会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「新型コロナウイルス感染症に関連した監査上の対応状況についての調査報告書」公表(日本公認会計士協会)

「コロナ対応下の監査業務(2020年3月期)に対する自主規制対応 新型コロナウイルス感染症に関連した監査上の対応状況についての調査報告書」の公表について

日本公認会計士協会は、「「コロナ対応下の監査業務(2020年3月期)に対する自主規制対応 新型コロナウイルス感染症に関連した監査上の対応状況についての調査報告書」を、2021年3月26日に公表しました。

全5ページの報告書です。

「上場会社監査事務所名簿に登録されている監査事務所を対象として、2020 年3月期における監査が適切に行われていることを確認するため、新型コロナウイルス感染症に関連した監査上の対応の状況について調査を実施し、調査結果について取りまとめました。」

監査事務所としての対応に関する調査(全ての本登録事務所が対象)と、個別業務における監査チームの対応に関する調査(調査対象を絞り込んだ55 業務(29 事務所)が対象)を実施しています。

調査票をつかった調査が行われています。そのほか、品質管理レビューにおいて往査対象となった監査事務所に対してはヒアリングを実施しています。

調査結果は...

「2020 年3月期の監査においては、調査票の回答結果から緊急事態宣言の発令等によるリモートワーク業務の増加に伴い、監査証拠の入手方法の変更や監査手続の一部制約などの影響を受けていたことが確認された。しかしながら、当協会が公表した一連の「留意事項」等を参考にしつつ、職業的専門家としての判断を適宜行使し、監査スケジュールの見直し、代替的な監査手続の実施、監査証拠としての信頼性の評価等を通じて、財務諸表には全体として重要な虚偽表示がないことの合理的な保証を得るために必要な監査証拠の入手に努めていたことがうかがわれた。」

「参考となる取組事例」も紹介されています。

いくつかピックアップすると...

(事務所としての対応)

「リソースの十分性や審査の必要性に関して監査チームと協議し、監査日程調整のための追加アサイン(外部協力者含む。)の確保」

「品質管理部において、期末日前、意見審査前及び意見表明前の各段階で新型コロナウイルス感染症の影響の検討調書を監査チームより提出させ、影響内容の把握及び個別対応事項の検討を実施」

(事務所対応のダメな例)

「対応が懸念される事例として、監査事務所として、コロナ対応を各監査チームに任せているケースが見られたので留意されたい。」

(監査チームの対応)

「 原本を被監査会社が電子媒体(複写又は PDF 等)に変更したものを監査証拠として利用するに当たり、現物の確認、文書間の整合性の評価、被監査会社の文書の保管制に関する内部統制を評価し、監査証拠としての信頼性を評価」

「電子媒体で入手した資料について、作成部署及び生成方法の理解等により改竄リスクを評価の上、監査証拠としての利用可能性・信頼性を評価」

「海外の構成単位が期末日を基準日とした会社の棚卸の実施が不可能となったため、関連するリスク及び内部統制の有効性を再評価の上、テレビ電話による監査人の独自サンプルのテスト・カウント、カット・オフ手続及びロールバック手続を実施」

「重要な構成単位の監査人と電話会議、インストラクションの回答等を通じて、構成単位の監査スケジュール監査手続の制約の有無や代替的な監査手続の実施状況を確認し、入手した監査証拠の十分性と適切性を評価」
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