会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ゴーン元会長報酬過少記載 元役員の判決は来年3月(日経より)

ゴーン元会長報酬過少記載 元役員の判決は来年3月

日産ゴーン事件の有価証券報告書虚偽記載の刑事裁判で、被告である元代表取締役ケリー氏と日産自動車の最終弁論が行われたという記事。

「公判では▽高額報酬の批判を避け、開示を免れたとされるゴーン元会長の「未払い報酬」の存否▽元会長とケリー元役員の共謀の有無――が主に争われている。

9月の論告で検察側は、未払い報酬について「報酬とは別名目に仮装して支払う予定があり、いわば『裏報酬』だ」と指摘。ケリー元役員は確実な支払いを専門的・技術的に検討する役割を担ったとして、懲役2年を求刑した。

ケリー元役員の弁護側は最終弁論で、有価証券報告書に記載すべき元会長の未払い報酬は存在しないと主張。「ゴーン元会長との共謀を示す証拠もない」と反論した。」

判決は来年3月3日の予定です。逮捕から約3年も経っているのに、まだ判決が出ていないというだけでも、人権侵害でしょう。

日産ゴーン元会長事件 ケリー元代表取締役の裁判 3月に判決(NHK)

「27日の裁判でケリー元代表取締役は「私はいかなる罪も犯していない。ゴーン元会長は非常に優秀な経営者で、退任後も日産につなぎとめるための措置をとることが重要だと考えたが、あくまでも合法的な方法を模索した」と述べ、改めて無罪だと訴えました。

また、元代表取締役の弁護士は「報告書に記載した以外に未払いの報酬は存在しない。元会長や幹部たちと共謀した事実もない」と主張しました。」

判決は来年3月3日 日産ゴーン元会長事件、元側近の公判が結審(朝日)

「検察側は、未払い報酬を元会長の退任後に顧問料などの名目で支払う「契約書」をケリー元役員が作成したと指摘した。ケリー元役員は「世界でベストな経営者の1人であるゴーンさんを日産につなぎとめるためのもの」と反論。契約書で検討したのは「退任後の業務への支払い」であり、開示義務はないと反論した。」

これが有罪なら、他の会社でも、退任が予定されている役員の退任後の顧問契約やその役員の関係している会社とのアドバイザリー業務契約などの契約書の下書きを、決算日前に作成しただけで(未締結・未承認であっても)、顧問料やアドバイザリー報酬の全額を、未払役員報酬として、開示し、費用計上しなければならなくなるのでは。

陰謀か自浄作用か ゴーン元会長事件、元役員判決は3月(日経)(記事冒頭のみ)

「日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(67)の報酬過少記載事件で、共犯で起訴された元代表取締役の公判が27日結審した。極秘の内部調査に端を発した経済犯罪。1年余りに及ぶ〝主役〟不在の審理では検察への「告発」に至る経緯が当時の幹部によって語られた。トップ追い落としの陰謀か、経営を正す自浄作用か。判決は来年3月3日に言い渡される。」

やはり、ゴーン氏が日産幹部にとってネガティブな存在となり、検察を利用してでも追い出したかったという事情があるようです。

論点が割ときちんとまとまっていると思います。


コメント一覧

kaikeinews
郷原氏のユーチューブ見ました。
https://youtu.be/P6N9c2he1AU
たしかに、検察の主張は苦しいですね。

しかし、郷原氏が最後に言っているとおり、日本の裁判所がまともな判決を出せるかどうかは微妙ですね。

わけのわからない理屈をつけて、有罪ということがありそうです。
きんちゃん
郷原弁護士のyoutubeで検察側の論告が紹介されていました。
法的に確定してない事を検察は認めたみたいです。
法的に確定はしてないが、経営者のゴーン氏が決めて紙に書いた段階で、それを有報に書いて将来もらう予定があると株主に知らせる必要があるとの検察の主張のようです。

検察の主張は苦しいですね、これは法律違反とはもはや言えないのではないでしょうか。
こんなものが重要事項になるのでしょうか。

退任後にこんなに報酬をもらいたいと考えてる強欲な経営者がこの会社にはいると投資家にちゃんと教えないとダメだというような主張らしいです。

無罪なんですが、裁判官が無罪を出せるのかどうかだけみたいですね。

kaikeinews
虚偽記載は、別件逮捕だったのかもしれませんね。
大きな粉飾決算事件でも、最初に報道があったり、会社から発表があったあとに、まず任意捜査が行われます。関係者の逮捕は最終段階で行われるのが普通でしょう。それが、ゴーン事件の場合はいきなり逮捕だったわけで、クーデター説を信じたくなります。

とはいえ、特別背任容疑も、損失が発生しているデリバティブ契約を会社に引き継がせた(当局から指摘されてすぐに取消し)という、すでに何年も(日本にずっと滞在していれば時効が成立していた)前に会社に損害なく解消された取引を理由にしたもので、それほどの重大容疑なのかと思います。

中東の会社へのリベート支払いなどの容疑は、事実であれば、重大なものですが、確たる証拠はないようです。逆に、取引を切られた相手の会社から、巨額損害賠償請求を受け、裁判の第1審では日産が負けてしまいました。

いずれにしても、虚偽記載容疑が別件逮捕だとすれば、ケリー氏はまったくのとばっちりで、何年もアメリカに帰れず日本に軟禁状態というのは気の毒です。
ポラ
本当に良くまとまっていると感じました。
これを見る限り、確定した役員報酬は存在していないし、ゴーンとケリー氏が不正行為を働くために共謀した事実も証明されていないと確信できる内容です。
3番目の論点は東大の田中教授が指摘した、虚偽記載ではなく不記載に過ぎないと言う部分ですが、弁護側に主張のほうが説得力があると思います。
恐らく特捜は有価証券報告書の虚偽記載で逮捕して、特別背任を本丸として立件を図ったのでしょうが、ゴーンには逃げられ、ケリー氏は特別背任等に関わった証拠もなく、苦しい裁判となったような気がします。
ゴーンのように感情をむき出しにするのではなく、最後まで淡々と裁判に臨んだのは米国弁護士としての矜持でしょう。
文藝春秋のインタビューを2回読みましたが、誠実で真面目な人柄と感じました。
何とか無罪になって欲しいと願っています。
きんちゃん
検察は誤解してたみたいですね。
日産がゴーンさん退任後に支払っていないのですから支払いの蓋然性はありません。
判決が来年3月は遅すぎます。
4月が人事異動だからでしょうか。

検察側証人でゴーンさんの報酬が法的に確定した確定報酬だと証言した会社法や会計の専門家はいませんでしたね。
ケリーさん側の証人では会社法の権威の東大教授が虚偽記載では無いと証言してたのとは対照的です。

しかし判決が4ヶ月後は遅すぎますね。


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