会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「ソーシャルボンド検討会議」の設置について(金融庁)

「ソーシャルボンド検討会議」の設置について

金融庁は、「ソーシャルボンド検討会議」の設置を、2021年3月3日に発表しました。

「企業等がソーシャルボンドの発行に当たって参照できる実務的な指針の策定を検討する」とのことです。サステナブルファイナンス有識者会議の下に設けられるものです。

その「サステナブルファイナンス有識者会議」(第4回まで開催済み)の第2回議事録が、金融庁ウェブサイトで公開されています。

事務局にやらせるのではなく、座長自ら、基本的な考え方を説明しているようです。

「では、各論の前提になる基本的な視点とは何でしょうか。それは、サステナブルファイナンスとは何なのか、それはなぜ必要なのかという基本的な理解であろうと思います。そのことが、この図の下半分に示しましたサステナブルファイナンスに対する基本的な考え方というところに書かれています。この点につきましては、恐らく委員の皆様の間ではかなりの程度、暗黙のうちに共有されているというふうに思いますが、ここで御参考までに、簡単に私の理解を申し上げたいと思います。

今、暫定的に、サステナブルファイナンスを、投融資の判断にESGの要素を組み込むことだと考えるとしますと、中長期的には、それはリスク・リターンを改善するという側面があるだろう、そして気候変動問題というのは既にその段階に至っている。だからこそ、既に民間の金融機関や運用機関が動き始めているんだというわけです。

しかし一方で、それだけではなくて、つまり個別投融資先のリスク・リターンへの影響だけでなくて、負の外部性を減らし、正の外部性を生むことで、社会や環境の全体的な課題が改善し、それによって経済活動の基盤が守られる、結果的にポートフォリオ全体の利益が守られる、そういう側面もあるだろう、この後者の考え方はユニバーサルオーナーシップの論理でして、ユニバーサルオーナーは既にそういう論理で行動し始めているわけです。そしてこれはユニバーサルオーナーだけでなく、金融資本市場の全体の利益でもあるわけです。だからこそ、これを政策的に推進していくということに意味があるのだと、つまりサステナブルファイナンスというのは、ファイナンスですから個々の金融商品にとどまらず、社会全体をサステナブルにしていくことによって金融市場も守られていく、そういう将来の金融のあるべき姿であり、サステナブルな社会を実現するための基本的なインフラなのではないか。そして、そのような社会課題の中の代表例が気候変動問題だ、だから金融に関わる政策の中に気候変動の要素を組み込んでいくということは本来すべきことであり、レジティマシーのあることなんだと、このように考えています。」

「サステナブルファイナンス有識者会議」(第2回)議事次第(金融庁)(←会議資料など)

「ソーシャルボンド」社会貢献目的の社債 新指針 策定へ(2021年1月)(NHK)

「「ソーシャルボンド」は、企業が社会貢献に取り組む事業の資金を調達するために発行する社債のことです。

医療や教育、それに福祉の分野が該当し、新型コロナウイルスの感染対策や施設のバリアフリー化などが含まれるとされますが、国内では明確な基準がなく、普及に向けたネックになっているとの指摘も出ていました。

このため、金融庁は、具体的にどのような事業であれば資金の使いみちとしてふさわしいかなど、具体的な基準を盛り込んだ指針作りに乗り出すことにしました。

2月に有識者会議を設置して議論を進め、ことし夏までの指針策定を目指すということです。」

ソーシャルボンドではありませんが、投資信託で問題が出ているようです。

ESGブーム便乗も、金融庁が投信名称に基準必要か検証に着手へ(ブルームバーグ)

「金融庁は6月までに、投資信託の名称について一定の基準を設けるかどうか、資産運用会社や販売を担う証券会社などとの対話を始める意向だ。ESG(環境・社会・企業統治)に対する関心の高まりを背景に、ESG投資をうたう商品が増えたことがきっかけで、実体が伴っているかどうかに強い関心を寄せている。」

「対話」などと言わずに、すなおに「聴取」といえばいいのに...

「欧米では、ESGブームの高まりを背景にファンドの環境貢献効果を装う「グリーンウォッシング」問題が顕在化。当局が対応を取り始めている。欧州連合(EU)では投資の評価指標になるESG格付けの基準作りの議論が始まっている。」
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