「証券訴訟」が増えているという解説。「証券訴訟」というのは、開示書類の虚偽記載によって被害を被った投資家が、証券の発行者である会社などに対して損害賠償を求める訴訟のことです。(法律事務所とのタイアップ記事のようです。)
「わが国では、少し前までは、開示書類に虚偽記載があっても、投資家から損害賠償請求訴訟(証券訴訟)が提起されることはほとんどなかった。しかし、日本においても状況は変わりつつある。2004年の旧証券取引法(以下「旧証取法」という)の改正により、証券訴訟が投資家の被害回復手段として実用的なものとなったこともあって、近年ではわが国でも証券訴訟が急増している。」
「・・・発行市場(国や企業が有価証券を発行して資金を国民から直接的に調達する場)に関しては、発行開示書類(有価証券届出書など)の虚偽記載に関する民事責任を定める特別の規定が昔から存在した。これに対して、わが国では、流通市場(既に発行された証券を投資者が売買する場)に関しては、かつては、継続開示書類(有価証券報告書など)の虚偽記載に関する民事責任を定める特別の規定は存在しなかった。・・・しかしながら、山一証券が「飛ばし」による巨額の粉飾によって破綻して一般株主が多額の損害を被った事件などが起きたことから、流通市場においても一般投資家を虚偽記載による被害から保護する必要性が強く意識されるようになったため、2004年の旧証取法改正により、継続開示書類の虚偽記載についても、特別の民事責任を定める規定(現金商法21条の2)が創設された。」
「この新たな規定の第一の特徴は、継続開示書類の虚偽記載について発行会社の無過失責任を定めた点である。この点では、日本における発行者の責任は米国の場合よりも重くなっているといえる。」
「新たな規定の特徴の第二は、投資家が被った損害額を推定する規定が設けられた点である。」
「そもそも、従来は、虚偽記載が発覚すること自体が余りなかったために証券訴訟が提起されることも少なかったところであるが、課徴金制度が導入されたことで、SESCによる摘発事例が大幅に増加し、その結果、投資家が虚偽記載の存在を知る機会も増えて、証券訴訟の急増につながっている。
また、わが国には米国におけるディスカバリーのような広汎な証拠収集手続がないため、従来は、投資家が虚偽記載によって被害を被ったとしても、損害などを立証するための十分な証拠を集めることは難しかった。しかし、課徴金制度が導入されたため、投資家は、課徴金審判手続の資料を入手して、当該資料を自分の裁判において証拠として有利に使うことができる可能性がある。この意味で、課徴金制度の導入は投資家の立証の負担を軽くしているともいえ、このことも、投資家が証券訴訟を提起することへの追い風となっている。」
責任追及は会社や役員だけでなく、監査人に及ぶ場合もあります。米国並みに監査報酬をもらわないと合わないというふうになるかもしれません(今は逆の方向ですが)。
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