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監理銘柄(審査中)の指定:(株)ディー・ディー・エス(東京証券取引所)

監理銘柄(審査中)の指定:(株)ディー・ディー・エス

東京証券取引所は、株式会社ディー・ディー・エス 株式(東証グロース)を、監理銘柄(審査中)に指定しました(2023年5月15日)。

同社は、有報等の訂正報告書(昨年9月2日提出)の再訂正報告書を5月15日に提出しました。

(会社のプレスリリース→「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の再提出及び過年度の決算短信等の再々訂正に関するお知らせ」(PDFファイル)。訂正理由が大幅に修正されています。具体的には、「上記の誤りが発生したのは、当社の人為的なミスにより、当社で管理している最終稿ではないデータをEDINETに入力したことにあります。」とされていたのを、きわめて詳細な説明に修正するなどしています。)

東証は、今回の再訂正で明らかとなった、2022年8月12日の訂正報告書(+四半期報告書)の提出に関わる管理体制不備をまず指摘しています(監査法人も登場)。また、2022年9月に、同社株式は特設注意市場銘柄に指定されていますが、「改善計画・状況報告書」では、2022年8月12日の報告書の問題については全くふれておらず、東証はその点も指摘しています。

「株式会社ディー・ディー・エス(以下「同社」という。)は、本日、2022年9月2日に提出した有価証券報告書等の訂正報告書(以下「同訂正報告書」という。)に記載した提出理由等を訂正する訂正報告書(以下「再訂正報告書」という。)を提出しました。

その結果、以下の事実が新たに判明しました。

・同社株式は、同社が2022年8月19日までに2022年12月期第1四半期に係る四半期報告書を提出できなければ上場廃止となるものとして監理銘柄(確認中)に指定されていたところ、同社は、2022年8月12日有価証券報告書等の訂正報告書及び2022年12月期第1四半期に係る四半期報告書(以下これらを総称して「報告書等」という。)の提出直前に監査法人から多くの指摘を受けたにもかかわらず、それらを報告書等に適切に反映したか否か同社内での確認・整理も行わず、また、監査法人に指摘への対応内容について確認を改めて求めることもなく、経営管理部部長(当時)から、こうした状況に関する報告を受けた代表取締役社長の判断により、同日に報告書等を提出したこと

・同社の代表取締役社長及び経営管理部部長(当時)は、報告書等に虚偽の表示があるリスクが相応に高いことを認識していながら、報告書等を提出したこと

・同社の代表取締役社長及び経営管理部部長(当時)は、何が重要であるかさえも判断がつかない状況にあったにもかかわらず、同訂正報告書の提出にあたり、提出理由において訂正は「軽微なもの」としたこと

・実態としては、2022年8月19日時点においても、同訂正報告書に記載した連結財務諸表等と同じものを提出できる状況になかった可能性があること

・2022年12月9日付で証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告があったにもかかわらず、同社による再訂正報告書に係る監査契約の締結は2023年3月まで行われなかったこと

当取引所は、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたことから、2022年9月29日付で、同社株式を特設注意市場銘柄に指定しています。

代表取締役社長及び経営管理部部長(当時)は、同社の内部管理体制等の改善を推進する立場にあり、経営管理部部長(当時) は、2022年11月に同社の管理部門を担当する取締役執行役員兼経営管理本部長に選任されています。
かかる両者を中心として同社において策定された「改善計画・状況報告書」(2023年2月28日公表)においては、先に掲げた事実に何らの言及・評価もせず、同事実に係る対応を欠いたものであると認められます。」

訂正報告書を出すということは、一度大きなミスをしてしまったということですから、より慎重にチェックするなりしないといけないはずですが、この会社は、認識が甘かったようです。こういうのを、恥の上塗りというのでしょう。

当社株式の監理銘柄(審査中)の指定に関するお知らせ(PDFファイル)

当サイトの関連記事(2023年2月)(課徴金納付命令について)

その2(2022年8月の訂正報告書提出などについて)

(補足)

東証のリリースでも少しふれていますが、会社の5月15日のリリースに引用されている修正後の訂正理由では、訂正報告書の再監査の問題にもふれています。

「そして、8 月 13 日の監査法人からの指摘にもあるとおり、当期連結貸借対照表の利益剰余金から前連結会計年度の利益剰余金を差し引いた金額と当期連結損益計算書の親会社株主に帰属する当期純損失が合致していない等、財務諸表等を作成するうえでの根本的な指摘を受けていました。

このため、当該指摘内容からすれば、本来であれば、2022 年9月2日の訂正報告書提出時において、改めて監査報告書の添付が必要でした。しかし、上記のとおり、訂正監査を行う必要はないと判断し、訂正監査を受けておりませんでしたが、課徴金納付命令の勧告等を受けてから日数をかけて関係者と協議を重ね助言・指摘を受けた中で、訂正監査を受けることを 2023 年3月 10 日に判断いたしました。

以上から、本有価証券報告書の訂正報告書を提出するにあたり、太陽有限責任監査法人に訂正監査を依頼し、同法人も訂正監査の必要性を認識したことから、同法人による訂正監査を受けた上で、再度監査報告書を受領し本報告書へ添付しております。」

安易に、再監査なしで、訂正報告書を提出するのは、まずいということなのでしょう。

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