東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

【後期】小田野直武と秋田蘭画(サントリー美術館)

2016年12月23日 | 展覧会(日本美術)

世界に挑んだ7年
小田野直武と秋田蘭画
2016年11月16日~17年1月9日
サントリー美術館

 


   12/14から後期入りした本展を訪問する。
→前期訪問時の記事はこちら


   小田野直武筆の重文《不忍池図》は、前期終了をもって退場。前回の前期訪問時から殆どの作品が入れ替わっている。

 

1  入場すぐ、トップバッター作品


【前期】
小田野直武《蓮図》神戸市立博物館
佐竹曙山《紅蓮図》秋田市立千秋美術館

【後期】
小田野直武《洋人調馬図》個人蔵
隣には、その原図となった西洋の銅版画

 

2  西洋油彩画の模写作品


 8代将軍・吉宗の命により、1726年に輸入された5点の西洋画のうち、江戸本所の五百羅漢寺に下賜された花鳥画2点。
   その模写作品が展示。


【前期】
《ファン・ロイエン筆花鳥図模写》石川大浪・孟高筆、1796年、秋田県立近代美術館
「W.Van Royen 1725」のサインが写されている。

【後期】
《花鳥図》2面、作者不明、神戸市立博物館
原図の部分模写とのこと。

 

3  重文《不忍池図》は、12/12までの展示、既に展示終了。


1)今、その場所に展示されている作品。


【前期】
重文《不忍池図》、小田野直武筆、秋田県立近代美術館
重文《松に唐鳥図》、佐竹曙山筆、個人蔵

【後期】
重文《唐太宗・花鳥山水図》3幅、小田野直武筆、秋田県立近代美術館
《鷺図》小田野直武筆、歸空庵


   小田野直武には、もう1点、重要文化財指定作品があるのか。


2)代わりに、原寸大レプリカが展示。

   実物展示時より、より近い距離から見ることができるので、これはこれで楽しい。ようやく2匹目の蟻を確認する。


3)代わりに、ではないのだろうが、不忍池を描いた別の小田野直武作品が登場。

《不忍池図》小田野直武筆、歸空庵

   これは眼鏡絵。
   キャプションに「南側から北側を望む」とあり、北側から南側を望むの誤りだと思ったが、そんなことはさすがにない。
   図録にはより丁寧に、眼鏡絵なので実際の景色とは反転している、との説明あり。そりゃそうだ、重文《不忍池図》のイメージが強過ぎた。

 

4  後期のお気に入り3選

No.99《芍薬花籠図》秋田県立近代美術館
No.98《鷺図》歸空庵
No.166《少女愛犬図》個人蔵

   全て小田野直武作品となる。

 

   後期は、私の興味度合いによるのだろうが、前期より小田野直武比率が高い印象。

 

   長らく気になっていた「秋田蘭画」をたっぷり観る。『解体新書』の挿絵は小田野直武が担当したことを初めて知る。西洋油彩画の模写作品を見る。非常に満足した展覧会。

 

   サントリー美術館は、重文《不忍池図》をたいへん気に入っているんだなあ。特に「蟻」がお気に入りなんだなあ。 直武による秋田蘭画の主要作に対して、キャプションの出品番号の横に小さい蟻マークをつけるほどだから。



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。