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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

フランダースの光 (Bunkamura ザ・ミュージアム)

2010年10月09日 | 展覧会(西洋美術)

すっかりはまってしまいました。

「シント・マルテンス・ラーテム」(ラーテム村)を舞台に制作された作品群。
これらを通じ、20世紀の最初の約30年におけるベルギー美術の動向(の一部)を知ることができます。

本展では、画家数を絞って、その分作品数を相応に確保しています。
それにより、各画家の画風やその変遷を感得できるようになっています。

章立ては次のとおりです。

第一章 精神的なものを追い求めて
ラーテム村の第一世代。深い精神性を追求した象徴主義的絵画。

第二章 移ろいゆく光を追い求めて
第二世代。印象主義。素朴な田園地帯の美しさを素直に表現。

第三章 新たな造形を求めて
第三世代。表現主義やキュビズム。概ね1920年代の作品。



登場する画家は次の14名です。
画家名の後の数字は、章ごとの出品数を第一章から順に書いています。

1 アベール   4,-,-
2 ミンヌ     9,-,-
3 サードレール  7,-,-
4 ウーステイヌ  10,-,-
5 セルヴァース  2,-,1
6 クラウス   -,12,-
7 ウェールト  -,1,-
8 児島虎次郎  -,2,-
9 太田喜二郎   -,4,-
10 サヴレイス   -,1,-
11 スメット兄  -,3,9
12 スメット弟  -,7,-
13 ベルグ    -,4,8
14 ベルメーク  -,3,2


主な画家について、キャプションを参考にして記載します。

1 アベール
 著述家でラーテム村の村長。39歳から絵筆を握る。
 描かれた森。ラーテム村生の画家は、村の土地の美しさを知り尽くしている。
 写実的でありながら、余分なものをすべて削ぎ落とし、深い精神性を感じさせる。
 つい見つめつづけてしまう4点。

3 サードレール
 1904年に印象主義を捨て、神秘・静寂の象徴主義へ。
 印象主義時代の作品は、買い戻して廃棄することまで行ったらしい(本展では印象主義時代の作品が1点あり)。
 無駄なものを削ぎ落とした鳥瞰的な大画面の風景画。

4 ウーステイヌ
 今回のお気に入りの画家。純粋・神秘的な象徴主義。
 リンゴに囲まれて眠る女性「実り」もいいが、「ミルク粥を食べる人」「悪しき種をまく人」が好み。

6 クラウス
 印象主義の大御所。色彩の饗宴。

8 児島虎次郎、9 太田喜二郎
 ベルギー印象主義には日本人もかかわっていた。
 この二人は、クラウスに師事し、印象主義満開の絵画を描いている。
 児島の作品1点がゲント美術館所蔵とある。
 今回の見どころか。

11 スメット兄
 印象主義時代の作品は、印象主義全開とはいっていない。どこか抑えている。
 はたして、1920年代にはドイツ表現主義やキュビズムに影響された暗い色調の作品に変わる。

12 スメット弟
 兄と異なり、印象主義一筋。田園風景よりむしろ、上流階級の生活を描く。

13 ベルグ
 印象主義⇒ドイツ表現主義やキュビズム⇒穏やかな表現主義⇒シュレリアリスムと変遷。
 各時代の作品が展示されている。

14 ベルメーク 
 くすんだ強い色彩の作品。デフォルメされた人物。


ラーテム村(今は国内一の高級住宅地にもなっているらしい)も画家たちの名前も今まで知りませんでした。
のでなかなか足が向かなかったのですが、行ってよかったです。
このような展覧会を日本で見ることができるのはありがたいことです。



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