三菱一号館美術館の第三回目の企画展。
「カンディンスキーと青騎士」という題名どおり、本展覧会のメインはカンディンスキー。
しかし、私がいちばん楽しみにしていたのは、フランツ・マルク。
マルクといえば、動物画。
1991年の「グッゲンハイム美術館名品展」。
「牝牛」(1911年)、「黄色い牝牛」(1911年)、「チロルの寒村」(1913年)の3点を見て、すっかりファンに。
1996年の「フォルクヴァング美術館」展。
「風景の中の馬」(1910年)がまた素晴らしかった。(抽象画を試みた「戯れのフォルム」(1914年)と計2点の展示。)
それ以降、マルクを見る機会に恵まれなかったので、今回どんな作品と出合えるのか楽しみにしていました。
本展での展示数は3点。
まず登場するのが、「薄明のなかの鹿」(1909年)。動物画の初期作品だと思います。
白が基調と、これ以降の作品とは違い、色彩は抑制されています。
本作の存在は知らなかったので、新鮮でしたが、マルクらしさが充分にある素敵な作品だと思います。
(後で確認すると、マルク画集に載っていました。)
次に登場するのが、チラシにも掲載の今回のメイン「虎」(1912年)。
マルクの代表作の一つといえるでしょう。
トラの威厳のある目付きが印象的で、見ごたえのある作品です。
(形態がキューブしており、色彩も尖っているところは、私の好み的にはトップグループとは言えないですが。)
最後に登場するのが、最後の部屋に展示された「牛、黄-赤-緑」(1911年)。
題材・色彩的には私の好みに属する作品ですが、画面は小さめで、形も色彩もマルクの最良作品群には及ばない感じです。
マルクは第1次世界大戦に従軍し、1916年に36歳で戦死しています。
画家としての活躍は、10年程度。
マルク独特の動物画を描いたのは、1910年から1914年に従軍するまでの5年間となるようです。
(本展では、カンディンスキーを始めとする青騎士たちの写真も多数展示されています。マルクと奥さんの写真もあります。)
マルクの画集を見ると、レンバッハ美術館所蔵とある作品が多いです。
レンバッハ美術館には一度行ってみたいですね。