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東芝、隠れ損失最大1兆円 米国産LNGの価格競争力低下、販売先探し難航(SankeiBizより)

東芝、隠れ損失最大1兆円 米国産LNGの価格競争力低下、販売先探し難航

東芝がLNGを買い取る契約を結んでいて損失が出そうだということは、すでにいろいろなところで報道されており、当サイトでも取り上げていますが、これもその関係の記事です(やや古い記事)。

「経営再建中の東芝が、シェールガス由来の液化天然ガス(LNG)事業で最大約1兆円の損失リスクを抱えていることが17日、分かった。同社は2019年から20年間にわたって米国産LNGを買い取る契約を結んでいるが、市況変動による価格競争力の低下で販売先探しが難航している。売り先が見つからなければ、19年3月期決算にも特別損失の計上を迫られる見通し。」

「購入契約を結んだ当時、米国産LNG価格は、原油価格に連動する東南アジアやオーストラリア産の通常LNGの半値以下だった。だが、その後の油価の下落傾向に伴い形勢は逆転しつつある。通常のLNG価格が下がったことで、物流コストを含めると、足元では東芝が仕入れる米国産LNGの価格競争力は損なわれてしまい、売り先探しが進まない状況に陥っている。」

「東芝によると、現時点で220万トンの約半分については販売先が見つかったという。ただ、法的拘束力のない契約があるのに加え、経営の混迷で市場の信頼も失墜する中、「最大1兆円の損失リスクの可能性はゼロではない」(関係者)という。

東芝の契約先の液化設備の運転開始は19年9月の予定で、市況次第では、同年から損失処理に直面する恐れがある。」

2019年3月期から損失計上するというのが、理解しにくいところです。買い取り契約は既に締結しているわけですから、現時点で損失を見積り、引当てすべきなのではないでしょうか。

損失発生の確率と合理的な見積りという要件はありますが、買い取り開始の半年前でないと、これら要件を満たさないという理屈はないでしょう。

少なくとも、偶発債務の注記で、現在の市況に基づいて計算した損失額を開示すべきでしょう。1兆円という契約額だけの注記では、不十分です。

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