東京でカラヴァッジョ 日記

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「カンディンスキーと青騎士」展(三菱一号館美術館)(2)

2010年12月05日 | 展覧会(西洋美術)

フランツ・マルク以外の作品について。

序章「フランツ・フォン・レンバッハ、フランツ・フォン・シュトゥックと芸術の都ミュンヘン」

青騎士登場以前の1900年のミュンヘン画壇の状況紹介として、レンバッハとシュトゥックの作品が展示されています。
二人とも、後にミュンヘン市が購入し美術館として整備されるような邸宅を持つほどの、大成功した画家です。
レンバッハは肖像画家。80歳のビスマルクの肖像や自画像など計3点の展示。成功したのもなるほどと思わせるラインナップ。
一方シュトゥックは象徴主義の画家。2点の油彩画の小品と1点の彫刻の小品と、見劣りする展示。


第1章「フォーランクスの時代-旅の時代 1901-1907年」
第2章「ムルナウの時代-芸術的統合に向かって1908-1910年」
第3章「抽象主義の誕生-青騎士展開催へ 1911-1913年」


カンディンスキーが抽象絵画を誕生させるまでの画業を、愛人たる画家ガブリエーレ・ミュンターの作品などを絡ませながら、追っていく構成。
第1章から第2章にかけて、カンディンスキーの抽象絵画以前の作品が、これでもかという感じで多数展示されます。
普段の展覧会でこの時代の作品があっても、素通りしがち。系統立ててじっくり見るよい機会となりました。


印象に残ったのは、カンディンスキーとしては珍しい具象画「ガブリエーレ・ミュンターの肖像」や黒く描かれた電車が疾走する雰囲気がよく出ている「ムルナウ近郊の鉄道」あたり。


第3章では、誕生したばかりの抽象絵画が登場。
今回のメインは、チラシの一面にも使われている「印象3(コンサート)」。
シェーンベルグのコンサートの印象を絵にしたものであり、画面右側の大きく塗られた黄色は、音楽を表現しているとのこと。
「即興19A」や「コンポジション7のための習作2」もこの時代のカンディンスキーらしい作品。

ガブリエーレ・ミュンターの作品もなかなかいい。
ヤウレンスキーやヴェレフキンも見ごたえあり。

あと、アウグスト・マッケが楽しい。都市の生活風景を単純化した形態で描いた作品群。
「帽子店」は2度目の出会い。ただし、1度目がレンバッハ所蔵作品だったかどうかはわからない。
(マッケは、1914年、27歳の若さで第1次世界大戦で戦死したそうです。)


ここまで焦点を絞った密度の濃い展覧会を日本で見ることができるとは、ありがたく思います。


レンバッハ美術館は、芸術運動「青騎士」のコレクションによって国際的に知られています。これらの比類ない作品群は、主に、「青騎士」グループ離散後も仲間たちの作品を守り続けたミュンターが寄贈したものです。(展覧会チラシより)

レンバッハ美術館とガブリエーレ・ミュンターにも感謝。

次回(3/1から)の「ヴィジェ・ルブラン展」も楽しみ。



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