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平成28年新指定 国宝・重要文化財(東京国立博物館)

2016年04月23日 | 東博総合文化展

平成28年新指定 国宝・重要文化財
2016年4月19日~5月8日
東京国立博物館 本館8室・11室


   本展では、平成28年に新たに指定される国宝4件、重要文化財46件と、追加指定された重要文化財5件のうち、4件の国宝を含む52件を展示します。

 

   以下、印象に残る作品を記載する。


1)国宝《紙本金地著色洛中洛外図(舟木本)》岩佐勝以(又兵衛)筆
   江戸時代・17世紀、東博蔵


   江戸時代初期に活躍し、浮世絵の祖と称される岩佐勝以の画風を示す洛中洛外図である。六曲一双の画面に、おおむね東山から下京辺りの景観が左右隻連続して描かれており、中世から近世へ移行する過渡期の洛中洛外図として独特の構成を示す。また、人々の様子は大変密度の高い描写で生き生きと表現され、近世初期風俗画の到達点と評価できる作品である。
   近年、洛中洛外図や岩佐勝以に関する研究が進展し、それらの研究成果を反映した展覧会も数多く開催され、この作品の文化史的、美術史的重要性が再確認されたため、国宝に指定する。


   2013年東博の「京都-洛中洛外図と障壁画の美」展以来。その時は、この絵の前に特に人が群がっていて、とても鑑賞できるような状況ではなかったという印象がある。
   本展でも人気No.1。だが、特別展ほどの人出にはならないので、私にとって実質初鑑賞の機会が到来。
   細かく描き込まれた人物、その描き込みの密度が凄い。濃厚。画面が暗め、特別展時のような展示環境ならもっと味わえるのに、と贅沢なことを思う。
   ミュージアムシアターでは “ 国宝指定決定記念 特別VR上演「洛中洛外図屏風 舟木本」 ”をやっているので、本作展示期間中に見たいところ。

 

2)重文《絵になる最初》竹内栖鳳筆
   大正2年、京都市美術館蔵


   竹内栖鳳は近代京都画壇を代表する日本画家で、江戸時代の円山四条派の伝統を踏まえ、また早くにヨーロッパに出かけて西洋絵画を研究し、それらの影響を反映させた新しい画風を打ち立て活躍した。日本において裸体モデルを使ってデッサンの訓練をすることを始めた最初期の日本画家である。
   本図は、モデルとなる女性が着衣を脱ぐことを恥じらう表情に画想を得たもので、新しい画題の中に斬新な意匠と情緒の表現を両立させた画期的な作品である。


   初見。一種のヌード画。重文指定は《班猫》以来2点目でいいのかな。

 

3)重文《漣》福田平八郎筆
   昭和7年、大阪新美術館建設準備室蔵


   今回、福田作品としては最初の指定となる。本図は湖面にきらめく光を表現したものであるが、プラチナ箔を押した画面に、不定型な群青色の色面を配置することのみで仕上げている作品で、福田の作風の特徴をもっとも良く示す作例として貴重である。


   初見。福田平八郎は気になっている画家。次の回顧展の機会を待っているところ。

 

4)重文《人面文壺形土器》
   愛知県亀塚遺跡出土、弥生時代後期・3世紀、愛知・安城市蔵


   線刻で人面を描いた弥生時代の壺形土器である。人面は、壺の胴部に細く鋭利な線で大きく描かれ、眼・鼻・口の周囲に幾重もの細線を充填し、また耳には耳飾りと思われる装飾表現もある。細かな破片が接合されて、顔面のほぼ全貌が復元された。
   このような土器は「人面文土器」と呼ばれ、弥生時代の祭祀で、辟邪(=魔除け)の思想などを表した特別な土器と考えられているが、その全形を窺い知ることができる例は稀である。


   ただ、人面を見つめる。

 

5)重文《絹本著色仏涅槃図》命尊筆
鎌倉時代・1323年、九州国立博物館蔵

6)重文《絹本著色仏涅槃図》
平安時代・12世紀、岐阜・汾陽寺蔵

   今年は大型の涅槃図が3点重文指定されているが、本展出品は上記の2点。もう1点、京都・西念寺の涅槃図は保存状態から非出品。

 

   分野も時代も所蔵者も異なる多様な品々が、ただ同じ年に国宝・重文に新指定されたということだけで一室(彫刻作品だけ別の室)に集まる本企画。今年も楽しんだ。



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