巨額損失の農林中金 改革案判明 兼業を容認し外部専門家活用を
巨額の損失を計上した農林中央金庫について、国(といっても金融庁ではなく農林水産省)の有識者会議がまとめた改革案が明らかになったという記事。
「農林中央金庫は外国債券の運用に失敗し、ことし9月までの半年間の決算で8900億円余りの最終赤字を計上し、来年3月までの1年間では、赤字幅が最大2兆円に拡大する可能性があることが明らかになっていて、所管する農林水産省はことし9月から有識者会議を立ち上げ、検証を続けてきました。
このほど、有識者会議が取りまとめた改革案の内容が明らかになり、この中では、運用方針の意思決定機関である理事会のメンバーについて、今の法律で禁止している「兼業」を認める方向で検討するよう提言しています。
農林中金の理事会は、現在7人全員が内部の執行役員です。
今回、損失が拡大した原因として、金融環境の変化に応じて機動的に資産の見直しを行えなかったことなどが指摘されていて、兼業を可能にすることで、運用に詳しい外部の専門家に「社外取締役」のように理事会に加わってもらう狙いがあります。」
巨額資金を運用していたのに、素人が監督していたということなのでしょうか(農林中金の理事会も政府も)。
農林中金 4月~9月決算 最終損益8900億円余の赤字(2024年11月)(NHK)
「農林中央金庫は、外国債券の運用で巨額の含み損を抱えていることが明らかになり、ことし9月の時点で、その額はおよそ1兆5000億円になっています。
19日はことし4月から9月までの半年間の決算が発表され、最終的な損益が8939億円の赤字になりました。
これは保有している外国債券の一部を売却し、含み損を実際の損失として確定させたためだということです。
農林中金は、収益が見込みにくい外国債券の売却をさらに進める方針で、来年3月期の最終赤字は従来の見込みの1兆5000億円から最大で2兆円に拡大する可能性があると明らかにしました。」
時価会計だともっと大きな損失が中間決算段階で発生していたのでしょうが、債券ということで、実際に売却しない限り、実現損にはならないのでしょう。
上場会社ではありませんが、今年の大赤字王でしょう。
農林中金の資産運用 組織体制など論点 農水省の検証会(2024年11月)(農業協同組合新聞)
「農林中金の資産運用の組織体制は、理事会がポートフォリオ(資産構成)運営方針を決め、ポートフォリオ・マネジメント会議に資産運用を委託する。一方、理事会はリスク管理の運営を統合リスク管理会議に委託し、定期的に報告を受ける。
こうした体制について委員からは「一見堅牢な市場運用体制が構築されているように見えるが、金利上昇が長期間継続したにもかかわらず、機動的な売却ができなかったなど、組織体制が十分機能しなかったのではないか」との指摘が出ていた。のこの日の検証会でもポートフォリオ・マネジメント会議などの組織の権限や役割分担が不明確ではないかと意見が出た。
理事の専門性については7名の理事のうち市場運用経験者は2名であり「経験者を増やすことを検討し、組織全体のスキルを高めるべき」との指摘が出たほか、専門性の高い外部理事の意見を聞くことが必要との指摘も出た。メガバンクのような社外取締役の必置規定とは異なり、農林中金は農林中央金庫法で理事の兼職兼業が禁止されているが、「多様な視点が確保できていないのではないか」との指摘があった。」