待っていたドガ展。堪能しました。
驚いたのが、ボストン美術館からの出品作品。
「ボストン美術館展」で出品された、
「エドモンドとテレーズ・モルビッリ夫妻」
「田舎の競馬場にて」
「美術館にて」
の3作品。本展でも
「エドモンド・モルビッリ夫妻」
「田舎の競馬場にて」
「美術館訪問」
として再登板。約4か月ぶりの再会となりました。
特に「エドモンド・モルビッリ夫妻」は前回の私のお気に入り。今回も惹きつけられます。
ひょっとするとこのまま本展のお気に入り№1になってしまうのでは、と一瞬思うほど。
4~6月の六本木、7~8月の京都、9~12月の横浜と、日本にいっぱなし。
このままずっと日本で活躍してくれればいいのに。
なお、六本木のもう1点「男の肖像」はなく、代わりに「腕を組んだバレーの踊り子」が登板。
出品数4点。そのレベルも相俟り、ボストン美術館は本展への貢献度大です。
今回のメインはオルセー美術館。出品数も多いです。
「エトワール」
本展の目玉たるパステル画。専有の一画が与えられています。
スポットライトを浴びて踊るバレリーナ。
なお、館内の壁には超特大のエトワールが掲示されています。
(人垣で見る実物より、こっちのほうが詳細が分かっていい・・・なんて声も)
「画家の肖像」
本展でまず我々を迎えてくれるのが、21歳の時の自画像。
アングルの自画像( ↓24歳の時のもの。 ウフィツィ自画像展出品作品ではない)を意識した作品とのこと。
「アマチュア騎手のレース前-出走前」
1862年の作品だが、1880年代初頭に画家本人が右後方に煙突(煙付き)を描き加えたとのこと。
近代化が進む時代。20年近くもたてば、風景も変わりますよね。
「イレール・ドガ」
祖父の肖像。フランス革命後、隠遁生活を送ったとのこと。
「ルイ=マリー・ピレ(チェロ奏者ピレ)」
奏者の後方には、聞き入るドガの父親の姿。
「バレエの授業」
すばらしい。少女たちの多様な順番待ちの姿。今回のお気に入り№1。
「浴盤(湯浴みする女)」、「草上の二人の浴女」
浴女シリーズはどうも・・・。
あたりが主な作品。
オルセー美術館は、改装中ですが、オープンしているので、一級品を残さなくてはいけません。
また、世界巡回展を2本走らせています。
うち1本は東京で開催された「ポスト印象派」展(今はサンフランシスコで開催中)。
ドガが1枚出品されていました。
もう1本は、サンフランシスコで終了し、今度やはりアメリカのNashvilleで始まる「印象派の誕生」展。
当然ドガも大きな柱の一つとなるので、相応の数とレベルの作品を用意しているはずです。
HPで確認しました(詳細な出品リストは掲示されていないので限界がありますが)。
Nashvilleの「印象派の誕生」展(10月15日~1月23日)
「six works by Degas, including Ballet Rehearsal on the Set」とありました。6点か。
サンフランシスコの「印象派の誕生」展(5月22日~9月6日)
少なくともこの3点が出品されたようです。
・Racehorses Before the Stands(1866-68)
・The Dancing Lesson(1873-76)
・Portraits at the Stock Exchange(1878-79)
「バレエの授業」は、サンフランシスコ展終了後、Nashville展には持っていかず、日本に持ってきたということになります。
その代わり、7月まで日本にいたマネの「エミール・ゾラの肖像」をNashville展では加えています。
各方面の要望にこたえるため、作品のスケジュールをやりくりして対応しているようです。
フランス国内の美術館では。
ポー美術館 「綿花取引所の人々(ニューオリンズ)」
お気に入り№2。
ドガの珍しいアメリカでの作品。ニューオリンズは母親の故郷で、弟はそこで事業を立ち上げていたらしい。
広角レンズで撮った写真風の14名の人物を伴う室内の情景。
トゥール美術館 「マンテーニャ≪磔刑図≫の模写」
三菱一号館美術館でも模写作品が展示されていました。
ルーアン美術館 「木陰で死んでいるキツネ」
教えてもらわないと、ドガ作品とはわからない。
フランス以外のヨーロッパからの出品は少ないです。
ベオグラード国立美術館とスイスのE.G.ビューレー・コレクション。
後者は、油彩2作品もいいですが、ブロンズ像「14歳の小さな踊り子」がその生々しさで印象的。
最後にアメリカから。
メトロポリタン美術館 「トキと若い女」、「テオドール・ゴビラール夫人(イヴ・モリゾ)」
前者は、これも教えてもらわないと、ドガの作品とはわからない。オレンジ色のトキが印象的。
後者は、ベルト・モリゾのお姉さんの肖像画。
ワシントン・ナショナル・ギャラリー 「障害競馬-落馬した騎手」
大きい。本展で最大の絵画。
ワズウォース美術館 「画家の従姉妹の肖像」
スプリング・フィールド美術館 「バレエの前のリハーサル」
デトロイト美術館 「緑の部屋の踊り子たち」
ドガといえば踊り子。この2作品は、ボストンの1作品とともに、メインたる「エトワール」、「バレエの授業」の脇を固めるという、重要な使命を担っての出品です。
フィラデルフィア美術館 「浴後(身体を拭く裸婦)」
強烈なオレンジ色。裸婦は写真をもとに描いたらしく、その写真(の複製)も隣に展示。
お気に入り№3。
他にも出品した海外美術館はありますが、印象に残ったものを記載しました。
本展は大みそかまでの開催。何回か通うことになりそうです。