kageの機材庫

Nikon F・F2・F3・F4・F5。Nikon S2。Aisニッコール。Sマウントニッコールetc。一部フジフィルム

Paint it black!~黒く塗れ!

2011-10-15 23:30:00 | ニコン
Nikon S2(クローム)はこちら
Sマウントニッコールはこちら




日本光学 Nikon S2 Black (re-painted)


黒い誘惑-

Nikon S型のS2、SP、S3などにはブラックペイント(黒塗り) モデルが存在します。

S3やSPなどのブラックペイントはリミテッドモデルや近年に復刻モデルが発売されたので今でも割と見かけるのですが、
それがリミテッドや復刻モデルでなく、オリジナルのブラックだったりするとさらにプレミアが付いて
レンズ付きで30万円とか80万円とか。実に恐ろしい値段です。

中でもS2は限定版とか復刻版も発売されなかったのでオリジナル・ブラックペイントは希少です。

S2は総生産台数が約55,000台ですが、その中で後期型(ブラック・ダイヤルとか黒ダイヤルと呼ばれるモデル)が約15,000台。
オリジナル・ブラックモデルは前期型・後期型合わせて1,000台前後しか生産されていないそうです。

Nikon S2が出た1954年当時は、カメラは輸出が主だったのでオリジナルブラックも数多く外国へ旅立っていった事でしょう。
それから50年以上の月日が流れて、今でも生き残っているオリジナル・ブラックモデルって世界で一体何台あって、その中で日本に何台あるのでしょう。

滅多にお目にかかる事もありません。

仮にお目にかかれても100万円超える事も珍しく無く、ただただひれ伏すしかありません。
でも持っている人は持っています。実にうらやましい。

「後塗りのブラックでいいから欲しい・・・」

そんな事をずっと思っていたのですが先日、後塗りのS2 ブラックペイントを手に入れる事が出来ました。
現物を見ずに買った訳ですが・・・






ニコンS2 ブラックペイント(後塗り)


マウント周りがサビているのですが、ちょっと勿体無い。

「勿体無い」と思ったのは、サビているからでは無く、どうせなら前カバーや軍艦部カバーの角なども黒塗装が剥げていて
くれれば尚良かったと思ったからです。

底カバーには黒塗装が剥がれている部分がちらほらあり、下地の鈍色が出ていたのですが、ルーペで軍艦カバーをさらに細かく見ると、
軍艦部カバーに小さな鈍色の剥がれを見つけました。

「黒塗装の下がクロームメッキで無くて良かった・・・」(´▽`) ホッ

ひとくちに「後塗り」と言っても、ただ単に元のクロームメッキの上から黒を塗るのと、一旦メッキを剥がしてから
塗装するのとでは全然違います。

田中長徳さんもブログで書いておられたのですが、黒塗装が剥がれた部分にクロームメッキが出てくるとマズい。
「黒塗装の下は真鍮の鈍色が出てきてくれないと困る。」と仰っておられたが、良く解ります。

使い古されて、下地の真鍮が出てきた傷まみれのS型ニコンは何とも言えない風合いがあり、堪りません。
まるでアンティークの西洋の鎧でも見ているような風格があります。

そんなに頻繁に使う訳では無いので、何十年かかってもここまでの風合いを出すのは無理なので、この後塗りS2をガリガリ地面に引きずり回そうかと
一瞬思いました(笑)が、傷の付き方にも良い悪い色々あるでしょうし、そんな罰当たりな事は出来ません。
ただ、カメラケースなんぞには入れずに普通に扱ってみます。

早く前カバーや軍艦部カバーの角が剥げてくれないかと願っています。
ジーンズみたく「使い込んで出てくる味」が出れば良いのですが。






軍艦部


黒塗りされたS2はクロームのS2と比べると数字やら目盛やらアルファベットの刻印がより鮮明に見えてカッコいいですね。
"NIPPON KOGAKU TOKYO"の富士山マークも一層誇らしげにブラックボディに映えています。

ノーマルS2では赤文字が使われている箇所はピンクぽい色が使われています。
「黒に赤」より、視認性を良くする為に薄めのピンク色になったと思うのですが、これがまた好きなところです。

ピンクに塗られた30-1などがいいアクセントになっていて、
まるで「強面のブラックスーツに、ピンクのネクタイやカフス」みたく、遊びゴコロがあってカッコいいと思うのです。

このS2 ブラックはレプリカだけど、それで十分満足しています。

"ブラックのS2使い"と言うと、森山大道さんが知られているらしく、ツァイスの広角あたりを付けて
ノーファインダーでバシバシ街角でスナップしていたらしい。

森山大道さんのオフィシャルHPを見ると、なるほど。
確かに、ブラックペイントのS2がよく似合う御方だと思います。





S2 ブラックとノーマルS2(前期型)とのツーショット。


白のS2は梨地(ナシジ)塗装ならではの上品な輝きで、クラシカルな佇まいが魅力的なのですが、
ブラックは銃器然とした精悍な印象で、それでいて艶がある不思議な魅力を醸し出しています。

双方それぞれの良さがあり、出来れば両方手元に持っておきたいのですが、今回の後塗りS2も僕にとっては安い買物では無いので
白のS2は手放してしまいました。。。

このブラックS2を実際に触ってみると、巻き上げが非常にスムーズで驚きました。
元々持っていた白S2も悪くなかったのですが、さらに一段磨きがかかったような感触で、F3とまではいかないけれど
フィルム後半になっても巻き上げが心地よいフィーリングでした。

もしかしてブラック・ペイントされる際に合わせて各部注油・調整がされたのかもしれませんね。
ありがたや、ありがたや。\(^0^)/

そんな訳で今回のS2 ブラック・ペイントには満足しているのですが、困った問題が出てきました。




「S2ブラックとレンズが似合わない。」( ̄▽ ̄;)!!ガーン




いや、今回買ったS2ブラックには黒鏡筒の5cm f1.4が付いてきたのでそれは良いのですが、3.5cmと8.5cmは
クローム鏡筒のタイプしか持っていないのです。

特に、8.5cmクローム鏡筒にフードまで付けてS2ブラックと合体させてみると、どうもアンバランスに見えます。





白S2に黒鏡筒のニッコールはカッコいいのですが、黒S2に白鏡筒はどうなんでしょう。。。(-_-;ウーン

8.5cmは描写自体は気に入っているのですが、買った時からピントリングが重すぎてスムーズなピント合わせが出来ないので現在、
フォト工房キィートスさんにグリス交換とレンズ清掃etc修理に出しているところです。

ま、レンズがスッキリ気持ち良くなって帰ってきたら、「黒に白」も良し。と思うかもしれませんね。



カメラやレンズを買う時は、「白黒ハッキリさせてからの方が良い」と思いました。


(2011.12.06追記)
フォト工房キィートスさんからレンズが帰ってきました。ヘリコイドも快調、レンズ内も清掃されてヌケが良くなって気持ちよいです。
何となくいい写真が撮れそうな気がします(笑)


(2012.6.05追記)
せっかくOHまでしたのですが、やはりS2黒に白鏡筒という組み合わせがしっくりこず、この8.5cmは売却しました(汗)
しかし、黒鏡筒の8.5cmは高価ですねぇ・・・

ちょっと手が出ないのでNIKKOR P・C 10.5cm f2.5を新たに迎えました。


これで現在手持ちのSマウントレンズは全て黒鏡筒になりました。

Sマウントニッコール編

2011-10-15 23:00:00 | ニコン

kageの機材庫~日本光学 Nikon S2はこちら


Sマウントニッコールレンズの紹介です。
と言っても3.5cm、5cm、8.5cmの三本しか持っていません(汗)

当然中古ですが、Sマウントのニッコールは今でも高価なのでこれ以上は揃えるつもりはありません。(たぶん)




■Nikkor S・C 5cm f1.4 (クローム鏡筒) (1950年-1961年)

S2とセットで付いてきた標準レンズです。
クロームメッキのごく普通のニッコール5cmです。

開放1.4と言うのが最大の売りです。
開放付近で使用するとハロが盛大に出るらしいですが、ひと絞りもすれば改善されるようです。

レンジファインダーはゴーストやフレアが出ているか撮ってみないと確認できないところが不便ですが
が、この時代のレンズに逆行性能を求めるのも酷な話かもしれません。




■レンズ構成 3群7枚ゾナータイプ、最短撮影距離0.9m、210g



作例はF4です。
KODAK GOLD100は暖色寄りのネガですので、色の参考にはなりませんが自然ないい発色だと思います。
ボケ方も素直でポートレートにも適しています。

絞り羽根に少し油浮きが出ていますが、長年を経たSマウントニッコールにはよくある事ですし、写りには関係ないのでそのままにしています。
このレンズは絞り羽根の枚数がとても多く、どの絞りでも真円に近い状態でうっとりします。

いつかフレアを利用した、やわらかいタッチのポートレートを撮ってみたいですね。






ラッパ型のフードを取付けるとまた雰囲気が変わります。



軍事ぽくてカッコいいですね。
フードは後で購入しましたが、これまた高価です。
日本光学の富士山マーク入りのタイプだと並品4,000円~箱付き美品では20,000円する事もあります(汗)

※2011年11月、Nikon S2(ブラックペイント)に5cm f1.4黒が付いてきた為、この5cm f1.4クロームは手放しました。











■Nikkor-P・C 8.5cm f2( クローム鏡筒)、(1948年-?年)

Nikon S2は50mmのファインダーしか備えていませんので、それ以外の焦点距離のレンズを使う時は写真のように外付けのファインダーを必要とします。
フードを付けると外付けのファインダーとよく似合い、軍用品のような何とも言えない雰囲気を醸し出します。

また、数字やら目盛やらいっぱい刻んであって嬉しくなります(笑)
クロームメッキ仕上げの鏡筒は現在のレンズには無い高級感がありますが、フードは大部分がアルミなので傷がつきやすいのが
惜しいところです。

現在持っているSマウントニッコールの中で一番好きなレンズです。




■レンズ構成 3群5枚ゾナータイプ、最短撮影距離1.0m、485g


ニッコールが世界に知られるきっかけを作った有名なレンズです。
ニッコール千夜一夜物語 ~伝説のレンズ~ 第三十六夜 Nikkor P.C 8.5cm F2

田舎のカメラ店へふらっと入った時、値段も付けられていない状態で寂しそうにショーケースに鎮座していたのを見つけました。
ヘリコイドが重めだったのですが、レンズ自体は綺麗だったので後日、店主と価格交渉してショーケースから救出しました。


ガラスが詰まっていて、手に持つとズッシリとくるレンズです。
それだけで何かいい写りしそうな気がします(笑)

このレンズも絞り羽根が多く、どの絞りでも真円に近く見ているだけで嬉しくなります。

レンズについての難しい話はよく分かりませんが、開放からとてもシャープに写ります。
作例はF2.8です。

F2.8~F4あたりではコントラストもさほど高くなく、やさしいイメージですが、ボケが太めですので背景を考えて使いたいレンズです。
Aisの85mm f2でも同じような印象を受けたので光学設計はこの8.5cmの時代から変わっていないのかもしれませんね。

ただ、8.5cm f2は絞り羽根の枚数が多く、どの絞りでも円形に近い玉ボケを生み出しますのでその点は角が出る85mm f2とは異なります。

いつかポートレートで使用してみたいレンズです。


(2012.6.05追記)
せっかくOHまでしたのですが、S2がブラックペイントになった為、「黒ボディに白鏡筒」という組み合わせがしっくりこず、
この8.5cmは売却しました(汗)
しかし、黒鏡筒の8.5cmは高価ですねぇ・・・

ちょっと手が出ないのでNIKKOR P・C 10.5cm f2.5を新たに迎えました。

現在手持ちのSマウントレンズは全て黒鏡筒となっています。










■W-Nikkor・C 3.5cm f3.5(クローム鏡筒)、(1950年-1959年)

ニッコールレンズの中で最も光学設計が古いレンズの一つです。

マクロレンズのように前玉が奥まった所にあり、絞り値が前枠に刻まれています。
そう、前絞り型のレンズです。
正面から見た時、数字がいっぱいで好きなレンズです(笑)



■レンズ構成 3群4枚テッサータイプ、最短撮影距離0.9m、190g

f1.8、f2.5、f3.5とある3.5cmニッコールシリーズの中で開放値が最も暗いレンズです。
よって3.5cmシリーズで一番安いレンズです。(笑)

f3.5だと曇りの日などではちょっと苦しいのですが、晴れの日などはそのコンパクトさから持出したくなります。
S2などで使う場合は外付けのファインダーを使用します。

作例はF11です
シャドウ部は若干苦しいようですが、ここまで絞ると近景から遠景までシャープです。
強い点光源がたくさんある場面ですが、嫌なフレアなども発生していません。

レンジファインダーで綿密な構図を作るのは無理があるのですが風景からスナップまで幅広く使えるレンズです。

※2011年12月、3.5cm f2.5黒が手に入った為、この3.5cm f3.5は手放しました。

日本光学 Nikon S2

2011-10-15 22:30:00 | ニコン

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Nikon S2 (1954-1958)

唯一持っているレンジファインダー機です。
この当時は"Nikon"はカメラの名前であって社名ではありませんでした。

戦前~戦時中にかけて軍用の測距儀や望遠鏡などを作っていた日本光学は戦後、民間用の製品への転換を模索し
結果、それまでの技術や経験を活かす事の出来るカメラ・レンズ製品を生産する事を決定し初のカメラ、
Nikon I 型 (1948年)を完成させます。

その後も改良を重ねながらNikon M 型 (製造年不明?)、Nikon S (1950年)と経て、1954年に新設計でこのS2を発表しました。
フォーマットもこのS2でようやく36mm×24mmのライカ判に準じ、プリント時にカットの問題も解決されました。

S2はニコンS型では最も生産数が多く、今日でも手に入れやすいカメラです。
当時は輸出が主で、アメリカではライカより人気があったそうです。

本来、Nikon S2はもう少し早い段階でほぼ完成していたのですが、同年の春に発表されたライカM3の完成度の高さに圧倒され、
S2の発売を延期しさらなる機能の充実・改良を施し、12月の発売となりました。

とは言え、この時代の国産カメラはまだまだ「ライカやコンタックスのコピー」の域を脱していないもので、このS2も
「外観はコンタックス、メカニカルはライカ」と、例えられる事が多いです。

等倍の50mm固定ファインダーの見えは、ライカM3には遠く及ばないとの事ですが、ファインダー中央付近は
二重像のコントラストもあり、ピント合わせもそう難しくはありません。
でも開放で撮る勇気は無いのでひと絞りくらいから使っています。

もっとも、もう50年以上も前のカメラなので二重像のコントラストの劣化度は個体差があると思います。

僕のS2は1/4秒だけが実測1/30秒で切れています。スローガバナーの不調でしょう。
あとは全速正確に切れています。






Nikon S2 の各部を見てみます。ごく普通の前期型です。
ブラックペイント仕様のS2も欲しいのですが、希少で高価ですし、ボディを黒にすると、今度はレンズも黒で揃えたくなると
思いますので怖くて手が出せません。






軍艦部はダイヤルだらけです。いかにも「機械」ってカンジがたまりません。
数字もたくさん踊っていて見ているだけで嬉しくなります。
ボディ本体の梨地塗装の鈍い輝きは趣きがあります。



(A) 低速シャッターダイヤルと(B)高速シャッターダイヤルが同軸上にあるのですが、それぞれ独立しているので
操作には注意が必要です。

特に、低速シャッター (T、1秒~1/30秒) 使用時には高速シャッターダイヤルを「30-1」の所に合わせておかないといけません。
これを忘れると高速側で決めたシャッタースピードが選択されてしまい、どアンダーもしくは真っ暗な写真を撮ってしまう事になります。(汗)

この辺がドイツ製カメラに大きく遅れを取っていました。
Nikon S2の後を受けて登場するNikon SPでは高速・低速ともひとまとめになり使い勝手が大きく向上しました。
尚、S2には1秒以下のシャッター選択は無いので、さらにシャッタースピードを落とすにはB(バルブ)かT(タイム)を使う事になります。


(C) フォーカシングギヤ
回すとレンズが前後してピント調整をしますが、フォーカシングギヤを使うより、レンズを回してピント調整する方が速いです。

昔、"スナップの達人"と呼ばれる方などはとっさの撮影の場合など、ファインダーを見ずに被写体との間合いでピントを合わせていたそうです。
ある程度絞って被写界深度を稼いでいたかとは思いますが、"居合い抜き"みたいなカンジでカッコいいですね。憧れます。


(D) 絞りリング
Sマウントレンズ全般にですが、非常に小さく回しづらいです。
おまけに絞りリングを回そうとするとレンズも回ってしまいピントが合いません。

なので、片手でレンズが動かないように掴み、もう片手で絞りリングを回して絞りを決める。
それから撮影に入る方がスムーズかもしれません。


(E) レンズ着脱用バネ
レンズを外す時はこれを押しながらレンズを回すとレンズが外れます。
Sマウントレンズはカメラ側のヘリコイドを無限遠∞に合わせてから着脱しないと「地獄バネ」の状態となり
外れなくなるそうです。

どういう状態になるのか試してみたい気もしますが、「地獄」という響きの前に恐れをなしています。とても試せません。



(F) アクセサリーシュー
外付けのフラッシュガンなどを取り付ける事が出来ます。


昔の新聞記者のようでカッコいいですね。


フラッシュガン本体に積層電池が必要なのですが、とうの昔に廃止されています。
もし見つけたとしても、もう電池残量が残っていないでしょう。

フラッシュガンのソケットに"1発使い捨て"の閃光球を取り付けて発光させるのですが、この球もなかなかありません。
あったとしても発光するかどうか保証がついていません。

つまり、現在では自作・改造でもしないと使えないという事です。(^▽^;) 

単なる"飾り"として買いました。
まるで"エリマキトカゲの威嚇"みたいな佇まいです。(笑)




とにかく、一眼レフカメラと違ってレンジファインダーって非常に使いにくいです。
ファインダーを通して被写体を見ている訳で、一眼レフのようにレンズを通して被写体を見ている訳では無いので、
ボケ味も、ゴーストやフレアが出ているかも分かりません。何よりファインダーとレンズの位置が違うので構図が微妙にズレます。

じゃあ、なぜ買ったのかと訊かれれば、
「オールドレンズを使ってみたかったから。」
「クラシックな精密機械ってカンジでカッコいいから。」

それに尽きます。


S2以降、日本光学はNikon SP (1957年)、Nikon S3 (SPの廉価版 1958年)、Nikon S4 (S3の廉価型 1959年)と発表していきますが、
SPでレンジファインダー機としてほぼ登り詰め、ライカM3に肉薄しました。

しかし、"究極のレンジファインダー機 ライカM3の壁" と "レンジファインダー機の限界" から、日本の各メーカーは
一眼レフの開発に力を注ぐようになります。

日本光学でもNikon SPと同時に、同社にとって初の一眼レフの開発が進められていました。
1959年登場のNikon F です。

Nikon Fが登場すると世の中は一気に一眼レフへとシフトして行き、レンジファインダー機の時代は終わりました。


1954年-
戦後10年を前に登場したNikon S2。
まだまだ外国との差は大きかったけれど、「外国に追いつけ追いこせ。」と、戦後から立ち直ろうと日本が必死だった時代の一機です。

「スパン。」と小気味良く響く布幕のシャッター音や、高級感溢れる質感は現在のカメラにはない上品さがあります。

外に持ち出す機会は殆どありませんが、年に何回かぐらいは連れ出してあげたいものです。

※2011年11月、Nikon S2(ブラックペイント)が手に入った為、このS2は手放しました。



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Nikon F series~Fの系譜

2011-10-15 22:00:00 | ニコン
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■Nikon F (1959-1974)


"Fシリーズの大御所"

尖り頭に燦然と輝く「F」。
ニコン(当時は日本光学)にとっての初のフィルム一眼レフカメラ、元祖Fです。

Nikon S2・SP・S3・S4などのレンジファインダー機を経て1959年に登場し、1971年にF2が登場した後もしばらく製造され
1974年までの15年間製造されました。

ボディの外観はNikon SP、S3などと同じくNikonロゴは細丸ゴシック体を採用しており、尖り頭のペンタ部のシャープな造形も手伝ってか
全体的にスマートなイメージです。

僕の所有するこのFは製造番号733****。1972年3月~7月の間に製造された個体です。
Fには大きく分けて初期型(640万番台)、前期型、後期型(所謂NEW F 735万番台前後以降)とあるのですが、このFは巻き上げレバーに
プラスチックカバーが付いていないのでNEW Fとはちょっと違います。後期型に切り替わる直前に製造された個体のようです。
勿論、コレクション的価値はありません。



中古で手に入れたのですが、ペンタ部の"F"の刻印の右下にわずかな凹み(エクボ)がある為か比較的安価でした。
一眼レフカメラ全般かもしれませんが、ペンタ部にアタリ・キズ・凹みがあると無いとでは大きく値段が変わってきます。

購入してすぐにニコンSCで点検してもらいましたが、ファインダーのプリズム銀浮きがごく微か出ているだけで
シャッター速度も適正に切れていましたのでポジでも安心して使えます。

最近にも診てもらったのですが相変わらずシャッター速度も正確でした。
とても丁寧に使用されていたようなので、一度はオーバーホールに出されていたのかもしれません。

視野率100%のファインダーの見えはF2やF3に比べるとやや暗い印象ですが、ピントの山は掴みやすいです。
巻き上げはF3に比べるとやや重めで、フィルムが進むにつれてテンションが上がっていき、
フィルム後半になると結構重い感触です。

「シャッターボタンが後ろ寄りにあるので押しにくい」とよく言われるのですが僕はそれほど気にはなりません。

「カシャン。」と小気味のいいシャッター音とともに横走りのチタン幕シャッターが走ります。

見た目にコンパクトなので相手に威圧感を与えたくない時などに使います。
勿論、当時の最高級機。現在のD3にあたる機種なのですがカメラの事をよく知らない人から見れば
「記念写真」を撮っている程度に思われているようなので、そこを活かして話をしながら「カシャン。」と
撮っています。

アイレベルファインダーなので露出計はありません。
露出は撮影者の勘(もしくは経験)のみなので「潔く撮りたい気分」の特にピッタリです。

機械式シャッター故、電池も要りませんので本当に気軽なもので、撮りたいものが決まってなく、
漠然とブラブラしたい時などスナップ用として使っていますが、シャッター最高速が1/1000秒まで
なので、明るい単焦点レンズで日中屋外で絞りを開けて使いたい時はND2~ND4が手放せないのが難点でしょうか。

レンズは本当はオート時代のニッコールが一番似合うのですが、持っていないためAisレンズを付けて楽しんでいます。

最近、初期型である640万番台の富士山マークの"Nippon Kogaku Japan"刻印で且つ、ブラックのFも欲しいのですが、
程度の良いものはなかなかいい値段しますので二の足を踏んでいます。


※2012年1月、このFアイレベルのボディ本体は売り、日本光学マークのアイレベルシルバー前期型に変更しました。
現在持っている視度補正レンズが転用出来るように、アイレベルファインダーはこの中期型のものを載せています。







■Nikon F2 (1971-1980)


"F史上、最強のメカニカル一眼レフ"

レンジファインダーの時代を終焉たらしめ、カメラ市場を席巻したFの後継として
1971年(昭和46年)に登場したF2。

このF2はシリアルNo.が743****で、1974年7月~9月製造分です。僕の生まれた1年後くらいです。

偉大すぎるFと、優秀(?)なF3との間に挟まれ、このF2はやや印象の薄い感があります。
Fが15年、F3が20年製造されたのに対してF2は9年間。

しかし、"Fシリーズ最後にして最高峰のメカニカル一眼"との評価を得ています。


F2は、その外観からかFのマイナーチェンジ版みたいなイメージが強いのですがFがレンジファインダー機のSPのボディを二分割して
間にペンタミラーを挟み込んだ設計なのに対して、F2は最初から一眼レフ用の設計となっています。
つまり、実際には新設計のフルモデルチェンジでした。

シャッタースピード最高速度がFの1/1000秒から1/2000秒に上がった事が最大の進化でしょう。

Fは1/1000秒までしかないので日中で絞りをあけたい時はNDフィルターのお世話になっていたのですが、
F2は1/2000秒まであるので、感度100のフィルムでf2.8くらいまで絞りをあけることが出来ます。

あとは、裏蓋の開閉が蝶番式になり、フィルム装填の時に裏蓋を外さなくても良くなったとか、
シャッターボタンの位置が前寄りに改善された点とか、裏蓋にフィルムの箱の切れ端を入れるメモポケットが付いたとか、
B(バルブ)とTとセルフを組み合わせると10秒までのスローシャッターが設定出来るようになったとか。

地味な内容ですが、実際使ってみるとFと比べてずいぶん向上しています。

ただ、シャッター音はFのような上品さは持ち合わせておらず、F2は「バチン!!」とけたたましいシャッター音です。
猫や子どもを撮ると相手が「ピクッ」とします(笑)
ミラーアップしても音はさして小さくならないので、このシャッター音がF2最大の欠点と言われ、街中でのスナップ、
キャンディッドには向いていないと評されます。

2012年3月に中古で買ったこのF2は巻き上げが「ギー」と不調だったのと、モルト全般が劣化しており、スローも時々不調だったので
猪苗代カメラ工房さんにオーバーホールしてもらいました。

よって外観はボロですが、機関絶好調なので気兼ねなく外へ連れ出せます。

Fもそうですが電池無しでも動く一眼レフというのは安心感があり、本来カメラというものはこれで充分なのだと気づかせてくれます。
オーバーホールから還ってきたF2は、以前にも増して景気の良すぎる(笑)シャッター音を鳴らしていますが、いかにも写真を撮っているという
気分にさせてくれます。

手に持っただけで伝わってくる信頼感。
流石、メカニカル一眼レフの最高峰と言われるだけの事はあります。








■Nikon F3 (1980-2000)


"Super Nikon"

80年代の幕開け、ニコンは自らこのキャッチコピーを冠し、このカメラを世に出しました。

ニコンのF史上、最も生産期間が長く、1980年から2000年までの実に20年間続いた超ロングセラーカメラ。
2~4年ほどでモデルチェンジしてしまう昨今のデジタル時代では考えられない事です。

1988年にF4、1996年にF5が登場しても関係なく、世の中がオートフォーカスが主流となったのなか、
MFニコンの最高峰として君臨し続けた孤高のカメラ。

誕生の時から既に"Super"である事が義務づけられていたかのように、発売の時には既にNASAに正式採用
され、翌81年にはコロンビア号とともに宇宙へ旅立ち、貴重な記録を残しました。

また、翌年の82年には冒険家の植村直巳とともに南極大陸を横断し、85年、89年には和泉雅子さんと共に
北極圏を旅しました。

宇宙だろうと地球の果て、極寒の地であろうと「100%壊れないカメラ」が絶対条件として提示されたのですが、
見事にF3はそれぞれの旅から無事に生還し、伝説を刻んで行きました。

勿論、「NASA仕様 (big camera / small camera)」や「極寒地仕様 (ウエムラスペシャル) 」のF3はそれぞれ外装がオール金属化され
防燃性や防熱性・防寒性・防水性をより高耐久化した特別仕様でしたが、驚くべきはベースが市販のF3と同じで、
その信頼性から報道機関でも長く使用され激動の80年代を生き抜きました。

F3が長きに渡って「Super」であり続けたのは、ニコンF一桁機として初めて電子式シャッターを採用したとか、
絞り優先を搭載したとか、イタリアのジウジアーロのデザインを採用したとか、登場当時は勿論そういう事だったからだと
思いますが、後世に渡って存続されたのは何よりもこの信頼性が際立っていたからなのではないでしょうか。

実際に使ってみるとファインダーはクリアで見やすく、巻き上げも非常にスムーズでフィルムの終わりまでトルクが一定で好印象です。
(ただ、ストラップ金具がやや上に付いているためか、よく巻き上げレバーにストラップが引っかかってイラっとする時がありますが)


F3の不満な点で多く言われるのは、なんと言っても回しにくい露出補正ダイヤル。
また、露出の過不足が±でしか表示されないので適正露出から何段ズレているのか分かりづらいです。
そこで、絞り優先AEから逃れようにも今度はロックボタンを押しながらシャッターダイヤルを回さないと絞り優先AEから解除されません。

F3の絞り優先AEには忌々しさすら覚えます。(-_-#)

多くの方が言われているようにマニュアルで撮るのがベストだと思います。

あとは・・・
薄くて暗いところでは殆ど見えないファインダー内液晶表示。それを点灯表示するイルミネーションボタンも小さくとても押せない。
指が届きにくいプレビューボタン・AEロックボタン。
露出の変化にナーバスなほぼスポット測光に近い中央重点測光。

などなど、不満をあげてみるとキリがありません。
上で「信頼性」と書いたのは何だったのでしょう・・・(^▽^;)

考えてみると「機能性」と「信頼性」は別物で、F3は機能性に限っていえば使いづらいカメラです。
但し、F3の機能に任せず、自分の勘や経験で露出を決め、絞りの惚け具合もある程度頭の中でイメージ
出来る人にとってはかなり使いやすいカメラであり、そういう意味では「信頼性」の高いカメラです。

その高い信頼性と、ややジャジャ馬的な、憎めない側面ゆえ、20年間もの間、人々に愛されつづけたのではないでしょうか。

いえ、製造終了から10年以上経った今でも雑誌などで取り上げられる事があり、女性の方が手にしているのもたまに見かけます。
当時は斬新だったデザインも今となっては、ちょっとレトロな雰囲気を醸し出しており、所謂「女子カメラ」の方にも
New FM2と並んで、受けがいいのかもしれません。

まぁ、女子の方に「F3を買おうと思うんだけどどうかな?」と相談されたら「やめとき。」と答えると思いますが(笑)

F3登場時にデザイナーのジウジアーロによって、はじめてニコンのカメラに赤いラインのアクセントが入れられたのですが
それは今日のニコンデジタルカメラでも継承されています。

ジャジャ馬な性格で色々不満もあるけれど、こちらがシンプルに接したらキチンと応えてくれる。
そんなF3はこれからも人々に愛されつづけるカメラなのです。










■Nikon F3 (eye-level)/MD-4


"重戦車F3"


モータードライブMD-4を装着したF3。
そもそもF3を買ったのはこの姿に惚れたからです。

上でF3は「女子カメラ」にも受けがいいと書きましたが、このモータードライブを付けた途端に無骨な、「銃器然とした」カメラと豹変し、
いかにも男の道具と云ったイメージになります。

モータードライブ付きのF3を手にしている女性は、デビューアルバム「無罪モラトリアム」のジャケット写真の椎名林檎さんくらいしか見た事が
ありませんが80年代~90年代前半にかけては報道関係の女性記者の方などは肩からさげておられたのでしょう。

モータードライブ装着に伴い、スパイ映画とかに出てくるような「チキーッ」と鳴る、金属的な、いかにもカメラというシャッター音に変わります。
連写速度は6コマ/秒と現代の初級~中級機と比べても遜色ありません。

個人的にはF3で連写する事はありませんので、時々空シャッター連写で悦に浸っているぐらいですが・・・(笑)

モータードライブを付けると重量が急に重くなり、「重い、重い」と評判のF5以上に重くなりますので
登山の伴う撮影には同行させたくないのですが、現場でこのシャッター音を響かせたいという意味不明な衝動に
駆られる時があり、この重さを我慢して同伴させています。

朝焼けや夕暮れの写真など、刻一刻と状況が変わっていくような場面を想定している時はモータードライブ付きを。
気軽に散歩気分で撮影したい時にはモータードライブ無しのF3を連れて行っています。


このように「一粒で二度おいしい」、二つの顔を併せ持っているところもF3の好きなところで、とりわけ可愛がっており、
現在所有しているフィルムカメラの中で唯一、F3だけは今年、オーバーホールに出しました。

特に大きな不具合も無かったようで、メカニカルな点は注油・清掃くらいで快適に動いています。
ファインダー内も綺麗になりました。ファインダー内液晶表示はあいかわらず薄い気もしますが、OH時の部品交換により前よりは濃く
見やすくなりましたので元々こんなものなのでしょう。

このF3はもともとHP(ハイアイポイントファインダー DE-3)の状態の物を購入したのですが、ファインダー倍率が75%の為、MFでのピントが少しでも
見やすいように倍率80%のアイレベルファインダー DE-2に交換しました。

まぁ、個人的には5%の違いの見やすさはよく分かりません(笑)


コンタクトレンズを使用しているのでHPファインダーは必要では無いのですが、眼鏡をかけておられる方はHPファインダーの方が
ケラレなくて良いでしょう。

F3のOH時に合わせてHPファインダーも清掃してもらい、視界もクリアになって帰ってきました。
いつか老眼鏡をかける事になった時のために防湿庫で待機しています(笑)


僕の所有しているF3はシリアルNo.から1982年製で、もうすぐ30年になります。
F3メイン機として持出す機会はあまり有りませんが、これからも大事にしていきたいと思っています。











■Nikon F5 (1996-2006)


"Fの横綱"


フラッグシップに相応しい、堂々たる佇まいの"背番号5"
スターティングメンバーに据えて置いているだけで頼もしさを感じる時があります。

デジタルメインで撮影してきていたのですが、竹田城の雲海や新舞子の干潟などはフィルムの方が遥かに美しい画を描ける事を知り、
はじめてのフィルムカメラとして購入しました。
F6も候補にあったのですが、この迫力に押し出されてしまいました。


このF5は1996年、プラボディが安っぽいだの、AFが遅いだの、湾岸戦争の砂漠で報道陣が使用し動かなくなった話が広まったりと、
Fシリーズの歴史の中でいいイメージの無かったF4の後をうけて登場。いわば"巻き返しの1台"としての指名をおびていました。

世界初となる、色まで見分ける"RGBパターン測光"、高速オートフォーカス、モータードライブ一体型となった8コマ/秒の高速連写など、
強力な武装を備えていました。
特筆すべきは新開発のRGBマルチパターン測光が既に完成の域に達していた事です。

僕自身もこのRGBマルチパターン測光を信頼しており、普通の場面では適正露出を大きく外す事があまりありませんので、
あとはどのような絵にしたいかによって適正露出から±するくらいです。

風景写真ではじめて訪れる場所の撮影には迷わずこのF5を持ち出します。
逆に、人物などスナップの時には絶対に持っていきません。ゴツ過ぎて相手が引いてしまうかもしれないからです。

AFは非常に早く、AF-Sレンズ・Dタイプレンズとも、D300に装着した場合より素早くピントを合わせます。
特に、DタイプレンズをD300で使っていた時はそのAFの遅さにイライラさせられる事が多かったのですが、
F5は「ギュン!」と力強く、素早くピントを合わせてくれます。
ボディ本体に強力なモーターを備えているのでしょう。

モータードライブ一体型なので8コマ/秒の連写速度も申し分ないです。
もっとも実践で連写する事もありませんのでF3/MD-4同様、空シャッターで時々悦に浸っているぐらいです(笑)

このF5と云うカメラが語られる時、開口一番に出てくるのがとにかく「重い」という事です。

モータードライブ一体型となっているので仕方が無いのですが、ボディ単体で1.2kg。
これに単三電池8本や写真のAF-S 24-70mmのような重いレンズをつけるをあっと言う間に2kgオーバーなのですが
シボのあるラバーグリップの持ちやすさもあって不思議とあまり重量を感じません。
(もっとも、AF-S 70-200mm VRII なんぞ付けようもんなら3kgをオーバーしそうな勢いですので流石に手持ちで使う気にはなりませんが・・)

操作に関しては現在のニコンのデジタル一眼レフと同じような操作(と言うより、F5を基準に後のニコンのカメラ操作が決められた)なので
すぐに慣れました。

最近のAF-Sレンズでも勿論使えますし、AFも高速です。VRも効きます。

Ai、Aisレンズは勿論使えるのですがマルチパターン測光は使えず中央重点測光かスポット測光となり、
AEは絞り優先のみとなります。シャッター優先は使えません。
このあたりはちょっと不満なところです。

既にオートフォーカス全盛の時代のカメラだからか、マニュアルでのピント合わせはF3などに比べてやや見づらいです。

5点あるフォーカスポイントの測距精度は申し分ないのですが、 今選択しているフォーカスポイントが5点のうちどれなのかわかりにくいのが困り者です。
選んだフォーカスポイント[ ]が他の4点より申し訳程度に濃く太く表示されるでほとんど分かりませんので、
軍艦部の液晶パネルを見て確認しています。
(F100やF6では現在のデジタルカメラと同様に選択しているフォーカスポイント[ ]が赤く点灯するようになりました)

僕の持っているF5は製造番号304****ですので、1997年製造の前期型のようです。
前期型はAEロックボタンが小さく押しづらいので、中古市場でも310万番台以降の後期型の方が高値がついています。

ニコンSCでの点検で特に不具合も無く元気に動いていますが、竹田城のように霧もうもうとしたの中での撮影など、厳しい環境の中で
働いてもらっていますのでシーズンオフの時に労をねぎらって一度オーバーホールに出してあげたいと思っています。


(2012.5.18追記)

そういえばこのF5、総レリーズ数はどれ位いっているのだろう?と気になり、ニコンSCで点検してもらいました。
結果は12500回ほど。(驚)

前オーナーがあまり使用していなかったのか、シャッター修理でリセットされたのか分かりませんが、シャッターユニットは
まだまだ大丈夫のようです。特に不具合も無くOHに出すのが遠ざかりそうです(汗)


(2012.8月追記)ニコンにOHに出しました。
何となく暗所でのAFの食いつきが以前より迷っているような感じで結果、連写速度が落ちているような気がしたので
OHに出したのですが「AF精度は問題ありませんが念のためAF精度再調整しました。」との事。

他は大きな問題も無く、清掃・注油程度。ファインダー内のホコリも綺麗になってスッキリしました。
作業上、ラバーグリップも交換されるのでグリップも気持ち良くなって帰ってきました。
部品交換はこれ位でしたのでOH費用はニコンプレミアム会員で2万円でした。



現在は風景写真は殆どこのF5で撮っています。
これからも頼りにしている一機です。

Ai-sレンズシリーズはこちら

Ai Nikkor ED 400mm f3.5s ~ヨンサンゴ

2011-10-15 21:30:00 | ニコン

■Ai Nikkor ED 400mm f3.5s (1981-2005?)
■レンズ構成6群8枚(EDレンズ2枚)、最短撮影距離4.5m、2800g


通称「ヨンサンゴ」。

鳥や鉄道、飛行機の撮影にはあまり興味が無いので、こういう超望遠レンズには縁が無かったのですが
新舞子の干潟をアップで撮影する時に、400mmでは距離不足を感じる事がありました。

80-400mmVRを持っていますがテレ側が暗く、夜明けの時間帯に動くものを捉えるには厳しい。

500mm以上で、開放f5.6より明るいレンズ。
年間を通じて使用回数は殆ど無いので10万円以下。
10万円以下となると中古のMFレンズ。

Ai Nikkor ED 500mm f4P(ゴーヨンピー)が理想なのですが、中古でも15万円位しますので
予算オーバーです。


そこで白羽の矢が立ったのがこのヨンサンゴ。
もう30年も前のレンズですが描写には定評があり、何より開放f3.5と、ヨンニッパより半段暗いだけです。
×1.4のテレコンを付けても、「560mm f5」と僕の用途では十分使えるスペック。

そもそも超望遠レンズ自体流通量が少なく、中古でもこのレンズはなかなか見かけないのですが
先日出物があったので購入しました。

テレコンはTC-14ASを持っていましたのでこれが使えます。
本来200mm以下用のテレコンなので、フルサイズで使うと開放で若干ケラレますがこのレンズは
APS-CのD300で使う事が多いと思いますので問題ありません。

フルサイズで開放付近で使うぶんにはTC-14BSの方が良いでしょう。

購入したこのヨンサンゴには、三脚プレート代わりのAH-2と122mmの保護フィルター、被せ式レンズキャップ、
フードカバーが付属してきました。

このレンズはフロントヘビーなので、このAH-2を付けた方が手持ちにせよ、三脚に据えるにせよ
重量バランスが良いとの事ですが確かにそのように感じました。

デカい革製の筒ケース(CL-61A)も付いてきましたが、流石に古さを感じさせるものでしたので捨てました・・・(笑)

よく言われるように組み込み式のフードは短く、いかにも遮光性が悪そうです(笑)








こういう超望遠レンズの純正フードはとにかく高い。
新品だと3万円以上しますし、このレンズに付けるには改造が必要です。

このレンズを購入されている多くの方がされているように自作の延長フードを作ってみました。

どこかのブログで拝見した通り、長巻きの蚊取り線香の缶がスッポリ!!(驚)
差し込んでいるだけですが、組み込み式フード内側の植毛との摩擦抵抗で結構しっかりと取付けできます。

蚊取り線香の缶の底を缶切りで開け、反射防止の為内側を艶消し黒で塗り、車のドレスアップ用の
カーボンシートを巻きました。
仕上げにホームセンターで買った溝ゴムを先端に巻いて完成。


「なかなかカッコいい・・・」

これにカッティングシート文字で「Nikon HK-○○ made in Japan」などと貼ろうもんなら
純正フードと見分けがつきません(笑)

これより長いフードでも問題無いのですがこれ位で良いような気がします。

まだD700に付けての試写しかしていませんが、×1.4のテレコンを使用してもなかなかシャープに撮れます。

ただ、年数が経っているせいか、もともとこうなのか分かりませんが、ピントリングがちょっと軽いように感じました。
超望遠でMFとなるとピント合わせがシビアなのでもうちょっとトルクがあった方がいいですね。


光学系はホコリも少なく、クリアーに抜けているのでグリス交換だけ調整に出そうと思っています。

このレンズを実戦で使うのは12月位からになると思います。


(2013年5月 追記)
ハマった時はなかなか味わい深い写真を出してくれますが、僕の対象とする被写体では年間を通じて新舞子の干潟のシーズンしか無く(汗)
干潟の撮影にもあまり行かなくなった為、売却しました。