博報堂DYホールディングスの子会社「博報堂プロダクツ」の元社員(47歳)が、詐欺の疑いで逮捕されたという記事。
不正自体は会社から昨年2月に開示済みです。
「警視庁によりますと、おととし11月、都内の取引先にギフトカード20万枚、金額にして10億円分を会社に無断で発注し、だまし取ったとして詐欺の疑いが持たれています。」
「警視庁は、おととし12月までのおよそ5年間に合わせて250億円分を無断で発注し、このうち取引先への支払いなどを除く、およそ4億円を生活費や車のローンの返済などに充てていたとみて調べています。」
「「博報堂プロダクツ」によりますと、これまでに無断で発注されたギフトカードのうち、不正が発覚した時点で43億3000万円分が未払いになっていて、このうち容疑者が換金してそのまま持っていた分を除く27億円余りを会社が負担したということです。」
250億円の無断発注というのはすごい数字です。昨年のプレスリリースによると、会社は、元社員が個人として勝手にやったことで、会社は関係ないという認識でしたが、「民法の表見代理または使用者責任に基づき、同社としての発注先への支払い義務があることが顧問弁護士への相談等により確認された」ということで、未払分を支払ったようです。
どうしてそのような巨額無断発注が発覚しなかったのかが疑問ですが、日経によると、すべて簿外取引で行われていて、気付かなかったそうです。
会計処理としては、2021年3月期に27億円の特別損失を計上したようです。5年間も不正をやっていたのなら、5年前に遡って、訂正しないといけないともいえますが、もともと個人の犯罪であって、会社の取引が不正に記録・報告されていたわけではない、というような理屈でしょうか。
博報堂プロダクツ元社員を詐欺で逮捕 10億円相当のギフトカードだまし取る(TBS)(動画)
(補足)
博報堂プロダクツから、逮捕に関するプレスリリースが出ています。
当社元社員の逮捕について
「当社元社員(2021年1月29日付懲戒解雇)の不正行為につきましては、2021年2月10日にお知らせした通りでありますが、本件につきましては、事件発覚直後から警察に相談してまいりました。事件の詳細は現在も警察で捜査中であり、引き続き捜査に全面的に協力してまいります。
これまでも当社は法令遵守の徹底に努めてまいりましたが、このような違法行為が発生したことを厳粛に受けとめております。取引に関する手順やルールの見直しを全面的に行い、管理体制はすでに改善しておりますが、引き続き社員への教育とあわせて業務フローの改善の徹底を図ってまいります。」
警察の捜査が終わったら、詳しく開示してほしいものです。
それにしても、250億円分ものギフトカードをだましとり(物理的にもかなりのボリュームになるはず)、金券屋にもっていって、おそらくそれに近い金額で換金し(金券屋にあやしまれないのか?)、そこから、多くは仕入れ先に送金し(未払になっているのが40億円強なので200億円程度?、仕入れ先は送金者が個人であることに気がつかなかったのか?銀行は?)、一部は個人口座に残して着服するという一連の操作を、1人の個人ができたのでしょうか。これが数億円なら単独でもできそうなイメージですが、250億円ともなると、どうやってやったのか、想像がつきません。仕入先も、金券の販売で多額の債権が残ることは、普通は禁じているはずです。優良企業である得意先とはいえ、一担当者からの依頼でそこまで便宜をはかる理由がわかりません。
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