会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

企業会計審議会議事録より

金融庁のホームページに3月27日に開催された企業会計審議会の議事録が掲載されていました。そのなかで、内部統制報告制度に関して金融庁の企業開示課長による興味深い発言がありました。

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/gijiroku/soukai/20080327.pdf

「・・・金商法上は内部統制の構築義務はありません。ありますのは、内部統制の状況について、報告書をつくって評価をするということと、それに対して監査を受けてディスクローズするということに尽きています。」

たしかに法律には、企業は虚偽でない内部統制報告書を作成提出し、監査を受けなければならないということしか書かれておらす、仮に、重大な不備があるという内部統制報告書を提出しても法律違反にはなりません。

しかし、内部統制の意見書(平成19年2月16日 企業会計審議会)では、審議の背景として「ディスクロージャーの信頼性を確保するため、開示企業における内部統制の充実を図る方策が真剣に検討されるべきであると考えられる」とし、内部統制の充実が意見書の目的(それは制度の目的でもある)であることを示しています。内部統制を充実させるためには、(不備が全くないような会社は別として)当然、内部統制の構築(重大な不備がないよう整備し運用すること)を行う必要があるはずです。

また、基準の本文でも「内部統制に関係を有する者の役割と責任」の項で「経営者は、その責任を果たすための手段として、社内組織を通じて内部統制の整備及び運用(モニタリングを含む。)を行う」と書かれています。一般論だといってしまえばそれまでですが、金融庁の審議会の意見書に書かれていることですから、無視することもできません(こうした役割を経営者が果たしているかどうかは内部統制評価を行う際のひとつのポイントにすぎないと考えればよいのかもしれませんが)。

それはともかく、金融庁の課長がこういってくれているのですから、コストをかけたくない上場会社は、悪あがきしないで、(会社法は強制なのでクリアしているが)内部統制基準に照らして判断すると重大な不備がある(または評価を行っていない)という内部統制報告書を出してみてはどうでしょうか。どこに資源を投入するかという経営判断の問題なので、誰も批判できないはずです。
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