当サイトでも以前取り上げた広島の書店チェーン、フタバ図書(非上場)の粉飾決算の記事。会社の弁護士が、粉飾決算の状況を少し説明したようです。報道されていた40年前からの粉飾というのは誤解で、粉飾期間は10年間だそうです(だからといって許されるものではありませんが)。
「地場書店チェーンのフタバ図書(広島市西区)は19日、過去の粉飾決算を明らかにした。代理人の弁護士が文書で「不適切な内容の決算書を作成して金融機関に提出していた」と説明した。期間は2019年までの約10年間だったとした。
決算書に書く在庫を実際より多くしたり、固定資産の償却を小さくしたりしていた。中国新聞の取材で複数の関係者が証言した「40年前からの粉飾」は「誤り」と説明。世良茂雄社長が金融機関への説明会で「自分が入社した40年前から在庫の金額が実際の棚卸し額と相違していたこともあった」と発言したことが影響したと釈明した。」
「これまで粉飾を説明しなかったのは「上場企業のような開示義務がある企業を除き、企業価値を損ねないよう、非開示が原則」と主張。信用不安からの破綻を「回避しようと考えた」と記した。こうした事態に対する従業員の責任は「一切ない」とした。」
非上場会社でも決算公告義務はあり、そこで虚偽の決算を開示すれば、違法なはずですが、どうせやっていないのでしょう。
もちろん、会社法でも「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うべきとされているので、開示の有無にかかわらず、粉飾決算は違法ですが、それが摘発される例は、ほとんど聞きません(会計監査人の監査を受けている会社は別)。だから、弁護士も破綻回避のためなら、粉飾も容認されると受け取れるようなことをいうのでしょう。
固定資産の償却については、中小企業の会計ルールのひとつである中小企業会計要領の検討過程でも、繰越欠損金活用のために減価償却不計上もあり得る、規則的償却不要という意見があったぐらいですから、操作することに罪悪感はないのでしょう。ちなみに、確定した要領では「相当の減価償却」となっていて、それは、「一般的に、耐用年数にわたって、毎期、規則的に減価償却を行うことが考えられます」となっています(償却しなくてもいいような「一般的」でない場合もある?)。
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