JFL第7節、FC町田ゼルビアと松本山雅FCの試合を観戦してきた。町田は前年、平均入場者数(3000人)とスタジアム規格がJリーグ基準に達しなかったため、Jリーグを昇格を断念。それでもJFLからの昇格組としては、年間6位と健闘した。今年はW杯フランス大会日本代表の相馬直樹を監督に迎えて戦力も充実。スタジアムも照明塔を4基設置し、9月以降は現在芝生席であるバックスタンドの座席設置工事を開始するとのこと。2011年のJリーグ加盟へ本格的に動き、現在、圧倒的な強さで首位を走っている。
そのスタジアム、町田市立陸上競技場(通称・野津田競技場)は収容6000人。この日発表された観衆は5680人だから、収容人員をほぼ埋めたということになる。1500~2000人は松本山雅サポーターかもしれないが。
ところで、この野津田へのアクセスは、小田急線鶴川駅から無料のシャトルバスが運行されているのだが、これがあまり良好とはいえない(駅からのバス利用を推奨するために、バス利用者には会場の屋台村の割引券を無料配布してくれるなど、献身的な努力は窺えてよいのだが)。地形と道路の事情にもよるのだが、会場への導線がほとんど1本しかなく、渋滞がすぐ起きる。鉄道からシャトルバス(or徒歩)での来場協力を謳っているのだろうが、近県同士の対戦となるとマイカーでの来場も多いだろう。そのマイカーが駐車に戸惑っているなかで、シャトルバスもその渋滞に巻き込まれる。通常ではそれほど到着まで時間はかからないのだろうが、帰りなどは少なくとも30分以上はかかっていた。これがJに昇格して、近県のチームが大挙押し寄せてきたらと考えると、脆弱な交通アクセスといえる。
ただし、将来的ヴィジョンとして“町田駅近(えきちか)スタジアム計画”を掲げ、町田駅からの好立地にサッカー専用スタジアムを建設、ショッピングセンターやレストランといったレジャー施設の整備を検討しているようだ。
バスに揺られ会場に着くと、まず屋台村へ。本日はカレーフェスタの日のようで、山雅のカラーにちなんでグリーンカレーを食す。辛いものが苦手な(それでも成長した)自分にとっては、火を噴く辛さだったが、美味だった。
町田には兄・木島良輔、山雅には弟・木島徹也が所属しており、勝手に“木島ダービー”として注目していた一戦。木島良輔は帝京高校で中田浩二と同級。10番として活躍した。弟の徹也も兄と同様FWで帝京高校出身だ。これまでの経歴ではJクラブで多く活躍していた兄に軍配があがるが、ここで一泡吹かせられるか。
また、2000~2002年まで(途中で大宮へのレンタル時期含む)FC東京に在籍していた星大輔も所属している。星は元々町田のユース出身ということで、ご当地選手となる。
山雅はCBを多々良と大島というコンビで臨んだ。2トップは木島・弟と柿本。
試合の方だが……、町田の方がすべてにおいて1枚も2枚も上回っていた。早いプレッシャー、正確なフィード、ゴールへ駆け上がるスピード、テクニック……。それはそれで致し方ないところ。だが、この日の山雅は精神的な意味での準備が足りなかった、というか、想像以上の技術の差に圧倒され、地に足着かないままに得点を重ねられ、集中力を切らしてしまった。サッカーは技術も格も上の方が常に勝利するとは限らないが、精神力や集中力、つまり気持ちで負けてしまっては話にならない。もちろん、「やれるんじゃないか」という油断ではないと思う。油断出来るような順位に位置している訳ではないのだから。欠けていたのは、相手に対しての研究や対策もそうだが、まず、チームとして何をすべきかという統一した意識だろう。チームとしての結束、一体化なしには、JFL昇格したばかりのチームが勝ち点を奪うことなど、程遠いのだ。
ミスキック、不注意から自陣で危ない場面を作られたGK原、前半終盤にPKを外した柿本ら、山雅の精神的支柱である二人も、明らかに集中力を欠いていた。狂いだした歯車はその悪循環をとどめることなく、6失点の大敗。これが洗礼か、などでは片付けることが出来ない失態だろう。
だが、ポジティヴに捉えれば、これが現在の山雅。“気持ち”で負けたらこういうこともありうるという事実を受け入れ、ここからは這い上がるだけということに気づかされたことは、かえってよかったのかもしれない。ドラマ『スクールウォーズ』の109対0からの成長じゃないけれど、この悔しさを忘れずに、一歩一歩JFLを戦っていってもらいたい。
町田は、精力的な応援とそれに応える質の高いプレイで、JFL首位の貫禄を見せつけた。すべて素晴らしかった……といいたいところだが、苦し紛れに負け惜しみを言うと、選手紹介の時の電光掲示板の表示とアナウンスは、誤読・誤表記だらけでいただけなかった。事前リサーチおよび準備をもう少々すれば解決する問題だと思うのだが。(苦笑)
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JFL 前期第7節
2010/04/25 町田市立陸上競技場(野津田)
観衆:5,680人
町田 6(4-0、2-1)1 松本山雅
【得点】
(町):川邊(10分)、勝又(14分)、星(21分)、木島(40分)、深津(52分)、木島(64分)
(松):木村(78分)
<メンバー>
GK 01 原裕晃
DF 19 阿部琢久哉
DF 23 多々良敦斗 → 木村(HT)
DF 26 大島翼 → 山崎(HT)
DF 16 鐡戸裕史
MF 09 今井昌太 → 小林(76分)
MF 07 北村隆二
MF 20 須藤右介
MF 25 大西康平
FW 24 木島徹也
FW 10 柿本倫明
GK 18 石川扶
DF 03 山崎透
MF 05 斎藤智閣
MF 09 木村勝太
FW 11 小林陽介
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町田ゼルビアのホームスタジアム。通称・野津田競技場。
ゼルビアとは町田市の樹・ケヤキ(zelkova)と花・サルビア(salvia)の造語だそう。
試合前の練習風景。
試合前練習。本日は“木島ダービー”。
駆けつけた松本山雅サポーターに興奮の瞬間を見せることが出来るか。
電光掲示板には町田ゼルビアのマスコット“ゼルビー”。
町田市の鳥で、大地沢で生まれ野津田公園に生息するカワセミらしいです。
気合を入れて応援する山雅サポーター。“勝利を目指して、さあいくぞ山雅”
選手入場。
試合前。
電光掲示板にはゼルビー。
試合開始直前。守護神・原、頼むぞ。
大量4失点して迎える後半。前半を忘れて戦えるか。
ツエーゲンは勝ってる模様。
翼に代えて山崎投入。
まずは、1点を返そう。
試合終了。
凄惨なスコア表示が……。
2007年の多摩川クラシコ(FC東京 0-7 川崎)を思い出した。(苦笑)
ただ、これを忘れてはいけない。
拍手と励ましと怒号が飛ぶなかで挨拶し、引き上げる山雅戦士たち。
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2010JFL前期第7節 町田ゼルビア vs 松本山雅