法務省や金融機関などが、来年1月から、非上場を含む株式会社に、大株主に関する情報を法務局に提出するよう促すようになるという記事。
当サイトでも取り上げた実質的支配者情報リスト制度(9月に発表済み)のことのようです。
「法務省が1月31日から株式会社に対し、議決権ベースで直接、間接的に25%超の株式を保有する大株主の名称や保有割合、住所などの情報を書面で提出してもらう。金融機関が大株主情報を把握し、過去の経歴などを参照することで、企業がマネロンの温床となりやすいかの判別材料にする。情報は法務局がチェックして7年間保管する。当該企業から要請があれば、法務局の認証付きの写しを交付する。
全国銀行協会は会員銀行に制度の利用を呼びかける。例えば口座を開設しようとする企業に対し、審査書類として添付を求める。銀行の裁量で、新規融資や更新の際にも再提出を要求できる。大手銀行だけでなく、地方銀行や信用金庫なども足並みをそろえる見通し。」
あくまでも任意の制度です。海外では、義務づけの動きがありますが...
「欧米では大株主情報の可視化を求める動きが加速している。ドイツでは全ての会社が実質的な支配者の情報を申告する必要がある。米国も政府に提出するよう義務付ける動きがある。国内の銀行関係者にも「将来は義務化を検討すべきだ」との声が強い。
ただ、非上場の中堅・中小まで含めた株式会社に提出を義務付けるなら会社法などの改正が必要になり、実現まで数年かかる可能性がある。FATFは法人の「実質的支配者の確認」について、金融機関の対応が不十分だと指摘する。迅速な対応が必要なため、まずは任意で提出を求める。今後は法改正などを通じた義務付けに踏み込むかが課題になる。」
任意とはいえ、取引金融機関からマネロン対策のため写しを出してくれといわれれば、従わざるを得ないでしょう。
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(法務省広報資料より)
「実質的支配者」というのは、「Beneficial Owner」の訳だそうですが、Ownerは所有者ですから、支配していなくても該当します。日経記事の「大株主」の方が制度の中身に近いでしょう。