
■ 10/18(THU)
中日 002 200 010 5
巨人 000 011 000 2
【バッテリー】
(中)○小笠原・石井・鈴木・平井・岡本・(S)岩瀬-谷繁
(巨)●内海・西村・野間口・林・門倉-阿部
【本塁打】
(中)ウッズ1号
(巨)谷1号
■ 10/19(FRI)
中日 010 200 301 7
巨人 100 000 300 4
【バッテリー】
(中)○川上・岡本・(S)岩瀬-谷繁
(巨)●木佐貫・林・西村・山口・門倉・豊田・上原-阿部
【本塁打】
(中)李炳圭1号
(巨)ホリンズ1号
■ 10/18
中日 000 300 100 4
巨人 010 100 000 2
【バッテリー】
(中)○中田・(S)岩瀬-谷繁
(巨)●高橋尚・豊田・上原-阿部
【本塁打】
(中)ウッズ2号、谷繁1号
(巨)二岡1号
◇◇◇
巨人ファンには大変辛いかもしれないが、まずクライマックスシリーズ(CS)に敗れたという事実をしっかりと受け止めなければならない。中日は第1ステージを含めると5連勝で2年連続8度目の日本シリーズ進出を決めたということだ。
このCSでの敗因はさまざまあると思うが、試合としては守備や配球での多くのミスが、臨戦体勢としてはペナントリーグ最終戦からの試合日程間隔の長さとチーム力としての対応不足の2つが大きいところだろう。挙げればきりがないが、二塁上で封殺プレーを狙ったつもりが1塁走者をアウトに出来なかった二岡の送球判断や犠牲バントの場面で川上のバスターを読みきれずに安打を打たせてしまった守備などのプレーが続いては、流れも引き寄せることが出来ないのは当然。ペナントでは、そのようなミスを跳ね返すだけの打撃を誇った時もあったが、このような緊張感がいつも以上に高い試合では、体勢が万全でなければなかなかそのような力も発揮出来ない。そのような時に、先頭打者高橋由のケガで出場がままならず4番のイ・スンヨプの不調などあらば、勝てる試合も勝てない。
中日はCS第2ステージで小笠原を先発に配してきた。マスコミや解説者の多くが“奇策”“落合マジック”といっているが、自分はそうは思わない。このトーナメント戦に限りなく近いCSでは、実力だけではなく勢いが最重要ということを落合監督がわかっていたからに他ならない。ペナントでは中日は巨人の2位に甘んじている。これは歴然たる事実。そのペナント1位のチームを破るためには、どうしてもエースでの1勝が欲しかったはずである。日本シリーズのように7戦のうち4戦を勝つのとは違い、CS第2ステージは3戦先勝方式だ。いうなれば、エースで勝利し連勝して3勝目に望むということが必要なのだ。そのためには、CS第2ステージ第1戦でエースをぶつけて仮に負けたとしたら、そのショックは大きく一気に流れが相手に傾くことは容易に想像出来る。緒戦を落とすとしても、エースでなければ、“次はエースで取り返すぞ!”という気力も生まれてくる。そういう戦略と心理を巧みに操縦した落合監督の流れにこのシリーズはなったということだ。
選手や解説者のなかには、「試合までの日程が空きすぎるというのは理由にならない」という人もいるが、選手としては気持ちとしてそう思うのはいいとして、このシリーズを考慮すればシリーズへの臨戦過程というのは短期決戦では大きな比重を占める要素であることを理解出来ない解説者は、少なくともチームを率いる監督には向いていないだろう。たとえば、一発勝負の高校野球甲子園大会では、戦前の予想に上がらなかった高校が、よく無欲の勝利と表現されて、名だたる実力校を打ち負かし、好成績を収めるということがよくある。今年の佐賀北高校などはそのいい例だ。短期決戦では勢いというものに飲み込まれることが往々にしてあるものなのだ。その勢いをつけて臨んだのが中日であり、シリーズに対して万全の態勢に準備・調整出来なかったのが巨人なのだといえる。一言で言うなら、このCSは、態勢、試合を含め、巨人の自滅で終わったということだ。
もちろん、自滅をしなければ巨人は勝ったのかということに絶対はない。高い投手力を持ち、決して派手ではないが、要所を理解している中日のチーム力は評価に値するものだ。それでも、ペナントを制した巨人が万全の態勢で望んでいたら、少なくとも3連敗という結果はなかっただろう。今は巨人にはこの反省を活かして、来季につなげてもらいたい。そして、中日にはセ・リーグの威厳を取り戻すべく、日本一を目指してもらいたい、それだけである。
巨人がCSに敗れた直後に言えばすべてがいい訳になってしまうが、当初からCS反対派としては、やはりこのシリーズには多くの疑問を呈さざるを得ない。長い間多くのチームと戦いその中で1位を獲得したチームが、CSという短期決戦の結果で日本一への権利を剥奪されるというのは、どうしても納得がいかない。ペナントレースの重みが全く感じられないのだ。なかには、メジャーと同じ方式だという人もいるだろうが、その何でもメジャーが基本という考え方は、CSの是非以上に気に食わない。それに、メジャーのアメリカン、ナショナル両リーグを東・中・西地区に分けての戦い後のワイルドカードによるチームを加えたプレーオフ制度と、地区別制度がないセ・パ両リーグとのペナント順位優先方式のCSとは、根本的に構造が違うということを解っていないということだ。
どうしてもCSをするということを前提にするならば、パに昨年まであった1位チームに与えられるアドヴァンテージが必要だ。それがなぜなくなったのか解らないが、それは改悪というに等しいだろう。それに、1勝が与えられるというのも少なすぎる。仮に今回のCS第2ステージでたとえるなら、5戦中3戦先勝方式ならば、巨人に少なくとも2勝を与えるべきである。これでは中日は1敗したら終わりじゃないか、それはないだろうという人もいるだろう。だが、それでいいのである。何故か。今年でいえば、巨人はペナントを制覇したセ・リーグ優勝チームである。長い期間戦ってその地位を獲得したのだ。つまり、2位以下のチームはペナントにおいて敗者なのだ。その一度は負けているものが、もう一度日本一への挑戦権を得られるのだ。つまりすでにペナントで敗者であるチームにはその逆境を跳ね返して乗り越えてこそ、リーグを代表して日本シリーズに臨む権利を獲得することが出来るのだ。そもそもそのような逆境を跳ね返せないならば、リーグを代表するチームとしての実力に値しないと言われても仕方ないのである。それは、日本一頂上決戦という日本シリーズの前提を覆すものになってしまうし、仮にシーズン5割そこそこの(下手すると5割を切る)チーム同士がCSを勝ち上がっての日本シリーズなど、盛り上がるのかと。贔屓するチームが勝ち上がれば、そのファンにとっては嬉しいだろう。ただ、野球界全体を考えれば、なんと魅力のないカードになることか。日本シリーズ出場チームのファン以外は、内心「日本シリーズといっても3位同士の対戦だもんなぁ」という思いが多く宿ることだろう。今年は仕方ないが、早急に改革をして来季は日本一決定戦に相応しい土壌を整えてもらいたいものだ。
