きもの KIMONO
変更前:2020年4月14日〜6月7日
変更後:2020年6月30日~8月23日
東京国立博物館
知らぬ間に後期入りしていた「きもの」展に行く。
安土桃山時代から現代までの「きもの」。
東博の常設展示や各種展覧会で着物を見かけることはある(ほぼスルーする)が、一度にこんなにたくさんの着物の展示を見るのは初めて。
着物が描かれた絵画作品が脇役として働く。
なお、米国のメトロポリタン美術館・ボストン美術館から出品予定であった着物、屏風、浮世絵計16点は、このご時世、不出品となっている。
【章立て】
序章
第1章 モードの誕生
1 豊臣政権から徳川政権へ― 安土桃山・慶長期のモード
2 憂き世から浮世へ― 元和・寛永期のモード
第2章 京モード 江戸モード
1 小袖模様の革命―寛文期のモード
2 「伊達」を競う―元禄期のモード
3 台頭する染模様 ―友禅染の時代
4 光琳模様ー「光琳」ブランドの流行
5 江戸のミニマリズム
6 「いき」の美ー町家のよそおい
7 勢美を尽くすー豪商・大夫のよそおい
8 格式の美ー大奥のよそおい
第3章 男の美学
1 サムライの美学― 信長・秀吉・家康のファッション
2 「若衆風」ファッション―友禅染振袖
3 「つう」の美学 ― 下着
4 江戸っ子の「いき」― 火消半纏と国芳ファッション
5 男性のお洒落小物― 印籠・根付・煙草入・煙管
第4章 モダニズムきもの(明治・大正・昭和初期)
1 モードのデモクラシー
2 モダン・デザイン・コレクション
第5章 KIMONOの現在
1 TAROきもの
2 久保田一竹のインスタレーション
3 人間国宝にみる伝統と革新
4 YOSHIKIMONO
第2章1
重文《小袖 黒綸子地波鴛鴦模様》
江戸時代・17世紀
東京国立博物館
高波なのか、網干なのか、筍なのか。
この柄は斬新。
第3章1
《陣羽織 黒鳥毛揚羽蝶模様 織田信長所用》
安土桃山時代・16世紀
東京国立博物館
背中一面を覆う山鳥の黒い羽根。中央には、白い羽根を1本ずつ植え付けた平氏の代表的な家紋「揚羽蝶」。
第3章4
《火消半纏 紺木綿地人物模様》
江戸時代・19世紀
東京国立博物館
火消たちは、無事火事を消しとめた後、半纏を反転させ、裏地の派手な武者絵の描絵模様を見せて市中を歩く。
歌川国芳の武者絵とともに10点もの火消半纏が並ぶ様は確かに壮観ではあるが、唯一男のきものを取り扱う第3章の展示着物の半分以上が火消半纏であるとはちょっと偏り感もある。
私的には、第4章の2「モダン・デザイン・コレクション」のきもの、その斬新な柄が楽しい。今の着物は、これらと比べ、保守的というかずいぶん落ち着いた雰囲気である。
あと、京都島原の現役のお茶屋「輪違屋所蔵、「傘の間」パネルを背景とした《太夫打掛・丸帯》の展示。ある種の貫禄。
最終の第5章、1〜3のきものは良いが、最後の最後の4の展示は要らない。明治〜昭和前期のモダニズムに明らかに負けている。
後期展示の絵画作品5選。
国宝《観楓図屛風》6曲1隻
狩野秀頼筆、室町〜安土桃山時代・16世紀、東京国立博物館
《誰が袖図屏風》6曲1双
根津美術館
重文《縄暖簾図屛風》2曲1隻
アルカンシエール美術財団、東京
《小袖雛形図巻》1巻
伝居初津奈筆、奈良県立美術館
《見返り美人図》
菱川師宣筆、江戸時代・17世紀、東京国立博物館
本展の開館は9:30〜18:00(最終入場は17:00)。夜間開館なし。なお、本館ほか常設展示は17:00の閉室なので留意。
日時指定・事前予約制。30分単位の指定。私は当日の1時間前に予約。
「会話はお控えください」プレートを持った係員が巡回する。時折注意されているグループを見かける。
「90分以内を目安にご観覧いただきますようお願いいたします(ショップご利用等を含む)」。一方、出口エスカレーターには「再入場できます」の案内がいつもどおり表示。
館内は、着物姿の女性・男性が結構いらっしゃる。祭りや花火大会が中止になる今夏、本展は披露の貴重な機会となっているのかも。