会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

資金回収「同意」の壁 ネット決済でリスク増(日経より)

資金回収「同意」の壁 ネット決済でリスク増(記事冒頭のみ)

山口県阿武町の4630万円誤給付問題に関連して、誤振り込みのリスクについて解説した記事。

「新型コロナウイルス対策の給付金を巡る自治体のミスが招いたトラブルは刑事事件に発展した一方、資金を取り戻す難しさも社会に知らしめた。山口県阿武町が提訴に踏み切った背景にあったのが、返金に必要な振込先の「同意」の壁。インターネット決済が容易になり、一般利用者による誤振り込みのリスクも増すなか、手続きには一層の注意が求められる。」

「振込先を誤った場合、金融機関を通じて資金を元に戻す「組み戻し」と呼ばれる手続きで返金は可能だが、実行するには受取人の同意が欠かせない。

誤った振り込みの扱いを巡っては、手続きミスを含めた取引関係などの経緯を問わず「受取人は預金債権(=預金を引き出す権利)を取得する」とした1996年の最高裁判例もある。

最高裁が預金を引き出す権利を認めた背景には、多数の資金移動を迅速に処理するという金融機関の役割の保護がある。判例は誤った振り込みで得た資金は民法上の不当利得に該当するとも言及。」

不当利得だから返せという権利はあるので、相手先がまともな企業等であれば、返してもらえるのでしょうが、今回の事件のように、使っちゃった、もうないといわれれば、回収は難しくなります。いくら逮捕しても、それは刑事事件ですから、回収できるかどうかは別問題です。

誤送金してしまった場合は...

「近年はネットバンキングの普及で手軽に資金の決済ができるようになり、誤振り込みは一般利用者にも相次いでいる。」

「過去に誤振り込みトラブルに対応した山西保彦弁護士は「誤った振り込みをしてしまったら、まずは組み戻しの依頼を行うべきだ」と指摘。振込先が返還に応じない場合は「資金の流失を防いで回収につなげるため、早期に相手の口座の仮差し押さえを裁判所に申し立てるのも有効だ」と話している。」

海外でも、巨額誤送金事件がありました(当サイトでも以前取り上げました)。今回の事件とは違って、銀行のミスによるものです。

シティ9億ドル誤送金、失態の裏に「承認プロセス」-担当者証言(2020年)(ブルームバーグ)

950億円以上を誤送金したシティバンクが敗訴、約530億円が回収不能に(Gigazine)

ドイツ銀行が巨額の誤送金、3兆7000億円相当(2018年)(AFP)

ドイツ銀行の事件はすぐに回収できたはずです。シティバンクの事件も、債権者に対して利息ではなく元本を送金してしまったというものだったので、誤送金がまるまる損失になるわけではないのでしょう。
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