春の江戸絵画まつり
江戸絵画お絵かき教室
2023年3月11日〜5月7日
(前期:〜4月9日、後期:4月11日〜)
府中市美術館
府中市美術館の恒例企画、20回目を迎えるという「春の江戸絵画まつり」。
今回は、「江戸絵画お絵かき教室」。
これまで、さまざまな切り口で江戸時代の絵画を紹介してきましたが、どれも「美術史」の視点から作品を眺める展覧会でした。
本展は「描く」ということに着目した初めての試み。
画材や技法の基礎知識から描き方のコツまで、さまざまな側面から江戸絵画の「描く」に迫ります。
前期・後期で大半が展示替えとなる本展。
前期2回に引き続き、後期を訪問する。
【本展の構成】
1 四大テーマに挑戦
(1)動物を描く
(2)人を描く
(3)景色を描く【前期】
(4)花を描く【後期】
2 画材・技法・表具
(1)画材
・墨/絵具/濃彩と淡彩/金/紙と絹
(2)技法
・付け立て/滲み・たらし込み/筋目描き/裏彩色/江戸時代の油絵
(3)表具
3 江戸時代の画家はどうやって学んだのか?
(1)中国に学ぶ
(2)雪舟に学ぶ
(3)応挙に学ぶ
(4)粉本に学ぶ、粉本を作る
(5)オランダ本に学ぶ
(6)虎の研究
4 江戸絵画はヒントの宝庫
(1)自由な水中画
(2)国芳に劇画を学ぶ
(3)空を描く
(4)全部を描かない
(5)少ない色でカラフルに見せる
(6)塗り残して表す
(7)ぽつねんと描く
(8)見たままを描かなくてよい
(9)お手本はいらない
【特に眺めた作品、後期展示を中心に】
メインビジュアル&トップバッターは通期展示
長沢蘆雪《唐子遊図屏風》
お絵かきで、ふざけて遊ぶ子どもたち、長い巻紙に大作描く子も。
「蘆雪の雀」
長沢蘆雪《雀図扇面》
通期展示の本作を軸に、後期展示の3点による、かわいい「蘆雪の雀」。
「応挙の犬」
円山応挙《狗子図屏風》
屏風に広がる野外空間で、右隻に5匹、左隻に6匹、計11匹の子犬たちが遊ぶ。
「たらし込み」
与謝蕪村《胡瓜図》
胡瓜がなる。
「裏彩色」
長沢蘆雪《文君当炉図》
女性の肌は裏彩色だけで表現されており、表には何も塗られていないという。
写真などを使って超拡大しないと分からない、ということで、超拡大写真パネルが用意されている。
「中国に学ぶ」
伝徽宗《狗子図》嵯峨美術大学・嵯峨美術短期短期附属美術館
狩野探信《遊狗図》摘水軒記念文化振興財団
森狙仙《双狗図》摘水軒記念文化振興財団
伝徽宗の子犬。伝徽宗とあるが、おそらく中国の手本を日本の画家が写したのだろう。
探信の3匹の子犬のうち1匹が、伝徽宗の子犬と全く同じ外観・ポーズ。残る2匹の子犬も、中国の別の手本によるものとのこと。
狙仙の2匹の子犬のうち1匹が、外観はやや違えど、伝徽宗の子犬と全く同じポーズ。
中国の手本を真似することで学ぶ、このことを子犬をもって認識させる展示。
「虎の研究」
岸駒《猛虎図》本間美術館
後期の後半展示のため、解説パネルのみの鑑賞。
この画家は、虎を、本物の頭と足を手に入れて研究したのだという。
「全部を描かない」
長沢蘆雪《富士見西行図》
超縦長、画面の上部、うっすらと富士の上の方。
画面の下部に、富士を見上げる人物。
首が折れそうなほどの見上げ方は、見ようとしているのは富士ではなく、真上の空であるかのよう。
「お手本はいらない」
長沢蘆雪《狗児図扇面》本間美術館
世界犬絵史上、もっともダラけた犬の登場です。
— 江戸絵画お絵かき教室展@府中市美術館【図録制作チーム公式】 (@edo_fam) April 12, 2023
江戸絵画お絵かき教室展、昨日から後期スタートしました。会期後半は混雑が予想されますので、早めのご観覧がおすすめです〜 pic.twitter.com/VnOqNCI5bk
ダラけてる? 舌出し腹を見せる子犬。
本間美術館の顔であるという。
池大雅《河豚図》
描かれているのは、落ちていたフグの皮。
説明を受けてもやはり分からない、何が描かれているのか、不思議界の絵。
徳川家光《兎図》
切り株のうえにちょこんとたたずんだ、大きな黒目のかわいいウサギ。
2019年「春の江戸絵画まつり」で初公開され、ヘタウマとかわいらしさが話題となった作品。
以上のとおり、蘆雪の割合が私の好みを物語る。
来年の「春の江戸絵画まつり」の内容も公表済み。
ほとけの国の美術
2024年3月9日〜5月6日
仏教の美術は、豊かな創作の場でもありました。
例えば中世の来迎図には、人々が包まれている仏教の世界を表現するために様々なアイディアが注がれ、また、奇抜な絵で現代人を魅了する伊藤若冲の創作の源は、篤い信仰でした。
来迎図から若冲まで、「ほとけの国」で生まれた、美しく、アイディアに溢れた作品をご覧いただきます。
これも楽しみ。