*** june typhoon tokyo ***

ザ・たこさん@QUATTRO

■ ザ・たこさん@渋谷QUATTRO

Thetakosan




 “DON'T THINK FEEL”(考えるな、感じろ)。ブルース・リーが言い放った言葉が、そのまま当てはまるのではないか。大阪発のファンク・ソウル・バンド、ザ・たこさんの20周年記念&アルバム『タコスペース』リリース記念ライヴを観賞。会場は渋谷QUATTRO。

 会場を緩やかに、しかしながら胸の高鳴りを呼ぶDJには渡辺祐(ここぞというところでジャイアント馬場の入場曲「王者の魂」を流すなどは、してやったりの仕業だろう)。さらにオープニング・アクトにはオオサカモノレールと贅沢なオードブルを堪能した後、20時過ぎにザ・たこさんの時刻に。ヴォーカルの安藤を除くメンバーが舞台に揃った後、フロア後方から覆面プロレスラー姿の安藤が山口らが煽る“アーンドゥ!”の声とともに観客をかき分けながら登場。じらしにじらしながら、油っこさたっぷりの濃厚なステージがスタートした。

 「ロクシマのテーマ」から幕を開けたこのライヴ。スペシャルゲストとして、グレート義太夫、宮藤官九郎、アンコールでは“Mr.ビューティフルサンデー”こと田中星児も駆けつけた。「ナイスミドルのテーマ」「(Make it) FUNKY TENGA」「KAMINUMA」「BLUE MOUNTAIN BLUES」「突撃!となりの女風呂(On A Blow)」など、ギトギトだけど極旨エキスが充満した実に食べ甲斐のあるナンバーを、ほぼMCなくノンストップで繰り広げる。ダブル・アンコールもあって(しかも曲を始めるまでの前フリ登場が異様に長いし、そもそもダブル・アンコールではなくて“流れ”かも知れないが)、演者も観客も汗をほとばしらせながら、互いを前のめりでがっついた、本能にまみれた2時間強だった。

 くだらないことを、思ったまま開けっぴろげにやりきる。実に下世話でバカバカしいが、それは本音を押し殺して上辺を取り繕うことの多い大人の社会へのアンチテーゼなのかもしれない。よく言えば純真、悪く言えば稚拙。だが、稚拙だ幼稚だといって避けてきたことに、本能は満たされているか。そんなことすら述懐したくなる濃密な空間だった。

 無論、ライヴ中にはそんな頭などどこにもなし。目の前で繰り広げられる汗臭い演者たちに、ただ身体や心を揺らせているだけだった。
 サウンドといったって、JBマナーのファンクが軸なんだから、目新しいものはない。だが、この美しきマンネリは、なぜか興奮と恍惚を呼ぶ。

 余談だが、志村けんは「目指すべき笑いの頂きは、究極のマンネリズム」と言った。時代劇『水戸黄門』が長寿番組であり得るのは、同じタイミングで印籠が出て相手を必ず倒す勧善懲悪だからだとも聞く。
 そして、ファンクに付き物のシャウト。それをリズムに応える合いの手だと考えると、日本の歴史を紐解いた時に、餅つきなどの掛け声や御輿を担ぐ時の掛け声など、日本人の生活に昔から備わっていたものだとも感じられる。
 こういったマンネリや合いの手の文化は、むしろ日本人が長らく共にしてきたもの。そう考えれば、ファンクは実に日本人に適したサウンドなのかもしれない。

 とは言ってみたものの、彼らが放つグルーヴの前では、そんな理屈は屁の足しにもならない。まさに“考えるな、感じろ”なのだ。全員を呼び込んでの大団円でラスト……と思いきや、その後もファンキー・グルーヴは鳴りやまない。そのクドさが、何故だかクセになってしまうから不思議だ。

 その時を精一杯、自身をさらけ出して生きることが最高……やんちゃしながらも、“生”や“性”への飽くなき追求を具現化する彼ら。その姿に脱帽させられっぱなしだった。


◇◇◇

<SET LIST>

00 OPENING
01 ロクシマのテーマ
02 ナイスミドルのテーマ
03 ザ・たこさんのテーマ
04 稲妻
05 サイレンが鳴った。アンパイヤ出動(Special Guest with グレイト義太夫)(Including phrase with“SMOKE ON THE WATER" ”by Deep Purple)
06 ゴリラの息子(Special Guest with グレイト義太夫)
07 (Make It) FUNKY TENGA
08 KAMINUMA
09 『初期のRCサクセション』を聴きながら(Special Guest with 宮藤官九郎)(Including phrase with“雨あがりの夜空に" ”by RC SUCCESSION)
10 レバー・フォーレバー(Special Guest with 宮藤官九郎)
11 BLUE MOUNTAIN BLUES
12 突撃となりの女風呂(On A Blow)
13 五月のサバ Pt-2
≪ENCORE #1≫
14 ビューティフル・サンデー(Special Guest with 田中星児/オーサカ=モノレール)
15 ケンタッキーの東(All Member)
≪ENCORE #2≫
16 我が人生、最良の日
17 ザ・たこさんのテーマ


<MEMBER>

安藤八主博(vo)
山口しんじ(g)
オカウチ・ポテト(b)
マサ☆吉永(ds)

MCキチュウ(MC)

グレート義太夫(g)
宮藤官九郎(g)
田中星児(vo)

オーサカ=モノレール(Opening Act)

渡辺祐(DJ)


◇◇◇


BLUE MOUNTAIN BLUES


馬場正平、猪木寛治……と昭和プロレスネタてんこ盛りです。
 


突撃!となりの女風呂(On A Blow) 

 
DJ SUBROWによるリミックス。

カットの仕方とかがダンス☆マンのライヴDJ、DJサブローに似ているんだけど、違うかな?







 
 

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