今回はまだ大阪公演が残されているが)次回は満員で埋めた徹頭徹尾ハイテンションのフロアで迎えたいものだ。



◇◇◇

<MEMBER>
The Pharcyde are:
Imani(vo)
Bootie Brown(vo)

Mike Relm(DJ)
Ron Avant(key)
Bert Baker(ds)



◇◇◇


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