生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村
2015年3月18日~5月10日
サントリー美術館
本展は、細かく設定された展示替えに応じて期間が6期に分けられているが、3度訪問すれば、全出品作品を見ることができるそうである。そこまでのこだわりはない私であるが、それでも2度訪問する。
1度目の訪問は、第1期。
お気に入り作品、若冲≪果蔬涅槃図≫狙いである。
2度目の訪問は、第5期。
六本木アートナイト2015の開催日。何といっても入館料が「六本木アートナイト割引」で500円!
その日は24時までの開館なので、21:40と実に遅い時間に入館したが、館内は驚くほどの賑わい。
23:20頃に退出したが、まだまだ入場者あり、館内の人もそれほど大きくは減らない。
恐るべし、六本木アートナイト+若冲+500円。
以下、2度の訪問あわせて、特に印象に残った作品。
No.207 若冲≪果蔬涅槃図≫京博、1-3期
2度目の鑑賞。
涅槃図の登場人物が野菜に置き換わっている。二股大根が釈迦の役を担う。
No.221 若冲≪蔬菜図押絵貼屏風≫1-3期
1枚に1つずつ描かれた野菜たちが楽しい。
右隻)えんどう豆、蕪、瓜、蓮、大根、里芋
左隻)茄子、松茸、南瓜、くわい、大和芋、冬瓜
No.222 若冲≪象と鯨図屏風≫MIHO MUSEUM、通期
大きな白象vs一部しか姿が見えない黒鯨。
大きいことは素晴らしい。
No.080 若冲≪花鳥版画≫6点、平木浮世絵財団、1-2期
贅を凝らした着色版画に見入る。
No.135 若冲≪白象群獣図≫5-6期
桝目描き。白象、りす、いたち、2頭の手長猿、熊、麒麟、鹿の角。
特に手長猿、鹿の角が識別しがたい。手長猿は、さすがに顔は分かるが、体がどう描かれているのかわからずじまい。
23時を超えても、退出前に再確認した時も、この絵の前は人だかり。
No.199 蕪村≪鳶・鴉図≫北村美術館、1-3期
≪鴉図≫は、1976年発行の国際文通週間の切手に採用されていて、その切手があまりにも地味なので、長く原画に対しても先入観にとらわれていた。
一度どこかで見た記憶がある(どこだったかは思い出せない)が、あの切手の絵の実物を見たね、以外の印象が残ることはなかった。
今回観て、こんなにも感慨深い絵だったのか、と認識を新たにする。
枝につかまり風雨に屹と立ち向かっている一羽の鳶。
降りしきる雪のなか、枯木に並んで留まる二羽の鴉。
若冲目当ての訪問。多くの観客もそのようで、実際に若冲の前と蕪村の前では、混雑度合いが違う。
鑑賞時間のほとんどを若冲に費やす。堪能する。最高傑作≪動植綵絵≫30幅がまた見たくなる。蕪村は素通りに近い。
それでも、今回のマイ・ベストは、蕪村≪鳶・鴉図≫。