*** june typhoon tokyo ***

Ne-Yo@日本武道館

Neyo_budokan
 キーワードは、“サワゴウ!サワゴウ!”(爆)

 2007年夏のライヴ以来、自身二度目のNE-YOのライヴを観賞しに、日本武道館へ行って来た。今回行こうと思ったきっかけは、前回観賞したライヴ(その時のライヴ・レポートはこちら)で、「バンド・セットでやってもらいたい」と思っていたことが実現するということだったから。昨年春の“Springroove”でバンド・セットでパフォーマンスして好評だったようなので、それなら次のワンマンもバンド・セットだろうと思い、参加を決定したというわけだ。

 ステージにはスクウェアなボックスがあって、その上にバンド・パートがそれぞれ配される形。左のボックスにはホーン・セクション、その隣にキーボード(?)、その後ろにキーボード2台、中央奥の高台へと繋がる階段を隔てて右奥にドラム、右端奥にベース兼キーボード、その手前にギターという布陣。これに、男性ダンサー2名とセクシーな衣装の女性ダンサー4人が華やかさと色香を添える。ホーン・セクションが加わったのは、予想外の英断だった。

 19時を過ぎ、白を基調にした衣装のバンド・メンバーが入場すると観客から拍手。ほどなく暗転して歓声があがると、男性ダンサー2人が現れたのちに、中央高台からニーヨが登場。人気曲「ビコーズ・オブ・ユー」で幕開けだ。その後3rdアルバム『イヤー・オブ・ザ・ジェントルマン』収録曲の「ノーバディ」「シングル」などが続く(男性ダンサーと3人でアリーナへ向かってバラの花を投げ込むなどのファン・サーヴィスはさすが“ジェントルマン”)。このあたりでは、ヴォーカル・アクトというよりダンス・ショウを強く意識したステージに特化していたようで、黒の下着風衣装の女性ダンサーとの絡みが多く見られたりした。
 まぁ、いまさら言うことでもないのだが、そのダンス、決めポーズ、佇まい……そして当然ながらヴォーカルも、マイケル・ジャクソンにインスパイアされたと思われるステージングで展開していく。ただ、彼のヴォーカルが聴きたい! という人にはこういったスタイルには不満を持つかもしれない。サビ・パートもフェイクが多くてあとはサンプリングに任せっきりなことも多かった。しかしながら、個人的にはこういったエンターテインメント・ショウ的なスタイルは嫌いではないし、1つのショウという大きなヴィジョンで見たときに、その完成度が高ければ満足するステージになるのだから。
 といいながらも、この日のステージは、ヴォーカル、ダンス、そしてバンド・サウンドと、どこか中途半端な感じが否めなかったことも事実。どうせなら思い切りダンス・セクションに特化するとか、メリハリを効かせたステージングであればよかったのだが……。全てにおいて満足させようとしたのがかえって仇となって、結果としては落ち着きどころを失ってしまったのかもしれない。だが、サーヴィス精神は欠かさないことは素晴らしく、曲の間に帽子をとって頭の汗を拭いたタオルをどこへ投げ込むか考えながら、右、左、中央それぞれへ向かうときに見せたコミカルなスキップ(観客からは笑いや“カワイー”の声も)などの貴重な姿が拝めたのは良かったのかも。そして、前回のライヴ・レポートに、“「アーユーレディ」とか決まったフレーズにしか反応しないから、次回はマネージメントする人に、「日本はそれほど英語を理解できる人が多くないら、わかりやすくモアスローリーにトーキングしてくれ」と頼み込んでおけ”みたいなことを書いた願いが届いたのかどうか知らないが(笑)、ニーヨは、ことあるごとに“トーキョー、サワゴウ!”“サワゴウ!サワゴウ!”を連発(おそらく“スクリーム”を日本語でどういうか聞いた結果、“サワゴウ”になったんだろうと思うが)。結局、この日のニーヨのMCの大部分は日本語で、その内容も、“トーキョー”“サワゴウ!”“アイシテル”“タノシイ!”(“タノシイ!”は最初上手く言えてなかったのだが、最前列付近の観客に正確な発音をレクチャーされたのか、3回目くらいにしっかりとした発音の“タノシイ!”に修正されていたり)ばかりだった。いや、もう少しくらいは、英語を混ぜてもいいとは思うけれどな、と。(笑)

 このペースでステージが展開していたら、この日はそんなに評価出来なかったのだが、ガラッと印象が変わったのは、ニーヨが一旦ステージ・アウトした後のバンド・メンバーによるインストゥルメンタル・セクションから。ファンキーでボトムの響くタイトなサウンドのなかを、ホーン・セクションの3人がボックスを飛び降りステージ中央に出てくると、よりアッパーな雰囲気へと様変わり。そこで(確か)サックスが、エステルの「アメリカン・ボーイ」のフレーズを演奏したりして(観客は気づいていたのか解からないけれども)、ギアのレヴェルが上がった感じに。そこからの構成では前半とは一変したようにバック・バンドのサウンドが前面に出てくるようになり、ようやく生バンドでのニーヨ・ライヴという形が具現化した空間となった。そして、本編ラストの「クローサー」では、彼の得意とするマイク・スタンド・パフォーマンスを存分に盛り込みつつ、バック・ダンサーとのライン・ダンス・パートなど、マイケル・ジャクソンやジャネット・ジャクソンばりのコンビネーションを披露、楽曲のキャッチーさも手伝って、サウンド、歌、ダンスが三位一体となった魅惑のエンターテインメント・パフォーマンスが展開されていった。こういう流れが序盤から続いていたら、印象ももっと格段に良かったものになったかもしれない。

Neyo しかしながら、どこかお茶目なイメージが抜けないニーヨ。本編ラストの終わり方もそうで、「クローサー」が一旦終わると男性ダンサー1人がワゴンにホール・ケーキを乗せてやってくる。実はもう1人の男性ダンサーの誕生日だったようで、観客とともに“ハッピー・バースデー・トゥ・ユー”と合唱したのはいいが、そのあとバンド・サウンド・アウトロによって幕。何だか狐につままれたような感じで終わってしまった。ううむ……。
 そのまま暗転はしたが、バンド・メンバーは舞台袖に下がらずどうやらその場に残っていた模様。割れんばかりの拍手と歓声の嵐が起こると、やおら妖艶な赤紫色のスポットライトがステージに灯り、現れたバンド・メンバーがクラップを催促するうちイントロがスタートし、「キャン・ウィ・チル」で終幕。「クローサー」やアンコールの熱が冷めやらず、“チル”という雰囲気には程遠かったが。(笑)

 総括すると、ホーン・セクションを含めたバンド編成は大正解。「ソー・シック」などでは多少ラテン調のアレンジなどもしていたようで、こういったアプローチも大歓迎だ。前回でも披露したニーヨ関連楽曲のメドレーは、R&B好きには好企画だろう。ビヨンセの“トゥ・ザ・レフト、トゥ・ザ・レフト”や“イレプレイサボォォ~ル”(なかなか発音が難しいけれども…汗;)のシンガロングも成功したし、ジェニファー・ハドソンの「スポットライト」も聴けたし(反応からみると、観客はリアーナ好きが多かった模様)。ただ、そこでの尺が短いのはよしとするが、自身のオリジナル曲がショート・ヴァージョンとなっていたことが多かったのは残念。ダンス・セクションではダンス重視でも構わないが、歌を聴かせるというセクションもしっかりと作って、そこではフル・サイズでじっくりとパフォーマンスして欲しかったのが正直なところ。そういう、メリハリ作りはやや欠けていたので、前述したような中途半端なイメージに繋がったのではないだろうか。そのあたりが、今後の課題だろう。

 日本武道館2DAYSのチケットは完売。急遽、ステージを斜め後ろから観る追加席を発売するなど人気が衰えないニーヨ(この後の大阪、名古屋両公演も完売)。こうなると次はドーム・クラスのライヴとなってしまうか?(出来ればそれは音的にも避けてもらいたいところだが…) だが、そのためにはもう1ステップ、2ステップも高めなければならない。また、特に大きな会場になれば、ダンス、サウンド、歌の3要素を巧みに練り上げたエンタテインメント・ショウを創り上げなければならないだろう。そのあたりを見据えて、ライヴ・パフォーマンスにさらなる磨きをかけてもらいたいところだ。


◇◇◇

01 Because of You
02 Nobody
03 Single
04 Mad
05 Sexy Love
06 Lie To Me
07 So Sick
08 So You Can Cry
09 Make It Work
10 Crazy
11 In The Way
12 Do You
13 ~MEDLEY~
Irreplaceable (Original By Beyonce)
Take A Bow (Original By Rihanna)
Let Me Love You (Original By Mario)
Spotlight (Original By Jennifer Hudson)
14 Go on Girl
15 BAND INSTRUMENTAL SECTION
(Including in part of “American Boy” Original by Estelle)
16 Make Me Better (Original by Fabolous)
17 Bust It Baby Pt.2 (Original By Plies)
18 Stop This World
19 Miss Independent
20 Closer (Including in “Happy Birthday”)
≪ENCORE≫
21 Can We Chill

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