東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

マリー=ドニーズ・ヴィレール《マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ》-「メトロポリタン美術館展 2021-22」

2021年11月20日 | メトロポリタン美術館展2021-22
メトロポリタン美術館展
西洋絵画の500年
2021年11月13日~2022年1月16日
大阪市立美術館
 
マリー=ドニーズ・ヴィレール
Marie-Denise Villers
《マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ》
1801年、161.3×128.6cm
メトロポリタン美術館
 
   白い簡素な衣装を着た若い女性がひとり、デッサンに熱中している。
   逆光に沈む顔のその瞳は大きく見開かれ、鑑賞者を見つめている。
   部屋の窓のガラスは、何故かひびが入っていて、外にはカップルが逢瀬中。
   その大画面は、展示室のなかで輝いてみえる。
 
 
 
   本作品のモデルは、マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ。1786年生まれなので、本作品制作当時は14〜15歳。
 
   本作品は、ヴァル・ドーニュ家に受け継がれ、1897年の展覧会に貸し出されたことで、公に知られるようになる。当時、新古典主義の巨匠ダヴィッドの作と考えられていた。その後、売却され、2軒の個人蔵を経て、1917年にメトロポリタン美術館に遺贈される。
   1951年、美術史家が作者帰属に異論を唱える。1801年のサロンの展示風景を描いた版画に本作品が写っている。そのサロンに出品していないダヴィッドは作者ではあり得ない。本作品は作者不詳となる。
   1996年、美術史家が本作品の作者としてマリー=ドニーズ・ヴィレールの名を挙げ、彼女がサロンに出品した絵画のいくつかを同定する。メトロポリタン美術館は、不確かさは残るものの、帰属を受け入れる。
   
   本作品の作者となったマリー=ドニーズ・ヴィレールは、1774年パリ生まれ。本作品制作時は26〜27歳。三姉妹の末っ子で、姉妹全員が画家になっている(親の職業は未確認)。1794年結婚。サロンには1799〜1802年、1814年に出品。確実に彼女の真筆とされる作品は3点のみであるらしい。1821年没。
 
 
 
   三姉妹の長女 マリー=ヴィクトワール・ルモワーヌ の作品も、メトロポリタン美術館は所蔵している。
 
Marie-Victoire Lemoine(1754〜1820)
《The Interior of an Atelier of a Woman Painter》
1789年、116.5×88.9cm
メトロポリタン美術館


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。