タカタの2017年3月期の有価証券報告書の監査は、意見不表明だったという記事。
「タカタの法的整理を受け、新日本側は「監査意見の基礎を与える十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった」としている。」
意見不表明は予測されていたと思いますが、不表明の理由はどのようなものだったのでしょうか。
EDINETで監査報告書(連結)をみてみると、以下のようになっています。
「意見不表明の根拠
継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は、平成29年6月26日に東京地方裁判所に民事再生手続開始の申立てを行い、平成29年6月28日に民事再生手続開始決定がなされている。今後、再生計画案を作成し、裁判所の認可を受けて再生計画を遂行することとなるが、再生計画案は現時点では未確定であり、当監査法人に提示されていない。このため、当監査法人は継続企業を前提として作成されている上記の連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった。
意見不表明
当監査法人は、「意見不表明の根拠」に記載した事項の連結財務諸表に及ぼす可能性のある影響の重要性に鑑み、監査意見の基礎を与える十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかったため、連結財務諸表に対して意見を表明しない。」
監査報告書で参照している連結財務諸表注記(継続企業の前提に関する事項)では、以下のように記載されています(結論部分のみ)。
「今後、当社では再生計画案を作成し、裁判所の認可を受けて再生計画を遂行することとなりますが、再生計画案は現時点では未確定であり、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。なお、当企業グループの連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関するこれらの重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。」
おそらく、東芝の監査と違って、不表明にするかどうかで悩む必要はほとんどなかったでしょう。
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戦後最大の「1兆円倒産」タカタはどこで何を間違えたのか(現代ビジネス)
「事が大きくなった発端は'14年9月に米NYタイムズ紙が、タカタとホンダがエアバッグの欠陥を認識していたにもかかわらずそれを公開していなかったと報じたこと。だが、問題の根源はその10年以上前から明らかになっていた。元ペンタックス社長で現エクスキャリバー代表浦野文男氏が語る。
「'04年に、アメリカ本社は問題があることを把握していたことがわかっています。アラバマでエアバッグの破裂事故が報告された後、ミシガンにある米国本社で試験を行っていたのです。この段階で問題の火薬を使った製品の製造をストップするべきでした。
当時の社長、高田重一郎氏(重久氏の父)まで情報が上がっていたかはわかりません。もし上がっていて、それを握りつぶしていたのならば言語道断ですが、現場が『問題はあるようだが、事故が実際に起きる危険性は極めて低い。社長に上げるような案件ではない』と、殿様社長を『忖度』した可能性が高い。
このとき問題に正面から向き合っていれば、リコールの対象車が1億台というとんでもない数になることもなかった。小さな問題であっても上に報告するコンプライアンスがまったく働いていなかったことがいちばんの原因でしょう」」
タカタ遅すぎた破綻の内幕、自動車メーカーの都合で“延命”(ダイヤモンドオンライン)
「...車メーカーには、リコール費用の引当金を積む時間的猶予も必要だった。実際、各社は今年3月期決算までにほぼ全ての引当金を計上し、業績への影響を最小限に抑えている。さらにこの間、部品の供給元を他メーカーに切り替え、タカタがいつ倒産しても対応できる体制を整えたのだった。」
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