雲上の楽園

私たちが住んでいる場所から最寄りの都市『デ○ロイト』は
自動車業界のビッグ３が本社を構える場所で
数年前に新しく出来たばかりのメジャーリーグの球場があったり
高層ビルが立ち並んでいたりと我が町とは大違い。

それだけ聞くとかなり栄えている街なんだと思われそうですが…
ガイドブック等でデ○ロイトを訪れた人の感想を見ると
皆さん口をそろえて
『街の規模の割に昼間から閑散としすぎている』
『昼間なのに成人男性が何をするともなくウロウロ歩いている』
『コワイ』
とかそんなのばかりです。
それでも以前よりは良くなったとの事ですが。

私が持った感想も皆さんと同じ感じですが
特に印象深かったのが
『廃墟ビルの多さ』でした。

アメリカは地域によっては日本のような巨大地震に
襲われるというような事がないので
１９２０年代に建てられた高層建築がゴロゴロ残っています。
この街にある、そんな歴史的な建築物も
今は無人で中身は空っぽというのがチラホラ。
ビルの窓の中には何も見えず、窓の向こうの窓から青空が見えてしまいます。

私が廃墟群を見ていてまず思い出すもの。
岩手県松尾鉱山跡地です。
実物はさすがに見に行った事はないけど
新聞で写真を初めて見た時は、ちょっとびっくりしてしまいました。

かつての東洋一の硫黄鉱山です。
標高１０００メートルを超えるにもかかわらず
最盛期には人口15000人、昭和30年代としては最先端の
スチーム暖房完備の鉄筋コンクリートアパート、県内一の劇場と総合病院を持ち、
『雲上の楽園』と称されたそうです。
そんな鉱山も昭和40年代半ばには閉山となり
今は廃墟となってひっそりと高原に佇んでいます。

短期間で栄華を極めた町が、鉱山の閉山で町ごと廃墟となり
40年近くたった今でも取り壊されることもなく丸ごと残っているなんて…。
かつての賑わいを想像すると、なんだか感慨深いものがあります。

この廃墟群は岩手県秋田県境のアスピーライン沿いにあるそうなんだけど
何も知らずにたまたま目にしてしまったら…
相当驚くこと間違いなしだ。