文部科学省所管の財団法人が、約2億円の内部留保額を下げる目的で、四つの基金を立ち上げ、留保額の9割近くをその基金に移していたという記事。
「内部留保は、総資産額から基金や固定資産などを引いた額で、企業の余剰金に当たる。財団など公益法人は営利を目的としないことから、国が内部留保の比率を年間支出の30%以下に抑えるべきだとの基準を定めている。しかし、協会は07年の会計検査院の調べを受け、147%の留保率があったと指摘された。協会は指摘後に基金を立ち上げていた。」
「検査院は07年に協会を調べ、審査料収入により黒字だった審査事業などに文科省から毎年4千万円ほどの補助金が出ていたことから、07年度までの5年間で計約5千万円の補助金支出が無駄であったと指摘。内部留保額が約2億円あり、多すぎることも指摘した。」
この記事の内部留保の説明は少しあやしいのですが、要するに、純資産の部(公益法人会計では「正味財産の部」というようです)の中の区分をいじくって、内部留保を少なく見せていたということです。「基金」は営利企業でいえば、資本金みたいなものでしょうか。違うのは、資産側でも、基金の目的に使われるものとして特定された資産(現預金や有価証券)を区分表示する点です。どの資産をどの目的に使うのかは、その法人が決める問題ですから、基金を設定したこと自体は合法的だと思われます。
公益法人会計基準(注5)基金について
事業仕分け効果1兆6千億円 削減目標の半額 作業終了
こちらは行政刷新会議の「事業仕分け」の記事です。
「従来の財務省による予算査定で見過ごされてきた「天下り団体」の基金の無駄もあぶり出した。補助金を受けている公益法人や独立行政法人に、似通った目的の基金が乱立している実態などが明らかになり、約20基金について国への返納を求めた。」
埋蔵金として狙われているようです。
「埋蔵金」などで10兆円確保目指す 10年度予算で行刷相
漢検協会前理事長ら民事も全面対決 「損害与えてない」
こちらは漢検協会の不正事件の記事です。たしかに、「架空や不適切な業務委託」はあったのでしょうが、漢検協会に補助金などの形で税金が投入されていたわけではありません。納税者からすると、補助金が与えられている「天下り」公益法人の方が問題でしょう。
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