金融庁が、合同会社への出資勧誘について、登録を義務付けるという記事。記事の見出しでは、起業自体に登録を義務付けるように読めますが、そうではなく、出資への勧誘について規制強化するということのようです。
「金融庁は資本金1円でも会社を設立できる「合同会社」について登録を義務付ける。設立要件が緩和された合同会社はスタートアップなど少人数の起業につながってきたが、一部では不正勧誘で出資者が損失を被る事例が出ていた。金融商品取引法に基づいて制度改正し、会社設立で出資を募る場合は登録を義務付ける。投資家の保護を徹底することで適切な起業環境を整備する。」
記事によれば、早ければ今夏にも内閣府令を改正するとのことです。
証券取引等監視委員会のこの建議に対応するものでしょう。当サイトでも取り上げました。
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「合同会社」による社員権の取得勧誘について(金融庁)
「現行制度では、特定の場合を除き、合同会社の従業員(使用人)による当該合同会社の社員権の取得勧誘は金融商品取引業に該当しないこととなっており、証券監視委の調査権限が及ばず、顧客に説明したとおりの事業が実施されていない疑いがある場合や、適合性の観点で不適切な投資勧誘行為が行われている場合でも、裁判所への停止命令等の申立てを行うことができない状況となっている。
こうした投資者被害の懸念がある事案が認められている状況に鑑みれば、投資者保護を徹底する観点から、合同会社の業務執行社員以外の者(従業員や使用人)による当該合同会社の社員権の取得勧誘について、金融商品取引業の登録が必要な範囲を拡大するなどの適切な措置を講ずる必要がある。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/2c/38b118ce4cd82377d95316e0ef766a7b.png)
(監視委資料より)
日経記事では、合同会社の新設数について、東京商工リサーチによる数字を引用していました。たぶんこれが元でしょう。
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2021年「全国新設法人動向」調査(東京商工リサーチ)
「2021年(1-12月)に新しく設立された法人(以下、新設法人)は14万4,622社(前年比10.1%増、前年13万1,238社)で、2019年以来、2年ぶりに前年を上回った。2007年以降で初めて前年比の増加率が10%を超え、件数は2017年を抜いて過去最多を記録した。」
「法人格別の社数は、株式会社が9万6,025社(前年比10.8%増)で、全体の66.4%を占めた。
合同会社は、3万6,934社(前年比10.9%増、構成比25.5%)で、初めて3万6,000社を超えた。新設法人の4社に1社を占める合同会社は、設立コストが安く、株主総会も不要など経営の自由度も高い。こうしたメリットから設立数は右肩上がりが続く。」