R&BはJリーグ界隈でも絶滅危惧種だった⁉
日本初のサッカー専門新聞として高い評判を獲得し、“エルゴラ”の愛称で親しまれている『EL GOLAZO』(エル・ゴラッソ)が、「Jリーガーの音楽事情」と題して特集を組んでいる。選手名鑑に記載されている「好きなアーティスト」のアンケートを集計し、ランキングやジャンルの傾向などをまとめたものだ。
そのランキングを見てみたところ、1位が清水翔太、2位がMr.Childrenが140票超えの“2強”で、3位以下がケツメイシ、ONE OK ROCK、Official髭男dism、ベリーグッドマン、AK-69、back number、コブクロ、BIGBANG、SPICYSOL(BIGBANG、SPICYSOLは同票の10位)と続く。圧倒的に邦楽が洋楽を押しのけており、K-POPを除くと、紙面で発表されている48位までに洋楽は28位にエド・シーラン(10票)、43位にウィル・スミス(6票)がランクインしているだけだ。エド・シーランは分かるが、何故ウィル・スミス?というのはある。ザ・フレッシュ・プリンス名義の曲を好んで聞いている訳でもないだろうし。
そして、R&Bアーティストだが、ほぼ皆無。笑えてしまうくらい影がない。そもそも邦楽>洋楽の傾向の時点で(それは日本ゆえ当然なのだが)、明確にR&Bと呼べるアーティストが少ない邦楽がランキングの多くを占めるとなると、致し方ない結果だろう。30位にEXILE(9票)、43位にSIRUP(6票)が入っているが、EXILEはダンス/ポップスか。SIRUPはR&Bでもいいけれど、ネーミング由来にもあるラップにカテゴライズされている可能性も高いし、どちらも微妙な立ち位置だ。
世代的な考察では、20歳以下、21~25歳、26~30歳、31~35歳、36歳以上と5つにカテゴライズして集計しているが、どの世代においてもR&Bアーティストは皆無。清水翔太をR&Bとみなす向きもあるだろうが、個人的には初期はソウル濃度があったものの、どちらかといえばソウル/ポップスの色が強い印象ゆえ、確固たるR&Bとは捉えづらい。31~35歳においては4位に安室奈美恵(6票)がランクインしているが、彼女の活動期におけるR&Bテイスト曲の割合はそれほど多くなく、おおよそJ-POP/ダンスポップという位置づけの方がしっくりくる。
ジャンル別の割合も紹介されているのだが、2020年はJ-POPが35.4%、ロックが16.5%、ヒップホップ/ラップが14.7%、ポップ(主に海外)が8.1%、K-POPが4.2%、レゲエが3.7%、R&B/ソウルが3.4%、その他が14.0%と、R&B/ソウルはジャンルとして設定されているだけでありがたいとでも思わざるをえない低迷っぷりだ(ただし、同誌にて別のインタビュー記事にも登場している元『ROCKIN'ON JAPAN』編集長の鹿野淳に意見を聞いていることもあり、ロックに位置づけられるアーティストの割合は懐疑的)。
Jリーガーの音楽嗜好=日本の音楽事情という訳では必ずしもないが、髭男やTWICE(12位・19票)、米津玄師(15位・18票)、あいみょん(22位・15票)、King Gnu(24位・12票)あたり(ストリーミングランキングだとほぼ上位の面々)が約50位の上位半分までにランクインされているところをみると、それなりに現在の日本の音楽的傾向を捉えているのではないだろうか。
記事を読む前からある程度予想はしていたが、改めて“日本ではR&Bは絶滅危惧種ですね”的な結果を突き付けられると、R&B好きとしてはその結果を受け止めつつも、どうにかならんものかと思慮を巡らしてみたり。とはいっても、エラ・メイやH.E.R.、ジェネイ・アイコ、サマー・ウォーカー、ダニエル・シーザーあたりがランキング上位を席巻! みたいになったとしたら、それはそれで気持ち悪いとは思うだろうが(苦笑)。
ひとまず、R&Bラヴァ―としては、これからも良質なR&B楽曲を中心に聴きながら(もちろんジャンルレスに聴くことは大切)、来日した際にはタイミング良ければライヴを観賞する(そうしないと、次から来日公演してくれなくなるので)という地道な活動を継続していくということだろうか。R&B、ネオソウル万歳!(という、まとまりのない締め方で申し訳ありません)
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