会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

焦点:スルガ銀、引当後も残る追加損失リスク 注目される提携の行方(ロイターより)

焦点:スルガ銀、引当後も残る追加損失リスク 注目される提携の行方

中間決算が赤字となったスルガ銀行を取り上げた記事。

シェアハウス関連は、かなりの引当てを行ったようです。

「スルガ銀行(8358.T)が14日に発表した2018年4―9月期の連結決算では、シェアハウス関連融資で担保・保証のない債権に対し、相当程度の割合で引当金を積み、ほぼ「うみ」を出し切ったかに見える。しかし、シェアハウス以外の、1兆6000億円に上る投資用不動産向け融資に絡んで、追加損失が発生するリスクもアナリストから指摘されている。再び損失を出すリスクもあり、資本・業務提携の行方に市場の関心が集まりそうだ。」

「スルガ銀は、シェアハウス関連融資2537億円のうち、1903億円を不良債権に分類。このうち担保・保証による保全がない1584億円に対し、1362億円の引当金を積んだ。」

会社は、シェアハウス以外の投資用不動産ローンは、大きな引当てが不要と考えているようです。

「同行が示した単体ベースの実質与信費用は、通期予想で1340億円。上期の実績が1196億円だったため、下期は144億円しか与信費用を見込んでいない計算になる。有国社長は「144億円という数字も、われわれとしては保守的に見た数字」と指摘した。

有国氏(社長)は、下期に自信を持つ理由として、投資用不動産ローンの大半を占める「1棟収益ローン」の延滞率が0.50%と低いことや、このローンをシェアハウス向け融資より早く手掛けていたため、不正融資のリスクが低いことを挙げた。

しかし、実質与信費用の見通しについて「利用者や市場を安心させるための、結論ありきの数字ではないか」(銀行アナリスト)との声が出ている。」

銀行の引当金実務についてはよく知りませんが、理屈としては、過年度の実績数値が将来も続くと仮定できれば、銀行の考え方でよいのでしょう。

しかし、金融庁の行政処分により、その前提が崩れる可能性があるようです。

「金融庁が今年10月に出した行政処分では、シェアハウス向け融資のみならず投資用不動産向け融資全体について、債務者の相談に乗り、金融ADR(裁判外紛争解決手続き)を活用するなどして、金利見直しや元本削減に応じるよう求めた

幅広い債務者が債務の削減を要求した場合、スルガ銀が追加損失計上に追い込まれる可能性は高まる。

「業務停止6カ月も厳しいが、金融庁のこの指示は、スルガ銀の業績へのボディブローになる」と同アナリストは警戒する。」

<9月中間>スルガ銀行、追加損失も 再建と信頼回復見えず(Yahoo)(毎日新聞配信)

「投資用不動産ローンを巡る不正は現在全件調査中で、シェアハウス同様、本来の借り入れ能力をはるかに超える融資や、不良物件への貸し出しが横行していた場合、損失が膨らむ可能性は残るためだ。一連の問題を受け地銀各行は投資用不動産融資を圧縮し始めており、不動産市況が悪化に転じれば延滞率は上昇しかねない。」

本来はこの調査がある程度進んで、財務への影響が見通せるようになるまで、四半期レビュー報告書は出せないはずなのでは。

スルガ銀、大赤字に転落 中間決算985億円の純損失に(朝日)

赤字転落したスルガ銀、半年で預金流出6700億円超の内幕(DOL)

決算情報(スルガ銀行)

取締役等責任調査委員会および監査役責任調査委員会の調査報告書(スルガ銀行)
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