*** june typhoon tokyo ***

m-flo 『COSMICOLOR』

Mflo_cosmicolor“Loves”シリーズ最終章にして最高傑作!!!とのキャッチフレーズでリリースしたm-floの5thアルバム『COSMICOLOR』は、安室奈美恵、MONKEY MAJIK、倖田來未、BONNIE PINK、MINMI、Chara、DOPING PANDAなどの豪華Lovesアーティストを迎えて制作されている。

率直な感想を言うと、“Loves”シリーズ最終章というのが解かる出来だ。

いや、何も完成度が低いといっている訳ではない。
楽曲自体は洗練されているし、インタールードなどコミカルな彼ららしいテイストもしっかりと含めてある。
今までの“Loves”シリーズのアルバム、『ASTROMANTIC』『BEAT SPACE NINE』と比較してみれば、最初に聴いた時に安心して聴けるという度合いでは、今回のアルバムが一番安心して聴けるだろうし、リプレイに耐えうる出来であるともいえる。

では、何故最終章というのが解かる出来と思えたか。

それは、1つは“Loves”というスタイルでのネタをやり遂げた感があるということ。
『ASTROMANTIC』ではLISA脱退後、どのような形でアルバムが出来上がっていくのか、“Loves”されるアーティストとの相性はどうなのかやきもきした気持ちがあっただろうし、『BEAT SPACE NINE』では、YOSHIKAとEMYLIという2人の女性ヴォーカリストとの邂逅や、LISAが“Loves”されるという心を揺らすトピックがあった。

今回は果たしてどうか。
“Loves”されるアーティストについて言えば、前2作にも引けをとらない豪華ゲスト陣に違いはない。
最初に“Loves”したCrystal Kayをまた最後に持ってくるあたり(クリケイとの曲のレコーディングは一番最後に行なった)
は彼ららしいが、安室奈美恵とは以前VERBALはコラボしているし、MONKEY MAJIK、DOPPING PANDA、BONNIE PINK、MINMIなどは既にシングルでリリースされている既発曲であって、新鮮さがある訳ではない。

では、クラジクワイのALEXをフィーチャーした「Love Me After 12AM」はというと、☆TAKUがクラジクワイの曲をリミックスしているし、元来クラジクワイは“韓国のm-flo”という触れ込みであったことでも解かるように、楽曲的には共通点が多いため、これも劇的な新鮮度には繋がらない。

となると、ラストのCharaとの「Love to Live By」ということになるが、さすがにm-floにCharaという発想は斬新だが、カヒミ・カリィとの“Loves”のような一見突飛なコラボもすでにあったし、オーケストラサウンドをバックにした楽曲というのもやってきているので、それほどでもない。むしろアルバムのラストにあたるこの曲は、もっと強烈なインパクトを残しても良かったと思うくらいだ。それまでにおいていた、アウトロにあたるインタールードがないため、なおのことそう感じてしまう。

完成度が高く、曲ごとにブレがなくなりまとまっている。
確かにそうだ。
ただ、そういうと聞こえがいいが、期待や不安を持たせられ…そして驚いた、というような、裏切られたという感触がそれほど残らないアルバムというイメージが出来てしまったということも否めない。

2つ目は、楽曲にm-floの匂いが薄い感じがするということだ。
彼らは元来ジャンルレスで音楽的振幅の広い楽曲を制作してきたが、その中でもm-floサウンドという強烈な色や匂いは感じさせてきた。
ただ、今回については、“Loves”するアーティストとの相性というかバランスを考慮したのか解からないが、m-floというよりも、“Loves”アーティスト寄りの楽曲という感じがしてならない。

そのなかでも、m-floらしいヴァイブスを強く感じさせるのが、「Love Don't Cry」「Summer Time Love」だが、くしくもこれらの曲はCrystal Kay、日之内エミ&Ryoheiと、m-floファミリーとも呼べる旧知のアーティストとのコラボである。

とはいえ、これがアルバムの質を落とす要因となるということではない。
インパクトという意味では、シリーズ作のなかで劣るのかもしれないが。
このアルバムが“Loves”シリーズの第1弾としてリリースされていたら、もう少し違った感想を抱いていたはずだ。
そういう意味では、今後“Loves”シリーズを終え、新たな展開へと進み、ある程度時間が経ち振り返った時に、再評価されるような“隠れ名盤”的な位置づけになるかもしれない。

個人的なこのアルバムのオススメの1曲は、「Lotta Love」だ。
既発シングル曲で、そういうところもインパクトの弱さを感じてしまうが。

◇◇◇

インタールードの秀逸なものは、
クリス・ペプラーがJ-WAVE『TOKIO HOT100」風にトークするインタールード「Music Monopoly」で、
“ジョニー・タキゲロ”なる人物(ジャニー喜多川か??)の楽曲がTOP10を独占するのだが、その内容がなかなか凝っている。

ASTROPOLIS RADIO『TOP 100』

01 君に恋しすぎて I LOVE YOU / ジョニー・タキゲロ
02 Summer Time デブ / ジョニー・タキゲロ
03 D.O.T. / ジョニー・タキゲロ
04 MirrorballさわってNIGHT 2012 / ジョニー・タキゲロ
05 Loop In My World / ジョニー・タキゲロ
06 密集 / ジョニー・タキゲロ
07 PAY! / ジョニー・タキゲロ
08 TETRAPOD BABY / ジョニー・タキゲロ
09 power again / ジョニー・タキゲロ
10 been so young / ジョニー・タキゲロ

1位の“君に恋しすぎてI LOVE YOU”がちょっと解からないが(「君の瞳に恋してる」か?)、2位以下がそれぞれ、「Summe Time Love」「L.O.T.」「Mirrorball Setellite 2012」「Loop In My Heart」「miss you」「HEY!」「Tripod Baby」「come again」「been so long」のタイトルのパロディとなっている。

VERBALいわく、宇宙の侵略者、ジョニー・タキゲロという人が音楽を通して地球の人を洗脳しているところに、m-floが登場して救出していくっていうストーリーで、そのジョニー・タキゲロに汚染されているチャート…ということらしい。

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