日本水産の子会社で水産卸のホウスイで、営業部門の元課長がエビ加工の委託料を水増しするなどして、1億7500万円の損害が発生したという記事。
不適切な取引行為に関する調査結果のお知らせ(PDFファイル)
この元課長は、水産物の原価を少なく見せるため在庫を過大計上していたという説明を当初はしていたようですが、会社が詳しく調査したところ、委託加工先への加工賃が水増しされていたり、加工原料在庫の横流し(横領)が行なわれていたことが判明したようです。
「横流しは、加工計算書の原料使用額の記載を過大に改ざん(実際には使用していないのに使用したものとして記載)して製品原価を膨らませて簿外在庫をつくり、その処分代金を本人が着服したものであります。またそれと同時に、使用原料額の記載を過少に改ざんして架空在庫をつくって原価を減額させ、加工原価全体を調整して横流しが発覚することを防いでいたものと推測されます。」
在庫証明書には、委託加工先に指示して架空在庫を計上させています。
「委託加工先にある原料在庫残高については、本人が架空在庫を加味して作成した在庫表をA社・B社に送り、両社は実際在高ではなく本人から送られてきた内容で在庫証明書を作成していたことが判明しました。
なお、架空の在庫証明の作成は架空在庫の隠蔽のためであり、A社は、本人から言われるままに架空の在庫証明を作成していますが、A社に対しては加工賃の水増しはなく、在庫の横流しへの関与の事実もありませんでした。」
架空の売買を行って在庫滞留リストにのらないような細工もしています。
「また架空在庫が管理部署が毎月作成する長期在庫リストに載り露呈することを防ぐため、本人は、特定の取引先2社(C社・D社)に依頼して在庫の空売りをし、後日これを買い戻すという不適切な取引があったことも判明しました。」
ここまでやられると監査で発見することも難しいかもしれません。特に、在庫の保管先がちゃんとした営業倉庫ではなく、会社の担当者の影響力が及ぶような委託加工先である点もリスク要因といえるでしょう。
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