*** june typhoon tokyo ***

WAY WAVE @GARRET udagawa


 フェイヴァリットなゲストと音楽で飾った、50と23の祝宴。

 杏奈、優奈の小池姉妹によるソウル・デュオ“WAY WAVE”の月例企画〈部員集会〉が、2018年1月のスタートより50回に到達。その節目と同時に、8月12日に23歳の誕生日を迎える妹・優奈の生誕祭を兼ねた公演が、東京・渋谷のGARRET udagawaにて開催。盟友・DJ arincoはもちろん、〈部員集会〉の記念すべき第1回公演にゲスト出演した柴山一幸をはじめ、絶対忘れるなHALLCA浦谷はるなの面々がスペシャルゲストとして集った、第50回と生誕のダブルのアニヴァーサリーに相応しい賑やかな祝宴となった。

 初めてWAY WAVEを観たのは、HALLCAがゲスト出演した2020年1月の第25回〈部員集会〉(記事 →「HALLCA,WAY WAVE @渋谷 RUIDO K2」)だった。次に観たのも同じくHALLCAがゲストに呼ばれた同年12月の第32回〈部員集会〉(記事 →「HALLCA,WAY WAVE @渋谷 RUIDO K2」)で、この時はデビュー2周年公演も兼ねていた。その後、天野なつやミアナシメントらと共演したステージなどを経て、ようやく観賞する機会が増えてきた次第。というような“新参者”なので、WAY WAVEが第1回からいかに成長を辿ってきたかということは、正直なところ分からない。だが、おそらく周囲から見たルックスの印象以上に、現在進行形でファンキーなソウルを歌っているのは間違いないだろう。いわゆるキャッチーなポップ・ソングを歌ってきた人たちが、ちょっと洋楽的アプローチを意識してR&Bなどのブラック・ミュージック作風を齧ってみましたというようなものではなくて、しっかりとファンクやソウルを嗜んでいるリアル・シスターズ・デュオだ。言い方は良くないかもしれないが、周りの“大人たち”に影響されたと思しき、絶対にリアルタイムでは耳にしていない、砂埃が立つような古臭いソウルやブルースまでもテリトリーにしてしまっているから、そのアティテュードは本物だ。それは彼女たちが自作して披露する“宅録姉妹”というコンセプトの楽曲を聴けば、ソウルやファンク、ブルースなどへの愛着度の深さも自ずと見て取れる。

 とはいえ、本物だからと大人たちに気に入られたからといって、メジャーロードやスターダムに乗っている訳でもなく、現在の日本の歌謡シーンではなかなか日の目を見ないブラック・ミュージック(ましてやコンテンポラリー寄りではないソウル、ファンクだからなおさら)というジャンルに首を突っ込んでしまっていたりもするから、実力に見合った注目がなされていないことも明白だ。
 そのような環境にあっても、ライヴやイヴェントなどで場数を踏みながら楽曲制作にも注力し、積み重ねてきた50回のステージは嘘はつかない。ゲストに招かれた柴山一幸、絶対忘れるな、HALLCA、浦谷はるなというラインナップは、そんなWAY WAVEの実力と成長を特に感じ取っていた面々なのだろう。そして、WAY WAVEにとっても、特に音楽性やキャラクターを愛するアーティストだからこそ、この50回の節目の公演にオファーを出したのではなかろうか。

 個人的には〈部員集会〉を観賞したのは片手に足るほどゆえ、実際には不明だが、自分が観賞した〈部員集会〉のなかでは一番の盛況ぶりで、やはり前売りもほぼ完売したとのこと。部員(=WAY WAVEのファンはそう呼ばれるらしい)をはじめ、ゲストのファンたちも大いに期待を寄せた結果、終始微笑ましく愉悦なムードに包まれていた。


 さて、公演は例に違わず、WAY WAVEのライヴを主軸に、ゲストパートやコラボレーションパートなどをそこかしこに挟み込んでいく。ステージ転換やコロナ対策のための換気タイムに合わせてゲストとのト―クを入れるなど、(対バンライヴなどにはよくある)ステージチェンジで流れをぶつ切りすることがないようなスタイルで愉しさを減退させない、WAY WAVEらしい配慮のもとで構成されている。DJ arincoのプレイが、MISIA「INTO THE LIGHT」から20th Century(V6)「夏のメモリー」へと繋がったところで、ドゥー・ワップ風の低音コーラスが流れ始めて出囃子がスタート。シームレスにスライ&ザ・ファミリー・ストーン「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」のフレーズへと続いて、第50回&優奈生誕のW祝宴が幕を開けた。 

 序盤は主役のWAY WAVEが先陣を切って、DJ arincoを従えての弾き語りコーナーへ。WAY WAVEにはなくてはならない一心同体に近いDJ arincoだが、この弾き語りコーナーやリミックス・メドレーをはじめとするWAY WAVEパートだけでなく、絶対忘れるなや浦谷はるなのバックDJ、WAY WAVEとゲストとのコラボレーション・コーナーなどにも登場する引く手あまた状態。絶対忘れるなのステージの際に、志賀ラミーがarincoを評して「奇跡の50歳」と弄った後に「安心と信頼のarncoさんマーク」と“アリさんマークの引越社”のフレーズになぞらえていたのだが、それに応えた奮闘を見せていた。

 弾き語りコーナーで披露したのは、優奈いわく「元カノがキャバ嬢になってそれを引き留めたい情けない男の歌」という「Crayzy For You」と、「大人になっても好奇心を忘れないで欲しいという気持ちを綴った」という新曲「貸切ジャングルジム」の2曲。前者はなんだかマドンナの曲のタイトルのようだが、蓋を開けてみれば、カッティングギターが走るロッキン・ソウル。ほのかなブルース味もあって、うっすらと漂う場末感が、なよなよした男を描いた詞世界にマッチ。一方、後者はイントロにトロピカルなアクセントがあって、オヤ?と思わせるも、その後は軽快なリズムとクラップに導かれる“ウォウォオオーッ”という痛快なフレーズで展開。少年の時の無邪気さを投影したような陽気なソウル・グルーヴァーとなっている。WAY WAVEの楽曲全体的に言えることなのだが、特に自身が手掛けた楽曲では、ネーミングやワードセンスの独創性が良い意味で変態的。少年時代の気持ちを持ち続けろというメッセージを「貸切ジャングルジム」という一見チープに思われそうなワードを惜しげもなく出してくるあたりが、本当にファンキーだと思う。

 
 最初にステージに迎え入れたゲストは、“ぜわす”の愛称で知られる5MCラップ・グループの絶対忘れるな。絶対忘れるなのファンは“絶対クルー(=絶対来る)というらしく、WAY WAVEの2人は「私たちもそういう絶対来るみたいなファンの名称が欲しい」と呟いていた(今の“部員”というネーミングはいともたやすく捨ててしまうつもりなのか…笑)。このぜわす、本来は5名だがこの日はピーチジョン万次郎を除く4名+DJ arincoのセット。初めての観賞となるが、ニューヨークヤンキースのキャップにサングラス姿の志賀ラミーは、ミアナシメントのフロア・キラー「Sweet Magic」を手掛けていたことや、ヌュアンス「セツナシンドローム」の絶対忘れるな客演ヴァージョン「ぜっなシンドローム」などで、存在は知っていた。

 前述の志賀ラミーはクセがありそうなのだが、それ以外のフィメールMC2人を含む3MCは、図抜けてインパクトがありそうな風貌ではない(志賀ラミー=しがらみ、セルラ伊藤=セルライト、アルバ伊藤=アルバイトなどネーミングは凝っている)。しかしながら、その程よく地味なキャラクターという佇まいが(一見控えめがちな一般会社員やOLが、仕事を終えると別の顔を曝け出し始めるかのような)かえってクルーのオリジナリティを生んでいるようで不思議だ。大人になってしまったけれど、学生ノリの延長上よりもちょっと力を入れて“C調”でやってます、のようなフランクなスタンスで、ラップをキャッチーなものとして伝えている。

 冒頭から「(ぜわすは)優奈ちゃんの誕生日を祝うためだけに存在しているグループです」などと言い放ってオーディエンスから笑いをとったり、セルラ伊藤がステージドリンクを飲もうとしたら、魔法瓶に熱いお茶を入れたために湯気が出た状態で熱くて飲めなかったくだりを、その後の「責任転夏」で「暑いね~、水分補給したいね~」「このお茶も熱いんだよね~」「水分補給が出来ないんだよね~」というセリフを組み込んだり、曲間のMCで「オレは水分補給出来るよ」「水分補給マウントやめろよ」などといって伏線を回収するといった機転も利かせていて面白い。

 ラップ・アーティストに時に散見される一辺倒な作風でもなく、ディスコ~ブラコンのファンキー・トラックが走るなかでマイクリレーする「特筆性なき音楽家」やオーディエンスが自然とハンズアップに導かれるファンキーなダンス・トラックのフロアキラー「変なのっ!」、フィロソフィーのダンスの日向ハルを客演に迎えたベタなパーティ・ディスコ・ダンサー「平日ナイトフィーバー」、アウトロでハイトーン・ファルセットを繰り出す「ハイパーフラット」といったように、ヒップホップというよりもラップ・ファンク/ディスコと呼べるようなノリが主流か。そこへ洒落た鍵盤を中心としたジャジィなアプローチのトラックを下敷きにした「1P」や、「今夜はブギー・バック」マナーといえるレイドバック/チル・アプローチのゆるラップ「責任転夏」など、楽曲は思った以上にヴァラエティに富んでいた。肩肘張らずにカジュアルなノリで盛り上げる、隣の兄ちゃん姉ちゃん的なスタンスも、魅力の一つなのかもしれない。




 次なるゲストはHALLCA。WAY WAVEが本公演を企画する打ち合わせで、真っ先に呼びたいと名を挙げたのがHALLCAだったとか。〈部員集会〉で一番多く呼ばれている訳ではないかもしれないが、前述したように第25回、第32回、そして今回の第50回と、WAY WAVEにとって節目や大切な回に共演している印象が強いようだ。冒頭のトークでは、杏奈が(この公演の段取りなどで)頭がいっぱいになり何をしていいか分からず(結局、優奈に任せて「自分を鏡で見るばかりだった」らしい…笑)、本番前に衣装がしわだらけだったのに気づいて焦っていたところ、HALLCAやそのスタッフに衣装のアイロンがけを手伝ってもらったというエピソードで笑わせてくれた。HALLCAはWAY WAVEのパワー、美貌と歌声に惚れ込んでいて、年下だけれど尊敬しているとのこと。序盤は「コンプレックス・シティー(東新レゾナントRemix)」「Catch Your Night」をラインナップしたが、これは前者は杏奈が、後者は優奈がそれぞれ特に好きだという楽曲を並べたと語っていた。

 この日の構成はラストこそフロアにクラップを呼び起こした「WANNA DANCE!」で盛り上げて終えたが、中盤では「Eternal Light(Blackstone Village Remix)」や「Labyrinth」といったムーディな彩りの楽曲をセレクト。ゲストの楽曲を含め、アニヴァーサリーなステージとあって全体的にアッパーで明るいテイストの楽曲が多かったなかで、「Labyrinth」のような艶やかな楽曲を入れたことで他とのコントラストを生み、長丁場のステージにメリハリが出来たのは良かったのではないだろうか。「WANNA DANCE!」では終始笑顔に溢れていて、中盤での憂いある表情とは対照的な、のびのびとリラクシンな歌唱でステージをまとめていた。

 HALLCAのステージ後は、場内換気時間を使って、ゲストを呼び込んでのトーク&優奈の生誕コーナーへ。杏奈が優奈へメッセージを贈るのだが「小学生の時から何でも一緒だったし、これからも仲良く同じ道を歩みたい」「先に結婚するとか裏切りはやめてもらって、一緒に結婚&出産、とにかく全部優奈と一緒がいい」と妹への溺愛ぶりを吐露し、笑いを起こしていた。それに乗じて、ゲスト代表でWAY WAVEがアイドル・グループのANNA☆Sの時代から交流がある浦谷はるなも「27歳の私も一緒に年を重ね、一緒に結婚して、一緒に出産したい」「ただ、私はアラサーチームにいるので、2人には頑張って急ぎ目にしてもらって」と言って、再びフロアを笑いで包んでいた。




 3組目は“はーちゃん”こと浦谷はるな。浦谷は、先日のHALLCAが出演した代々木LODGEの1周年記念イヴェント〈Hang Out!!〉(記事 →「HALLCA @代々木LODGE〈Hang Out!!〉」)でも観賞。WAY WAVEが出演をオファーした時はオリジナル曲がなかったこともあり、それゆえ当初は友情出演とクレジットされていたが、〈Hang Out!!〉でも披露したように、AmamiyaMaakoから楽曲提供を受けて、オリジナル曲が誕生した。この日はWHY@DOLL時代の「Tokyo Dancing」と初のソロ・オリジナル曲「Slowly time」の2曲を歌唱。「Tokyo Dancing」は〈Hang Out!!〉でも歌っていたから、WHY@DOLLの人気曲なのだろう。もちろん、浦谷自身も好んでいる楽曲なのだと思うが、グループ休止後、東京へ再上京したという経緯を踏まえて、タイトルに“Tokyo”を冠した楽曲をソロ歌手としての嚆矢に位置付けたのかも……というのは邪推か。
 「Slowly time」は浦谷が今ハマっているというトロピカル・ハウスをフィーチャーした跳ねたビートと避暑地のような爽やかな涼感も帯びたサウンド。歌い慣れている「Tokyo Dancing」とは完成度の差はあるが、ソロとしての新たなエッセンスにはなりそうだ。

 浦谷は再上京した後、ゲスト出演したイヴェントにWAY WAVEが遊びに来ていたのをきっかけに、本公演のオファーを受けたのだそう。当初は本格的に活動するかどうかも決まっておらず、身の振り方を考えているうちにトントン拍子にソロでのイヴェント出演が届き、自分の持ち曲もないのにその出演オファーを受けた続けた結果、ソロシンガー・デビューに至って今になっているとのこと。2曲のみのステージとなったが、「次に皆の前に顔を出す時には、頑張ってもう少し曲を揃えていきたい」と、今後の活動への意気込みを語っていた。



 DJ arincoによるリミックス・メドレーは、冒頭にキッズダンサーを従えてのジャクソン5「帰ってほしいの」をプラスして、WAY WAVEの楽曲をゴキゲンなモードで展開。「帰ってほしいの」のカヴァーは、歌唱力はもとよりWAY WAVEとしての彩りで磨きをかけているし、リアルシスターズならではの呼吸がブレンドされていて、実に痛快。JBマナーのファンキー・ビートが走る「2番目の女」のアウトロでBPMを落としてから、アレサ・フランクリン「ロック・ステディ」をドゥー・ワップ調に落とし込んだような70'sソウルマナーの「WAVY GIRL」へのDJ arincoの繋ぎもヴォルテージを高めるのに一役買っていた。エモーションズ「ベスト・オブ・マイ・ラヴ」作風を爽快なサマー・ハウス/ディスコ・グルーヴへと変貌させた「SUMMER BREEZE」まであっという間だったが、ソウルやファンクを基調にしたなかでも振幅がある楽曲群に対して、ブレずに芯を持った歌唱を届けられる安定感は見事。そして、やはり似ているようで異なる役割をスムーズに受け渡しながら、ハーモニーを生み出しているリレーションシップは姉妹ならではなのだろう。ライヴの段取りやらは出来ずに妹・優奈に怒られている姉・杏奈だが、歌っている時ばかりは阿吽の呼吸を見せ、優奈のヴォーカルと絶妙のケミストリーを創っているのは、何とも不思議な感じがしないでもないが(笑)。

 ゲスト・アーティストのコラボレーション・コーナーでは、浦谷はるなとはWHY@DOLL時代の「Dreamin' Night」を、HALLCAとは以前にコラボレーションで披露した「Pink Medixine」を、絶対忘れるなとは志賀ラミーいわく「13時くらいに曲が出来た」という「Free My Soul」をセレクト。
 浦谷とのコラボレーションの際は、「WHY@DOLLになりきって、私(優奈)はちはるん(青木千春)で」「杏奈はさっちゃん(?、3人体制時代のWHY@DOLLのメンバーらしい)で」というくだりから、「はーちゃんは、誰やる?」と浦谷へ話しを振ると、すかさず浦谷は「はーちゃんは、はーちゃんやる(笑)」と回答。「しようがない、今日だけね」という愛嬌たっぷりのやり取りで顔をほころばせた。ファンからも好評だったというHALLCA「Pink Medicine」のコラボレーションでは、杏奈がギター、優奈がカホンを、HALLCAがキーボードを務め、メランコリックなムードを創出。優奈の誕生日プレゼントとして贈ったという絶対忘れるなとの新曲「Free My Soul」は、WAY WAVEの歌唱ヴァースを経て、途中から絶対忘れるなのメンバーが一人ずつ雪崩れ込んでラップのマイクリレーを繰り出すという、エンタメ色の濃い派手やかなディスコ・ダンサー。WAY WAVEの2人が演奏後に「誰かしらの大人が見てると思うから、絶対CD化します! 世に出します!」と宣言。フロアのヴォルテージが上がること必至のパーティ・チューンが誕生を、さらに後押ししていた。


 ゲストのトリは、〈部員集会〉の第1回のゲスト(師弟TUNEとして出演)だった柴山一幸。東京60WATTSの杉浦琢雄を鍵盤に、CittYや愛しあってるかいというバンドでギターを担当していたけんたろうをギターに従えてのバンド・セットで、けんたろうがかけていたデジタルサングラスには“WAY WAVEの文字が左から右へ流れて表示されていた。恥ずかしながら、柴山は事前知識も全くない初めてだったのだが、冒頭は“いくつになってもギターって楽しい”“音楽があればいい、ベイベー”というフレーズを連ねたロックンロール・ナンバーで、一気にツイストダンスが似合うような50'sの世界に彩りを変えていく。
 ゲストに若い女性ヴォーカルのステージが続くなかで、オッサン3人が果たして求められているのかと楽屋で話してたが、「オッサンがオッサン(=観客)に向けて歌うのって、素敵やん」と語って、恋の歌という「サクカサカナイカ」と、オヤジが死んだ曲という「たとえばこんなレクイエム」と2曲続けて“オッサン”の曲を。「今日はセンキュー、ベイベー、夜露死苦という昭和ロックなことしか言わない」といいながら、ベタに昭和のオッサンモードを続けていく。

 冒頭がベタなロックンロールだったので、同じような路線の楽曲が続くのかと思いきや、「サクカサカナイカ」「たとえばこんなレクイエム」はほのかにスターダストレビューあたりが脳裏をかすめた、歌謡ポップス感のある作風。ラストの柴山いわく「自分のなかでは長渕剛の〈乾杯〉みたいな曲」という「オマモリ」も、微かに哀愁を忍ばせたグルーヴィなロックだ。自分がよく耳にする範疇の曲風ではないので当たっていないかもしれないが、メロディラインやギターの音鳴りからすると、どことなくビートルズやUKロック・サウンドの薫りを感じられた。おそらく世代的にもビートルズの影響が濃くてもおかしくないし、ポップでもスカッと全快にならない世知辛さも感じるサウンドは、USよりUKロック寄りなんだろうと思った。



 その後、WAY WAVEを呼び出して、柴山バンドとのコラボレーションを。「会うのが久しぶり過ぎて気づかず、柴山さんをPAの人と間違えた」というカミングアウトを挟みつつ、まずは「That's the way」へ。この曲はKC&ザ・サンシャイン・バンドの方ではなくて、富士山のローカル・アイドル“3776”で活動した井出ちよのをフィーチャーしたという柴山のオリジナル。開放的なコードに乗せて“That's the way”をリフレインするフレーズが印象的だった。
 柴山バンドとのコラボレーション2曲目は、柴山と杉浦が曲を手掛けた「Looking For Woman」。当初はジャクソン5「ABC」を想起させるフックから、モータウンをソウル・ロック調に仕立てたのかと思ったのだが、柴山のギターを聴くとUKっぽさも感じた。

 本編ラストはMOJO CLUBを結成し、ザ・タイマーズなど忌野清志郎近辺でも活躍する三宅伸治が手掛けた「ソウルシュガー」でエンディング。アンコールは、ゲストを全員呼び出して、なぜかリック・アストリー「トゥゲザー・フォーエヴァー」のBGMをバックにしたフォトショットを経て、オールキャストによる「モノクロのキミ」で大団円。色とりどりのカラフルなケミカルライトがフロアに揺れるなか、“SOUL FUNKY MUSIC!”のコールがフロアにこだまして、歓喜と破顔に満ちた充実の180分が幕を閉じた。


◇◇◇

<SET LIST>
00 INTRODUCTION(include phrase of “Dance To The Music” by Sly & The Family Stone)
≪WAY WAVE sing with a guitar “宅録姉妹” Section with DJ arinco≫
01 Crayzy For You
02 貸切ジャングルジム(New Song)
≪絶対忘れるな Section with DJ arinco≫
03 特筆性なき音楽家
04 1P
05 変なのっ!
06 責任転夏
07 平日ナイトフィーバー(Original by 絶対わすれるな feat. 日向ハル(フィロソフィーのダンス))
08 ハイパーフラット
≪HALLCA Section≫
09 コンプレックス・シティー(東新レゾナントRemix)
10 Catch your night(Original by HALLCA & yuca)
11 Eternal Light(Blackstone Village Remix)
12 Labyrinth
13 WANNA DANCE!
≪All Cast Talk & Celebrate Yuna's birthday Session≫
14 Happy Birthday To You
≪浦谷はるな Section with DJ arinco≫
15 Tokyo Dancing
16 Slowly time
≪WAY WAVE with DJ arinco Remix Medley≫
17 I Want You Back(with Kids Dancers)(Original by The Jackson 5)
18 SUMMER GIRL(with Kids Dancers)
19 マジカル恋愛体質
20 2番目の女
21 WAVY GIRL
22 SUMMER BREEZE
≪WAY WAVE Collaboration Section with DJ arinco≫
23 Dreamin' Night(with 浦谷はるな)(Original by WHY@DOLL)
24 Pink Medicine(with HALLCA)(Original by HALLCA)
25 Free My Soul(feat. 絶対忘れるな)(New Song)
≪柴山一幸BAND Section≫
26 (unknown)
27 サクカサカナイカ
28 たとえばこんなレクイエム
29 オマモリ
≪WAY WAVE Collaboration Section with 柴山一幸BAND≫
30 That's The Way
31 Looking For Woman
≪WAY WAVE with DJ arinco Section≫
32 ソウルシュガー
≪ENCORE≫
33 モノクロのキミ(All Cast) 


<MEMBER>
WAY WAVE are:
Anna Koike / 小池杏奈(vo,g)
Yuna Koike / 小池優奈(vo,g,cajon)

DJ arinco(DJ)

絶対忘れるな are:
志賀ラミー(vo,rap)
貫地谷翠れん(vo,rap)
セルラ伊藤(vo,rap)
アルバ伊藤(vo,rap)

HALLCA(vo,key/ex-Especia)

浦谷はるな(vo/ex-WHY@DOLL)

柴山一幸BAND are:
柴山一幸(vo,g)
けんたろう(g/ex-CittY, ex-愛しあってるかい)
杉浦琢雄(key/東京60WATTS)

Kids Dancers are:
Kazuha
Kokoro
Shiho
Chia

◇◇◇




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【「WAY WAVE」に関する記事】
2020/01/19 HALLCA,WAY WAVE @渋谷 RUIDO K2
2020/12/13 HALLCA,WAY WAVE @渋谷 RUIDO K2
2021/04/09 天野なつ ✕ WAY WAVE @下北沢CLUB251
2021/10/17 Mia Nascimento / WAY WAVE @GARRET udagawa
2021/11/17 WAY WAVE @TOWER VINYL SHIBUYA【インストア】
2022/02/13 WAY WAVE / ユメトコスメ @GARRET udagawa
2022/05/03 WAY WAVE @TOWER VINYL SHIBUYA【インストア】
2022/08/11 WAY WAVE @GARRET udagawa(本記事)

【HALLCAに関する記事】
2018/08/04 HALLCA『Aperitif e.p』
2018/11/26 HALLCA@中目黒 楽屋
2019/08/30 HALLCA @Jicoo THE FLOATING BAR
2019/11/02 HALLCA @CHELSEA HOTEL
2020/01/19 HALLCA,WAY WAVE @渋谷 RUIDO K2
2020/01/25 〈FRESH!!〉 @六本木 VARIT.
2020/11/01 HALLCA @六本木Varit.
2020/12/13 HALLCA,WAY WAVE @渋谷 RUIDO K2
2021/05/31 〈HOME~Thank You “Daikanyama LOOP” Last Day~〉@ 代官山LOOP
2021/07/25 HALLCA @GARRET udagawa
2021/09/19 HALLCA @代々木LODGE
2021/11/24 HALLCA @TOWER RECORDS渋谷【In-store Live】
2022/01/11 HALLCA『PARADISE GATE』
2022/01/26 〈生存戦略〉@高円寺HIGH 【HALLCA / 仮谷せいら / hy4_4yh】
2022/02/23 HALLCA @GARRET udagawa
2022/07/27 HALLCA @渋谷 7thFLOOR
2022/08/06 HALLCA @代々木LODGE〈Hang Out!!〉
2022/08/11 WAY WAVE @GARRET udagawa(本記事)

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