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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

ゴッホ《黄色い家》《ニューネンの牧師館》ほかー【再訪】「ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」(東京都美術館)

2021年11月24日 | 展覧会(西洋美術)
ゴッホ展
響きあう魂  ヘレーネとフィンセント
2021年9月18日〜12月12日
東京都美術館
 
 2度目のゴッホ展は、1度目と同様、平日の当日券狙い。今回は、開館前の9時過ぎに到着、待ち行列には10人強。9:30の開館時刻が来て入館し、9:30からの入場枠の当日券を入手。入場後、地下1階フロアをスルーし、1階フロアのゴッホ美術館コレクションコーナーに直行。《黄色い家》ほか計4点の特別出品を独占状態で鑑賞。その後、1階のゴッホ油彩画(パリ時代まで)、2階のゴッホ油彩画(アルル時代以降)、1階のゴッホ素描画、最後に地下1階の1点のみ展示されるゴッホ油彩画とルドン《キュクプロス(一つ目の巨人)》の順に見るゴッホ限定鑑賞。
 
 
 クレラー=ミュラー美術館所蔵作品からなる本展において、ゴッホ美術館から特別出品された4点。
 
《ニューネンの牧師館》
1885年9-10月、33.2×43cm
ゴッホ美術館
 カルヴァン派牧師であるゴッホの父親が、1882年に赴任したニューネンにおける住居。ベルギーに近く住民の太宗がカトリックの、豊かではない田舎町を巡ること4つめの赴任地である。ゴッホは1883年12月に転がり込む。
 1885年3月に父親が死去し、次の牧師が決まれば出ていかなければならない。ゴッホは近隣住民とのトラブルによりモデルを得られず、主に静物に励んでいた。そんな時期の制作。
 11月、ゴッホはアントワープに移り、母親と妹は1886年3月にブレダに移る。
 
 
《モンマルトル:風車と菜園》
1887年3-4月、45.2×81.4cm
ゴッホ美術館
 1886年2月末、アントワープからパリへ。弟テオの家に転がり込み、アルルに立つ1888年2月まで2年間を過ごす。本作品はパリに来て1年経過後の制作。
 大都会パリのなかの鄙びた場所、農作業の光景を描く。季節は春、畑では男女が次の作物のための準備作業を行なっている。
 
 
《サント=マリー=ド=ラ=メールの海景》
1888年6月、50.5×64.3cm
ゴッホ美術館
 1888年2月、アルルに移住したゴッホ。同年5月30日から5日間、アルルから約50kmほど離れた地中海岸の漁村サント=マリー=ド=ラ=メールに滞在する。ゴッホ初めての地中海。
 その漁村は、名前(海からの聖マリアたち)から分かるとおり、キリスト教の古い伝承を持つ。イエスの死後、マグダラのマリア、マリア・サロメ、マリア・ヤコベの3人のマリアと従者サラ、マルタ、ラザロたちがエルサレムから小舟で逃れてこの地へと流れ着き、マリア・ヤコベとマリア・サロメの2人とこれに従うサラがこの地に残ったという伝承。
 ゴッホは、その村や海の風景の油彩画を何点か制作する。本展にもクレラー=ミュラー美術館所蔵の、村の風景を描いた油彩画《サント=マリー=ド=ラ=メールの眺め》が出品されている。
 
 
《黄色い家(通り)》
1888年9月、72×91.5cm
ゴッホ美術館
 1888年2月にアルルに移住したゴッホは、当初ホテルに住んでいたが、5月1日に「黄色い家」の4部屋を借りる。そこでの生活は9月まで待たなければならず、別に部屋を借りるが、アトリエとして直ちに使い始める。
 9月17日に「黄色い家」に住み始めた頃の制作。青い空、煙をはいて走る汽車、小さく10人ほどの人、広めの道に面する黄色い家。
 ゴッホは「南仏の芸術家のアトリエ」構想に心を熱くしている。ゴーガンがアルルに到着するのは翌月10月23日である。
 
 
 これら4点の来日歴を、ゴッホ美術館サイトにて確認してみる。
 
《ニューネンの牧師館》
来日歴なし(今回初来日の模様)
 
《モンマルトル:風車と菜園》
1976-77年(東京、京都、名古屋)
1995年(東京)
2005年(東京、大阪、名古屋)
 
《サント=マリー=ド=ラ=メールの海景》
1979-80年(東京、大阪、福岡)
1992年(京都、東京)
 
《黄色い家(通り)》
2005年(東京、大阪、名古屋)
 
 
 ゴッホ美術館所蔵作品は、結構な頻度で来日しているとの印象があったが、個々の作品ベースで見ると、それほどでもない。本展でも初来日らしい作品が1点含まれる。
 また、代表作を含めて大半の作品が過去1度くらいは来日歴があると勝手に想像していたが、来日歴のない作品も少なからずある。例えば次の作品。
 
《ラングロワ橋》
1888年3月、59.6×73.6cm
ゴッホ美術館
 
 また、来日歴があっても40年以上前であったりする。
 
 今回のゴッホ展について、このご時世で開催していただけたことに感謝。
 環境は厳しいけれども、今後も引き続き相応の頻度で、ゴッホ美術館やクレラー=ミュラー美術館などオランダの美術館を筆頭に、世界各国が所蔵する幅広い作品を見せてもらえることを期待している。


2 コメント

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こんにちは (続強子の部屋)
2021-11-24 15:26:02
ゴッホというと、
昔々見た映画を思い出します
カークダグラス、アンソニークイン、
強烈な個性のぶつかり合いでした。
いまでも忘れられない映画です。
ゴッホとカククダグラスが,しばらく一緒になっていました。
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Unknown ()
2021-11-24 20:03:28
強子さま
コメントありがとうございます。
 「炎の人ゴッホ」ですね。
 私は未見ですが、本物のゴッホ作品が数多く使用されているという伝説の映画ですね。
 ゴッホ映画といえば、私的には、黒澤明監督の「夢」。昔一度見て内容はすっかり忘れているのですが、20世紀最大の巨匠の1人とされる英国人画家フランシス・ベーコンの作品「ファン・ゴッホ」シリーズを見たときに、何故か「夢」を連想しました。
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